犬50頭・猫100頭と暮らす
前回の記事ではAFCには約50頭の犬と100頭の猫が飼育されていると言いましたが、ほとんどが保護施設から引き取られた者、無責任な飼い主に捨てられて野犬になった者、虐待されていたところを保護された者、死ぬ寸前で運び込まれた者など、いちど人間に裏切られた事があるか、飼い主さんが亡くなってしまったなどの過去を持つ犬猫たちです。
中には「捨てられていて可哀想だから連れてきた。ここで飼ってあげて。」と、自分が良い事をしたような顔をして犬や猫を持ち込む人も少なくないそうです。
可哀想だと思うならご自分で飼ってあげてくださいとお断りすると、うちでは飼えないと必ず言うそうです。
また、AFCで動物を保護していると知って敷地内に動物を捨てにくる人も居るそうですが、監視カメラがついているので、車のナンバーから捨てに来た本人を特定して連絡をするも、「そちらで飼えないなら保健所に連れていけ」などと逆上する人もいるようでした。
話を聞いていて悲しくなりました。
あまりの無責任さに腹もたちました。
でもそうこうしている間も犬は生きています。
誰かがお世話をしなければ、誰か人間に愛されなければ、行くところなんて無いのです。
動物の神様に生かされて
※AFCで保護された犬達の事が書いてある本
『動物の神様に生かされて 著者:佐良直美先生』はとてもおススメです!
ぜひ読んでみてください。
私のことが苦手な犬
私を怖がって吠え続ける犬もいました。
アシカちゃんと言う小さな柴犬です。
私以外の人にもシャイですが、リードをつけさせたりはしてくれます。
それまで私は犬に嫌われた事が殆どなかったのですが、アシカちゃんには1週間ずっと吠えられ続けていました。
自分の事を信用してくれない犬も居るのだと言う事を知りました。
トゥーリッド・ルーガス氏の本で読んだ犬のカーミングシグナルを思い出して、アシカちゃんの前では背を向けたり、あくびをしたり目を細めたりして敵意が無いことを伝えようとしましたが、全く効果がありませんでした。
それどころかますます怪しい人に思われたのでしょう。更に吠えやみません。
怖がる犬に無理に近づいてもそばに寄る事はできないですし、犬から近づいてくるまでは接触しないのがいつもの私のやり方です。
しかし、これはお散歩と言うお仕事。他の犬達も待っています。
カーミングシグナル by.トゥーリッド・ルーガス (ads犬の本)
アシカちゃんを散歩に連れて行ってと言われた時「アシカちゃんは私の事が苦手なので、ランへ連れて行ったとしてもリードをつけられないと思う」とスタッフさんに言うと、「それでも行ってきてください」と言われたので連れていきました。
案の定、リードから放すとずーっと私に吠えっぱなしです。
排泄はして、ウンチも取る事ができましたがリードに繋げず、試行錯誤しましたがやはりダメでした。
もう1頭居た和犬のミックスもシャイで、アシカちゃんがあまりに私を怖がっているので、その犬までも余計に私を怖がって逃げ惑ってしまいました。
犬との絆って何でしょう?
私が戻ってくるのが遅いのでスタッフさんが来てくれました。
スタッフさんがランの扉を開けた瞬間に2頭とも一目散にランから逃げ出しました。
アシカちゃんは捕まりましたが、もう1頭の雑種犬はどこかへ走り去りました。
急いで追いかけると宿舎の入り口でスタッフさんを待っていました。
「絆がなければあそこで待っていてはくれません。それに、自分を怖がる犬のリードは放さないでようにしないと、絆が出来ていないうちは捕まらないからね。」と言われました。
ガーンとしました。
確かに!リードを放さなくても、もしかしたらウンチもオシッコもしたかもしれません。
そこまで頭が先回りできなかったのは、私が犬を知らないから、経験が少ないからだと思いました。
何頭も犬を保護してきた経験があるからこそ、怯えた犬を何頭も見てきたからスタッフさんはその経験を私にさせてくれたのだと思います。
勝手に水を飲ませないで!
散歩から帰った老犬に水を飲ませていたら、
「水を飲ませたら吐くから勝手に飲ませないで!」
と注意されました。
『そこに水の皿があって、犬がハァハァしていたら、水をたっぷり飲ませる』それが私にとっての普通でしたが、実はその犬は13歳で、普段から一緒に生活していないと、その犬が水をたくさん飲むと吐いてしまう事なんてわかりません。
その犬がどういう健康状態なのかを知らないときは、水を飲ませて良いか確認を取るべきでした。
そういう配慮が必要でしたし、そこまで先回りできるようでないと本当に「犬に配慮できている」とは言えません。
犬への配慮と確認
1頭1頭が違う身体の問題を抱えていたり癖があったり、それを知って初めて犬との関係が作れるのです。
ましてや人様の犬を扱う立場ならなおさら、生徒さんの犬の状態を良く見られなければなりませんし、許可をとってからでないと無暗矢鱈に触れたら咬まれてしまうかもしれません。
もしかすると、何も知らずに運動させたらその犬の身体に抱える疾患を悪くさせてしまうかもしれません。
勝手にトリーツを与えたらアレルギーを持っているかもしれません。
だからこそ、確認は必ず必要なんです。
コーダと離れて『犬』を観察すると、今までどれだけコーダに無理をさせてきたかよくわかりました。
人間の常識を押し付けて、犬の常識を無視していました。
とても無神経でした。
じめじめした話になりますが、AFCにいる間は毎晩寝る前に泣きっぱなしでした。
コーダへいままでしてきた事の申し訳なさと会いたさ、犬に対しての配慮に欠けている自分に対しての悔しさ、今の自分の不甲斐なさなどに。
布を食べる猫
私が寝泊まりさせて頂いていた部屋は、5頭の猫の住まいを間借りさせてもらうかたちでした。しかも、猫達は布を食べる『ウールサッキング』と言う病を患っているらしく、迂闊に衣類や何かを置いておけない環境でした。
窓辺にかかるビリビリ・ズタズタのカーテンを見ると「ウールサッキング」は一目瞭然です。
私が部屋に戻ると猫達は「ウァァァウ~」と警戒しながら部屋の隅に隠れます。だけど夜中に私の布団の上に5匹の猫が乗ってきます。
朝は4時起きで、夜は遅く、猫で寝不足。ホーム(コーダ)シックで泣きながらも、ウールサッキングは人の髪の毛を食べる事もあるそうなので布団をかぶって寝ていました。
そんなこんなで、悪戦苦闘しながらも犬や猫について学んでいくのでした。
次回は野犬だったサブちゃんと、寝たきりのハモちゃんの事を書こうと思います。
タレント犬コーダのテイクわん!~愛犬の可能性④~につづく
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