犬と『一緒に寝る』のは悪い事なの?3つの理由とは

犬と『一緒に寝る』のは悪い事なの?3つの理由とは

以前行った『わんちゃんホンポ』ユーザー様を対象としたアンケートから、とても多くの飼い主さんが愛犬と一緒に寝ていることが分かりました。しかし、巷では「犬と一緒に寝るのはよくない」という話も耳にします。心配している飼い主さんもおられるのではないでしょうか。今回は、よくないとされている理由と、その対策や注意点について説明します。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬と一緒に寝るのは本当によくないの?

犬と寝る女性

以前『わんちゃんホンポ』のユーザー様を対象に行なったアンケートでは、98%の方が「夜、犬と一緒に寝ている」と回答されました。しかし、「犬と一緒に寝るのはよくない」という説もよく耳にします。

もしかすると、毎晩愛犬と一緒に寝ているものの、実は心配されている飼い主さんもおられるかもしれません。「よくない」といわれている理由には、「しつけ」、「健康・衛生面」、「睡眠の質」の3つが挙げられます。

しかし、実際に多くの飼い主さんが愛犬と一緒に寝ている現実を考えると、得られるメリットの大きさが伺えます。つまり対策さえきちんと行えば、愛犬と一緒に寝ることで得られるメリットは大きいということです。そこで今回は、『犬と一緒に寝るのはよくない』と言われている理由とそれに対する対策や注意点を整理しました。

1.「しつけ」の面でのリスク

吠える子犬

「よくない理由」の筆頭が、しつけ面に関するリスクです。その多くは「犬と一緒に寝ると、犬が自分を人間と同じ立場だと思い込み、良好な関係性が崩れる」というものです。

しかし今では、この説が間違いであると考える専門家が増えてきています。犬は秩序ある安全な群れの中で、ルールを守りながら暮らすことを好みます。無秩序な群れの中では「自分がなんとかしなければ」と思うことも事実です。

ただし、すべての犬がリーダーシップを備えているわけではなく、かなりのストレスを抱えながら、なんとかしようと苦しんでいる場合が多いということが分かってきています。

また、普段から飼い主さんとの間にしっかりとした信頼関係が結ばれていれば、一緒に寝るくらいのことでその関係性が崩れることは、ほとんどありません。一緒に寝る寝ないではなく、日頃の信頼関係の構築が大切なのです。

「しつけ」の面でのリスク対策・注意点

アイコンタクトを取る犬

前述の通り、犬は秩序ある安全な群れの中での暮らしを好みます。飼い主さんが日頃の暮らしの中にきちんとルールを作り、それをしつけにより愛犬にしっかりと教えることで、愛犬は安心して飼い主さんを信頼し、心安らかに暮らせます。

飼い主さんがきちんとルールを作り、その基準を守って一貫性のある態度で愛犬に接することで、きちんと信頼関係を構築できるのです。

まずは、愛犬との間にこうした信頼関係を作ることを最優先に考えましょう。こういった関係が築けるまでは、愛犬と一緒に寝ることは避けた方が良いでしょう。

2.「健康・衛生」面におけるリスク

体調不良

次によく耳にする理由は、「犬と人の間には相互に感染し合う共通の病原体があるため、同じ布団で長時間寝ることで過度な接触となり、感染リスクが高まる」というものです。

また一緒に寝るのが小型犬の場合などは、「飼い主さんの寝返りにより愛犬が押しつぶされたり、高いベッドから落下してケガをするリスクが高い」という理由もよく耳にします。

これらの理由は、確かにその通りです。したがって、愛犬と一緒に寝る時にはこれらのリスクに対する対策や注意が必ず必要になります。

衛生面におけるリスク対策・注意点

寝具の洗濯

「健康・衛生」面におけるリスク対策は以下の通りです。

  • 愛犬の体と飼い主さんの体を常に衛生的に保つ
  • 寝具をこまめに洗濯し衛生的な環境を保つ
  • 愛犬の感染症や寄生虫予防を怠らない
  • 飼い主さんの免疫力を落とさない

愛犬と一緒に寝たいのであれば、これらの対策をすることが大原則です。また、愛犬と口でキスをする、顔をなめられてもそのままにする等の必要以上なスキンシップは避けることも大切です。

そして、愛犬にケガをさせないために、「高さのあるベッドは避ける」「広めのベッドや布団を使用する」などの対策も行いましょう。

3.睡眠の質におけるリスク

睡魔と戦う会社員

オーストラリアやアメリカで行われたそれぞれ異なる研究では、客観的な評価指標では『犬と一緒に寝ることで睡眠の質が低下する』傾向が示されました。しかし、被験者本人による評価では高評価が多かったという結果も見られました。

犬と人では、睡眠サイクルが異なります。人は長時間を睡眠状態で過ごしますが、犬は20分弱の睡眠と5分程度の覚醒というサイクルを繰り返します。そのため犬は頻繁に目を覚まし、その都度もぞもぞと動いたり飼い主さんを舐めたりするようです。

その結果、客観的な指標の「睡眠の質の低下」というのは事実なのだと思われますが、それを上回って余りある「精神的なメリット(安心感、幸福感等)」が大きいため、総合的には犬と一緒に寝ることが、必ずしも睡眠の質を低下させるとは限らないと結論付けられています。

「睡眠の質」におけるリスク対策・注意点

愛犬と添い寝

睡眠の質に関しては、飼い主さんの主観的評価の高さが決め手になると思います。したがってどんなに一緒に寝たいと思っても、実際に睡眠の質が低くなり、昼間の生活が耐えられない等の異常をきたす場合には、一緒に寝るというスタイルを見直すべきでしょう。

飼い主さんの免疫力が低下することで、前述の感染症のリスクが高まるということも忘れずに、冷静に判断できるように注意してください。

まとめ

犬と寝る少女

愛犬と一緒に寝ているという飼い主さんは、現実にはとても大勢おられると考えられます。それは、一緒に寝ることで得られる精神的なメリットが大きいからです。しかし、今回説明しましたようにいくつかのリスクが高くなることも事実です。

「一緒に寝たいから」という感情論だけではなく、きちんとリスクに対する対処を行い、十分に注意しながら、愛犬との快適な生活を満喫してください。

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