問題行動とは
ちょっと気になることから深刻な問題まで、犬の問題行動と呼ばれるものには実に様々なケースが存在します。その中でも代表的な問題行動として「無駄吠え」「咬む」「トイレの失敗」などが挙げられることが多いのでは。
さて、この3つのちょっと困った愛犬の行動に対して、わたしたち飼主はどう向き合い、どのような対処をしていけば、問題は正しい方向へと向かうのでしょうか。ここからは事例に合わせ、解決への糸口を探る手掛かりを見ていきましょう。
改善方法1. 観察する
「この子の問題行動を治したいのですが、どうしたら良いですか?どれを試しても効果がなかったのです。」そうおっしゃる飼主さんはたいてい、犬のことを良く観察していません。こう言い切ってしまうとちょっと語弊があるかもしれませんが、事実そうなのです。
お悩みの飼主さんにいざ状況をヒアリングしてみると、驚くほど犬の様子を観察していないことに気づかされます。例えば「愛犬の無駄吠えに困っています。」という飼主さんに対して、以下のような質問をしてみたとします。
それはどんなときですか?よその人とはご家族以外でしょうか。その場合、だれかれ構わず吠えますか?吠える対象に共通した特徴はありますか?犬が吠えているとき飼主さんはどんな行動をとりますか?犬が吠えるときどのような表情でしょう。耳は?歯は?尻尾の状態はどうでしょう…。
すると、多くの飼主さんは途中で応えられなくなってしまいます。つまりこれは、問題とされる行動を犬が取っているとき「吠える」という一コマにだけに飼主さんの意識が傾いていて、他の状況については観察しきれていない状態です。
これでは、解決へのアプローチを導くことはできません。ですから、問題行動の改善に向き合うときに大切なのは、まず観察するということなのです。
改善方法2. 原因を知る
問題行動が起きている状況を注意深く観察してみると、いくつかの共通パターンが見えてくると思います。上記の例を使って考えてみると、例えば吠える対象は子供が多いかもしれない。中でも、小学生の団体は大丈夫だけれども、同じ小学生でもキャーキャー声をあげる少数グループがどうも苦手なようで吠える。といったような大まかなパターンです。
こうしたことが見えてきたら、それは改善アプローチを見つけるためのきっかけになるかもしれません。次に、なぜそのパターンが苦手なのかについて考えてみます。過去をさかのぼり、これまでに体験してきた過程で、トラウマとなってしまうような嫌なできごとが無かったかどうかを思い出してみましょう。
直接的なものから間接的なものまで、思い当たるようなものを書き出してみます。そうしていくうちに、そういえばずいぶん前にあんなことがあったな。など、いくつかの原因があぶり出されてきます。
改善方法3. アプローチしてみる
問題行動の起きているパターンを把握し、対象や原因について思い当たることが分かれば、それらについて犬の印象を変えるためのアプローチをスタートしてみましょう。
犬は印象で覚える動物ですから、ある状況下で嫌なことが過去にあったとすると、次に同じ状況に出くわしたときにはその嫌なできごとから自分や飼主さんを守る行動に出ます。その身を守る行為が「吠える」という飼主さんにとってはちょっと困った形として現れているのかもしれません。
そうした場合、嫌なこととして刷り込まれてしまった犬の印象を、今度は同じ状況で良い印象に塗り替えるアプローチが効果的であると言われています。例えば、動物病院が苦手な犬の経験をたどっていくと、動物病院に行くと注射など犬にとって不快なことをされてばかりで、いいことが一つもない。というワンちゃんは、必然的に病院を嫌がるようになりますよね。
この刷り込まれた嫌な印象を変えるために、動物病院で注射が終わったあとは必ず褒め、獣医さんにあらかじめ協力を依頼し、おやつを与えてもらうなどしてみましょう。犬の持つ印象が変わりますからこれを根気よく続けることで、苦手意識の克服につながっていきます。
まとめ
今回ご紹介した改善方法については、たくさんある事例の中のほんの片鱗に過ぎません。大事なのは、愛犬の心を読みサポートするという飼主さんの気持ちです。良い子にしたいという気持ちから、つい叱ったり、怒鳴ったりしてしまいがちですが、そのようなことでは問題行動が改善する見込みは残念ながら薄いでしょう。
まずは、飼主さん自身の心を穏やかにして、愛犬の心の声に耳を傾けてみてください。そうしてきずなや信頼関係が強くなれば、おのずと問題行動の軽減につながっていきますよ。