「ある犬のおはなし~殺処分ゼロを願って」という絵本
これは殺処分ゼロを願って、『kaisei』さんという方が手作りで作った絵本です。
それがyoutubeに掲載され、SNSで一気に拡散しました。
facebookでは150万以上の「いいね!」を獲得しています。
作者のkaiseiさんはレトリーバー向けのオリジナルグッズを扱うネットショップ・willpapaを経営しています。
殺処分に対する自身の心の中の想いを書きとめておこうと絵本を作り、身近な人に配り始めたそうです。
以下に、殺処分に対するkaiseiさんの言葉を紹介したいと思います。
“殺処分について思うこと
どんなに言葉を選んだとしても、このことを矛盾なしで語ることは本当に難しいと思います。
しかし、不自然な「命」の扱われ方だと感じている人はきっとたくさんいると思います。
私たちはどこかで「豊かさ」を間違えているのかもしれません。
誰かの犠牲の上に立つ「幸せ」を当たり前だと思いこれからもそうしていくべきなのでしょうか。
私は違う世界があってもいいのではないかと思います。”
(引用:http://aruinu.link/profil.html)
現在この絵本はkaiseiさんのホームページ上で電子書籍化されており、2015年11月24日には書籍として販売されました。
なお、売上のうち1パーセントが滝川クリステルさん主催の一般財団法人クリスティ・ヴィ・アンサンブルに寄付されます。
日本の殺処分の現状を考える。
この絵本は、ペットショップで買われた子犬が飼い主に可愛がられながら成長していきますが、だんだんと飼い主からの愛情が薄れ保健所に収容され、殺処分となってしまうというお話です。
内容として説明してしまうと、よくあるストーリーのように聞こえるかもしれません。
しかし、よくあるストーリーだからこそたくさんの人の心に響くのだと思います。
そして、これはよくある話であってはならないのです。
日本では平成25年で、いまだ12万頭以上の犬猫が殺処分となっています。
このような問題に対して、殺処分されてしまうのを「かわいそう」だとか、犬猫を捨てる飼い主を非難するだけでは何の解決にもなりません。
飼い主の愛情を信じ、いつまでも疑うことなく飼い主を待ち続ける犬。
その純粋さに心を打たれるのですが、犬を飼っている人または飼ったことがある人にとっては、自分の大切な犬に対しても、絵本にあるようにただ心細く待たせてしまったことがあるんじゃないかとドキッとしてしまうのだと思います。
犬を飼ったことがない人でも犬猫が捨てられているのを見かけても、どうにも助けてあげられなかったという経験がある人もあるかもしれません。
この絵本のシンプルなストーリーが、犬に対して自身も恣意的な態度をとってしまったことがあるのではないかと、少なからずたくさんの人の心に自責の念を誘うのかもしれません。
それでも、以前に比べると殺処分を減らそうという動きは確かに強くなっています。30年前の日本であれば、犬の殺処分に関する話が150万以上の「いいね!」を獲得したでしょうか。
によると昭和49年から平成12年まで、つい15年程前までは保健所の犬猫引き取り数のうち殺処分率は95%以上でした。
保健所に引き取られた犬猫のほとんどが殺処分となっていたのです。
しかし現在、平成25年には殺処分率は70%近くまで下がりました。
この15年で一般の動物愛護への姿勢が高まってきたことが見て取れると思います。
今では約3割が飼い主に返還されたり、譲渡されたりしているのです。
まとめ
「ある犬のおはなし」、この絵本がこんなに共感を得ているというのは、日本社会がこの殺処分という問題に対して、確実に動きつつあるということの表れではないでしょうか。
具体的にこの問題に対して何らかのサポートを行うことは、ややハードルが高いように思うかもしれません。
保護犬を引き取りたくても、金銭的な問題やトラウマを抱えた犬をきちんとサポートできるかなど、犬を迎えるには準備が必要です。
ただ、保護犬を引き取る以外にも、このような問題に対して知識を深め広げることも立派な支援になります。
どうにか殺処分される犬猫が減るように関わっていこうという人が増えることが大切なのだと思います。
できることから、ひとつずつ。