大型犬ミックスのスティーブ・メイソン
飼い主とのハイキングが大好きだった
飼い主とよくハイキングに出かけた大型犬雑種のメイソンは、大好きな飼い主と時間をともに過ごす事16年。
メイソンの老いを日に日に感じた飼い主は、メイソンの最期はハイキング中、もしくは眠るように虹の橋を渡って欲しいと願っていました。
ある日、飼い主の女性は、メイソンと一緒に思い出を作る時間が残り多くないことを悟り、万一のことも想定して他の飼い犬3匹とメイソンを連れてハイキングに出かけました。
ハイキングに出てから2キロメートルほど行った地点で、背後にいるオオカミの存在に気がつきましたが、オオカミは人を避けて、姿を現さないということを飼い主は知っていたため、気にせず山道を犬4匹と一緒に歩き続けました。
飼い主と仲間を守るため、犠牲になったメイソン
ところが道中、一匹の犬が迫ってくるオオカミに気が付きました。
きっとお腹を空かせていたのでしょう、飼い主と4匹の背後に、やせ細ったオオカミが姿を現しました。
オオカミの様子から、不穏な空気を察した飼い主は引き返そうとしましたが、ふいにオオカミが襲ってきたのです。
4匹の犬と飼い主は必死でオオカミと戦いましたが、オオカミはその中でも一番小さい犬に目をつけ、襲いかかろうとしたその時でした。
メイソンが間に飛び入り、オオカミと勇敢に戦いました。
それは一瞬の出来事でした、メイソンはオオカミに首元を噛まれ、その傷が致命傷となりそのまま深い眠りにつきました。
メイソンは自分を犠牲にして、飼い主と3匹の犬の命を守ったのです。
ラブラドールレトリーバーのスウォンジー・ジャック
27人を溺死から救出したジャック
1930年代、ブラックラブラドールレトリーバーのジャックは、飼い主のウィリアム・トーマスさんと一緒に英国ウェールズ、スウォンジーのリバータウエに暮らしていました。
ある日、ジャックは川で小さな男の子が溺れかけているのを発見すると、自ら飛び込み男の子の首元を掴みながら岸まで泳ぎ救出しました。
ところが、その救出の目撃者はおらず、男の子はその救出劇を語ったのですが、その時は信じてくれる人がいませんでした。
しかし、ジャックは男の子のみならずそのわずか数週間後、川で溺れていた人をまた救出しました。
その後、次から次へとジャックの救出劇は続き10年のうちに27人もの人を、ウェールズで最も危険だと言われているリバータウエで救いました。
勇敢なジャックは各種方面から賞賛された
ジャックの努力と勇気を称え、スウォンジーの自治体からはメダル、年間で最も勇敢な犬に与えられる賞に選ばれ、ロンドン市長からも賞賛されました。
その栄光は今も語り継がれています。
彼の勇敢さから、プレミアリーグ、スウォンジーFCのサッカーチームの愛称、「スウォンジー・ジャック」の由来になったと言われています。
セントバーナードのバムセ
見た目は愛くるしいクマのようなバムセ
第二次世界大戦中、ノルウェーの掃海艇でセントバーナードのバムセは働いていました。
彼の可愛くて愛くるしい見た目にもかかわらず、「バムセ」はノルウェー語で「かわいいクマ」という意味が込められていた事が物語っているように、彼はとても勇敢な犬で、多くの人に愛されていました。
もともと、船の船長が連れてきた犬でしたが、ある日、船長は別の船に移る時にバムセも連れて出て行こうと決めましたが、バムセのことが大好きだったある船員も一緒に船から出ると、船長に反抗したくらいバムセは愛されていました。
船員の安全と命を守ったバムセ
掃海艇がダンディーとモントローズで停留していた時のことでした。
バムセは特別なバス乗車許可書を身につけていて、泥酔した船員をそれぞれバスで帰還させる役割や、酔っ払って乱闘を起こした場合止める役割を担っていました。
彼は泥酔して海に飛び込もうとした船員を救出したり、ナイフを持った男に追われた船員を救出し、ナイフを持った男を海まで引きずり込んたなど様々な英雄的活躍を遂げていました。
バムセは英雄的存在でしたが、船員の精神を落ち着かせるペースメーカーとしても重要な役割を担っていました。
船上で時には、ついカッとなって争いごとに発展しそうになった船員同士の肩に腕を回し、「落ち着いて、喧嘩してもいいことないよ」と言い聞かせるように振舞ったり。
バムセは船の停留所であるスコットランドのみではなく、様々な停留所で有名犬として知られていました。
そんなバムセは、毎年クリスマスになると船員の帽子を被り、その愛くるしい姿の写真がノルウェーで帰りを待つ船員の親戚に、クリスマスカードとして送付されていました。
コリー犬のピクルス
1996年、消えたワールドカップトロフィー
1996年のワールドカップはイギリスで開催を予定
されており、もちろん、開催国のイギリスにとっては大きなイベントとして、大変な盛り上がりを見せていました。
ところがそんな中、ワールドカップ開催の4ヶ月前、なんとワールドカップトロフィーが何者かに盗まれてしまったのです。
それはもう開催国のイギリスからすると大事件でした。
世界中から注目を浴びたピクルス
ある日の事、コリー犬のピクルスは飼い主と一緒に散歩中、茂みの中から消えたワールドカップトロフィーを偶然発見します。
国の威信をかけたワールドカップの、開催が危ぶまれるほどの窮地からイギリスを救ったピクルス。
この発見から彼は一躍有名犬となりました。
彼は、イギリスを困惑から救った救世主として賞賛されました。
大きな祝杯を受け、彼は1000ポンドものの賞金を与えられ、後も数々のメディアや映画でたちまちスター的存在となりました。
数々の郵便物と一緒に旅したオウニー
オウニーは郵便袋の匂いと触感が大好きなわんこでした。
ある時、飼い主が出かけたのを見計らって、オウニーは大好きな郵便袋を追いかけることにしました。
彼は陸、電車、船など郵便袋がどこへ行こうとついて行きました。
長きに渡る郵便袋との旅は、ついには全米を網羅することに。
旅を続けるうちに、当時の郵便配達の人からは、オウニーが乗車した郵便電車が無事故だったことから、彼は安全犬としてお守りのような存在となっていました。
そんな彼の功績を讃えるため、通りかかった街々から、彼の首輪にはメダルが与えられ、メダルがあまりに増えてしまった結果、最終的に彼は賞賛を称したジャケットが与えられたそうです。
その後、郵便切手にまでなったりと彼は郵便犬として今も語り継がれています。
以上、歴史に名を刻んだ名犬のお話をいくつか紹介させていただきましたが、みなさんはいくつご存知でしたか?