犬の短いマズルと尻尾のねじれに関連する遺伝子の変異発見

犬の短いマズルと尻尾のねじれに関連する遺伝子の変異発見

ブルドッグなど短頭種の犬の短いマズルとスクリューテールと呼ばれる尾椎がねじれた状態の尻尾に関連する遺伝子の変異が発見されました。

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短頭種の犬の健康問題に関連する遺伝子

座った姿勢のイングリッシュブルドッグ

ブルドッグ、ボストンテリアなど、マズルの短い短頭種の犬の健康問題については様々な面から研究が行われています。先ごろフィンランドのヘルシンキ大学の遺伝子学者が、尻尾側の椎骨の形状とマズルの短さに関連する遺伝子変異体を発見したと発表しました。

ブルドッグやボストンテリアに見られるコロンとねじれた短い尻尾は、スクリューテールと呼ばれ可愛らしいと捉えられていますが、生まれつきの脊椎奇形から生じたものです。

2019年に発表されたカリフォルニア大学デイビス校による研究では、このスクリューテールはDVL2遺伝子の変異体に関連しているとされました。しかし尻尾以外の体型や健康への健康への具体的な影響は判っていませんでした。

ヘルシンキ大学の研究者は、15犬種1954匹の犬におけるDVL2遺伝子変異体の分布を調査し、この変異体が関連する犬の外観や健康状態についていくつかの発見がありました。

該当する遺伝子変異体を持つ犬種

凛々しく立つアメリカンスタッフォードシャーテリア

DVL2遺伝子変異体を持っているかどうかを調査された15犬種は以下の通りです。

ほぼ全てがスクリューテールを持つ3犬種:ボストンテリア、フレンチブルドッグ、イングリッシュブルドッグ

俗にピットブルタイプと呼ばれる7犬種:アメリカンスタッフォードシャーテリア、スタッフォードシャーブルテリア、フレンチマスチフ、オールディーイングリッシュブルドッグ、アメリカンブルドッグ、ブルテリア、ミニチュアブルテリア

小型犬の短頭種5犬種:ラサアプソ、シーズー、チベタンスパニエル、ペキニーズ、キングチャールズスパニエル

上記のうち全てのイングリッシュブルドッグ、フレンチブルドッグ、ボストンテリアは両方の親から受け継いだ同型接合体の遺伝子変異体を持っていました。

つまりこの3犬種においては正常なDVL2遺伝子を持っている個体はいなかったということです。ピットブルタイプの犬種ではブルテリアとミニチュアブルテリア以外の5犬種でDVL2遺伝子の正常体と変異体の両方が見つかりました。

この変異体が体型に及ぼす影響を確認するため、研究者は様々な遺伝子型のアメリカンスタッフォードシャーテリアの骨格を分析しました。その結果、両方の親から受け継いだ型(同型接合体)の遺伝子変異体が尾椎の異常をもたらすことが明確に示されました。

またDVL2遺伝子の変異体はマズルの長さにも影響を与えていました。両方の親がこの遺伝子変異体を持っていた場合、片方の親だけが変異体を持っていた場合(ヘテロ接合体)に比べてマズルが大幅に短くなっていました。同様にヘテロ接合体の犬はどちらの親も遺伝子変異体を持っていなかった犬よりもマズルが短くなっていました。

骨格以外への影響の可能性

こちらを見つめるボストンテリア

このようにDVL2遺伝子の変異は骨格に明確な影響を及ぼすことが示されましたが、それだけでなく同型接合体の遺伝子変異(両方の親から遺伝子変異を受け継いでいる)を持っている犬に先天性心疾患があることが複数発見されました。

これについてはさらに調査が必要であるとされていますが、DVL2遺伝子変異体との関連が確認されれば、特定の犬種における先天性心疾患を部分的に説明できる可能性があります。

この研究で調査の対象となったDVL2遺伝子の他に、犬の体型に影響を与える他の遺伝的変異あります。これらが複合することで、より深刻な健康上の問題が起こる可能性があります。

上記で繰り返し「同型接合体」という点が挙げられていますが、両方の親がDVL2遺伝子変異体を持っている場合、その子らは尾椎の異常や短いマズルというリスクを負うことになります。言い換えれば繁殖に使う個体に遺伝子検査をすることでこのリスクを予防できるということです。

しかしほぼ全ての個体がスクリューテールを持っている犬種は、ほぼ全てがDVL2遺伝子変異体を持っているということなので、現在の繁殖プログラムではこの点の改善は不可能であると研究者は述べています。

まとめ

つぶらな瞳でこちらを見上げるフレンチブルドッグ

短頭種の犬のコロンと丸まったスクリューテールを引き起こす遺伝子の変異は、より短いマズルにも関連していること、さらに先天性心疾患に関連する可能性もあることが発見されたという調査結果をご紹介しました。

スクリューテールは確かに可愛らしく見えるのですが、この尻尾を持つ犬種は全て先天的に脊椎の奇形を持っているということの異常性はもっと広く知られる必要があります。

短いマズルを引き起こす遺伝子が明らかになった以上、短すぎるマズルで健康上の問題を背負わされた犬を作り出す罪はストップしなくてはなりません。

《参考URL》
https://link.springer.com/article/10.1007/s00439-021-02261-8
https://www2.helsinki.fi/en/news/life-science-news/researchers-discover-new-features-of-a-gene-defect-that-affects-the-length-of-the-muzzle-and-caudal-vertebrae-in-dogs
https://journals.plos.org/plosgenetics/article?id=10.1371/journal.pgen.1007850

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