犬の認知と行動についての研究の件数
犬に関連するウェブサイトや記事を見ていると、犬の認知や行動学という言葉をよく目にすると思われたことはないでしょうか。海外には犬認知研究所を設けている大学も見受けられます。
厚生労働省の定義によると「認知」とは、理解・判断・論理などの知的機能を指します。心理学的には知覚・判断・想像・推論・決定・記憶・言語理解といったさまざまな要素が含まれます。
確かに犬の知覚や判断、記憶や言語理解をさまざまな実験や行動からリサーチする研究は数多く目にします。しかしこれまで犬の認知と行動に関する科学的研究の世界的な傾向について正式な調査がなされたことはありませんでした。
この度イタリアのナポリ大学経済統計学部の研究者が、犬の認知と行動科学に関する過去34年間の公開傾向を調査分析し、その結果を発表しました。
「犬の認知と行動科学の研究」は確かに増えていた
研究者はマッピング分析に使用されるツールを使ってデータ分析を行ったところ、犬の認知および行動科学の研究分野に関する文献のほとんどは2000年以降に発表されており、2005年以降急増していることが分かりました。
研究者はまた、これらの文献をソース、国、著者の所属、共起ネットワーク、コラボレーションネットワークなど関連する全ての情報を分析しました。
分析の結果は、犬の認知および行動科学に関する研究は単純に増加しているだけでなく、一般的な(主に人間についての)認知や行動よりもはるかに多くの研究者の関心を集めていることを示していました。
つまり過去15〜20年の間に犬の認知や行動に関する研究は大きく進み、多くのことが明らかになりつつあるということです。
一般の飼い主として意識しておきたいこと
このように犬について20年前には解っていなかったことが研究によって明らかになったり、誤っていた認識が改められたりしています。
それに伴って犬のトレーニング方法やケアのやり方にも科学的な理論が取り入れられて、新しい方法がどんどん考案されています。これらは犬の認知研究に基づいているので、犬が物事をどのように知覚しているかを知り、それを記憶や理解に導くには人間がどのように行動するのが効果的であるかが示されています。
「私は犬の飼育歴が長いから犬のことを理解している」「先代の犬の時に訓練士に付いて学んだので大丈夫」という飼い主さんは一度ご自分の知識をアップデートしてみると良いかと思います。
犬の認知や動物行動学の第一人者の著書で日本語に翻訳されているものも沢山ありますので、できるだけ新しく出版されたものを選んで読んでみることで、常識と思っていたことが引っくり返ったり、目からウロコが落ちるような経験があるかもしれません。
飼い主として知っておかなくてはいけないのは、犬に関する研究は日々進んでいるということ。過去の非科学的な方法に固執することは犬にとっても人にとっても不幸だということです。
まとめ
経済統計学という分野の、犬とは一見なんの関係もなさそうな研究者が、2005年以降犬の認知と行動科学についての研究文献の出版が急増しているという統計結果を発表したことをご紹介しました。
繰り返しになりますが、それだけ文献の発表が増えているということは犬についての認識はどんどん更新されていっているということです。
一般の飼い主にとって論文や研究文献などは縁遠い存在に思えますが、一般向けに分かりやすく書かれた書籍やセミナーなどを通じて、犬についての知識をアップデートしておくことは大切です。
《参考URL》
https://link.springer.com/article/10.1007/s10071-020-01448-2
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-043.html
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20代 男性 匿名