人が犬に対するように自動車を愛すると安全性が向上する?
人間は愛犬に対して持つのと同じ種類の感情や親しみを自動車に対して持つことができるだろうか?と聞かれたら、どのように答えますか?私なら「人によるのでは?」と答えると思います。
けれど愛犬を大切に慈しむのと同じように、注意深く自動車を運転し丁寧にケアをすることで安全性が向上するのではないか。それなら人間が犬に対して持つ感情を呼び起こすような要素を自動車の設計やデザインに取り入れてはどうだろうか。
このようなユニークな発想から、韓国の国立大学である韓国科学技術院の工業デザイン学部の研究者が犬の飼い主へのインタビューを含むリサーチが行われました。
研究者が想定しているのはスマートカーと呼ばれるエレクトロニクス技術等によって高知能化された次世代型自動車で、犬的要素をどのようにデザインや設計に取り入れるのかはまだ調査の途中段階だそうです。調査がどのように着手されたのかを少し紹介いたします。
自動車と犬的要素のリンクを探るためのインタビュー
研究者は動物病院やペットホテルで告知をして、研究のためのインタビューに応じてくれる参加者を募集しました。そうして21〜58歳の12人の参加者が選ばれました。全ての参加者は3ヶ月から18年の範囲で犬を飼った経験があり、全員が自動車を所有して日常的に運転している人たちです。
インタビューの内容は「犬のどのような行動に喜びを感じますか?」「愛犬がハッピーでない時あなたは何故それがわかるのですか?」「愛犬はあなたの心を読むことができると思いますか?」というものです。
また「あなたの犬の魂が車に搭載されたと想像して、運転中のさまざまな状況で犬の魂がどのように反応するか想像してみてください」という難易度の高い質問もありました。
人は犬のどのようなところに惹かれるのか
インタビューからまとめられた、人々が犬に対して持っている感情は私たちにとって馴染み深いものでした。
- 愛犬が犬自身の好みや考えを飼い主に伝えて来た時、それを好ましく思う
- 散歩に出かけることを察知して興奮する様子を好ましく感じる
- 犬が撫でられることや食べ物をねだる時、好ましく思う
- 犬が家庭内の雰囲気に反応したり、飼い主に思いやりを示す時嬉しく思う
- 犬が人間の感情に共感する能力を高く評価する
参加者の多くが最も強く好んだ犬的要素は忠実さでした。
どれも愛犬家にとってはおなじみの犬的な要素ですが、これらを自動車の設計にどのように取り入れるのかは検討が始まったばかりの段階のようです。
自動車がドライバーに対して共感や忠誠心をどのように示すかについての案は次のようなものがあるそうです。
- ドライバーの心拍数などから動揺が感じられる時により詳細な指示を与える
- ドライバーが眠気をもよおした場合には自動的に換気を行う
- オーナードライバーだけに自動的にドアを開ける
どうでしょう?自動車がこのように設計されていると犬的な要素を感じると思われますか?
まとめ
次世代のスマートカーの研究者が、人々が自動車に求めるものは愛犬との関係と共通するという考えのもとに研究を開始したという話題をご紹介しました。
ドライバーの状態を感知して先回りした対応をするスマートカーは愛犬というよりも有能な秘書のようだと個人的には思うのですが、みなさんはどう思われましたか?
《参考URL》
http://index.ijdesign.org/index.php/IJDesign/article/viewFile/3539/885