病気や認知研究のベースラインとなる家庭犬の活動パターンの調査結果

病気や認知研究のベースラインとなる家庭犬の活動パターンの調査結果

犬の慢性疾患や認知機能障害などを研究する際、睡眠と活動のパターンの把握は重要です。その基準となる犬の活動と睡眠のパターンを調査した結果が発表されました。

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犬の通常の睡眠パターンを知る必要性

床で眠るジャックラッセルテリア

犬でも人間でも、睡眠は健康を保つためにとても重要なものです。しかし、睡眠パターンがどのようになれば健康に悪影響があるのか、特定の健康障害が睡眠パターンに現れるのかどうかなどを知るためには、ベースラインとなる「通常の睡眠パターン」という基準が必要です。

少し意外な感じがしますが「犬の通常の睡眠パターン」についての研究はあまり多くなく、現在利用可能な研究は20年以上前のものなのだそうです。

アメリカのノースカロライナ州立大学の行動医学の研究チームが、犬の睡眠を含めた活動のパターンのベースラインを知るため犬の24時間/日の活動についてリサーチを行い、その結果が発表されました。

家庭犬の睡眠と活動のパターンとサイクルを調査

散歩する女性とゴールデンレトリーバー

このリサーチには42匹の家庭犬が参加しました。年齢は2歳から8歳、性別はオス21匹メス21匹。全員が持病などが無い健康な個体です。

犬たちは2週間に渡って活動を記録するモニターが付いたカラーを装着して生活しました。こうして1日24時間犬の活動の全てがデータとして記録され表示されました。

飼い主は、飼い主と犬自身の基本データの他、普段犬がどこで寝るのか、寝る時に誰かと一緒かどうかなど犬の睡眠パターンについての質問票に回答しました。

このようにして記録されたデータから、はっきりとしたパターンが見出されました。

1日の中の犬の活動のピークは2回

おもちゃを咥えたビーグル

記録されたデータを線形モデルとして表示すると、ほとんどの犬が1日の中で2回の活動ピークを持っていることが判りました。

典型的なパターンは、午前8時から午前10時くらいの間の短めの活発な時間帯、その後は昼間の静かで落ち着いた時間帯、そして午後5時から午後11時くらいの間の長めの活発な時間帯、その後に本格的な睡眠となります。また全ての犬は平日よりも週末の方が活動的でした。

参加した飼い主は全員が家の外で仕事を持っている人々だったので、犬が活発になるのは飼い主の存在がある時だということも分かりました。例外的に午後の時間帯などに時折急に活動的になる犬も見られましたが、平均すると上記のパターンは全ての犬に当てはまりました。

体重と性別は活動パターンに影響を及ぼしていました。体重の軽い犬では、短時間ながら真夜中過ぎに活動的になる傾向がありました。またメス犬はオス犬よりも夕方の活動ピーク時に活発になる傾向が見られました。

リサーチに参加した犬の年齢は2歳〜8歳という狭い幅でしたが、年齢も活動への影響が見られました。年を重ねた犬は活動ピーク時の活動が少なかったということです。

研究者はこのリサーチの結果が「犬が何らかの苦痛を感じているかどうか」「認知機能障害が発症しているかどうか」「睡眠障害があるかどうか」などを知る際の基準として役立つことを希望すると述べています。

まとめ

ボールを抱えた柴犬

睡眠を含めた犬の活動パターンについてのリサーチ結果から、犬は1日の中で午前と夕方の2度の活動ピークがあること、活動パターンには年齢、性別、体重の影響があると分かったことをご紹介しました。

このように一般の飼い主ではカバーできない数の犬の行動についての研究は、犬の健康状態を正しく把握するための基準を作るために非常に役立つものです。このようにベースラインを知っておくことはとても大切です。

飼い主が把握できるベースラインは、定期的に自分の犬の活動のパターンを意識的にチェックして記録しておくことです。ベースラインがあれば「ちょっと調子が悪いかな?」と感じた時に、普段と具体的にどこが違うのかを把握する手助けになります。

《参考URL》
https://www.nature.com/articles/s41598-020-79274-2

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