過去の記憶?犬は捕食動物の匂いを生まれつき嗅ぎ分けられる【研究結果】

過去の記憶?犬は捕食動物の匂いを生まれつき嗅ぎ分けられる【研究結果】

犬は熊やヤマネコなどの捕食動物の匂いを生まれつき危険なものとして認識しているかどうかを確認する実験が行われその結果が発表されました。犬の恐怖と生き残り戦略に関連する研究結果をご紹介します。

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捕食動物を察知する能力は生きる原動力

2頭のホワイトシェパード

動物界には他の生き物を捕まえて食べる捕食者と獲物となる被食者がいます。小型の捕食者の動物は、より大きい捕食者に食べられる被食者になることもあります。いずれにせよ、捕食動物の存在をいち早く察知して回避することは、食べられる側の動物にとってサバイバルと種の保存のための重大な能力です。

過去の研究では犬は捕食者として扱われることがほとんどでしたが、実際には犬はコヨーテやオオカミ、大型ネコ科動物やクマに捕食されることも少なくありません。野生の中ではこれらの動物は可能な限りお互いを避けています。

イギリスのダービー大学とノルウェーのサウスイーストノルウェー大学の研究チームが、犬が捕食動物の匂いを検出する生来の能力を持っているかどうかを実験によって調査し、その結果を発表しました。

普通の家庭犬は捕食動物の匂いを察知できるかの実験

森の中のクマ

実験にはイギリスとノルウェーの82頭の家庭犬が参加しました。うち55頭はクマの匂い検知に参加しました。55頭のうち19頭は狩猟の経験があり、18頭がクマの匂いを嗅いだことがありました。残り37頭はクマの匂いに対して未知でした。

27頭の犬はオオヤマネコの匂い検知に参加しました。狩猟の経験のある犬は6頭いましたがオオヤマネコと出会ったり匂いを嗅いだ経験のある者はいませんでした。つまり実験に参加した全ての犬にとってオオヤマネコの匂いは初めて嗅ぐ未知の匂いだったというわけです。

実験当日、犬たちは朝の食事を与えられていませんでした。空腹状態の犬は心拍数モニターを装着して実験室に通されます。実験エリアにはフードの入ったボウルが3つ置かれています。

ボウルの前には匂いのサンプルが入ったシャーレが置かれています。犬はフードにありつくためには匂いに近づかざるを得ません。3つのシャーレの匂いは、クマまたはオオヤマネコのフン、草食動物であるビーバーのフン、単なる水です。

犬がフードに近づいた時の様子はビデオに録画され、心拍数の記録と共に検証されました。

捕食動物の匂いに対する犬の反応とは?

怯えた様子の犬

3種の匂いに近づいた犬の様子は、各匂いの半径40cm以内の距離で過ごした時間と、半径40cm以内に入った時の犬の心拍数の変化で検証されました。

クマまたはオオヤマネコの匂いの側で過ごした時間は、他の2種の匂いに比べて短いものでした。これは野生動物が捕食者の存在に気づいた時に取る戦略である「回避」です。捕食者の存在や気配との接触時間を短くすることで、自分自身が捕食者に発見される可能性を低くします。

またクマまたはオオヤマネコの匂いに近づいた時、犬の心拍数は大幅に上昇し恐怖や不安を感じていることを示しました。ビーバーや水の匂いの側では心拍数の上昇はありませんでした。

犬が捕食者の匂いを経験したことのない場合でも反応は同じでした。これは捕食者の匂いを認識することと、その匂いを検知した時の恐怖や不安を示す反応は、個々の犬の経験からではなく生まれつきの遺伝的な記憶から来ていることを示唆しています。

まとめ

森の中のワイマラナー

過去に捕食動物に出会ったこともなく匂いを嗅いだ経験もない犬でも、捕食動物の匂いを嗅ぐと回避行動と恐怖や不安を示したという実験の結果をご紹介しました。

犬はクマやヤマネコなど捕食者に対する生き残り戦略を生まれつき持っているように進化してきたと言えます。生き物の進化や遺伝コードと云ったものの精巧さに改めて驚かされると同時に、恐怖や不安というものが本来は生き残るために必要なものであることがよくわかります。

《参考URL》
https://link.springer.com/article/10.1007/s10071-020-01379-y

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