コロナ禍でのリモート勤務と犬の分離不安
犬の分離不安は飼い主の悩みの上位に常に入っているもののひとつです。飼い主が留守にしている間、過剰に吠え続けたり遠吠えをする、家具や日用品を破壊する、落ち着きなく動き回るなどは分離不安行動の一般的な例です。
新型コロナウイルスによるパンデミックの中、勤務形態を在宅で仕事をするリモート勤務にする企業が増え、パンデミック以前に比べてずっと長い時間をペットの犬と過ごす人が増えています。
犬にとっては嬉しいことのように思えますが、飼い主の在宅時間が増えたことで犬にストレスの兆候が見えたり、分離不安がひどくなったと感じている人も増えているそうです。
そのような状況を受けて、アメリカのペット用サプリメントの会社Veterinary Naturalsが全米50州の犬の飼い主を対象にして愛犬と分離不安に関するアンケート調査を行いました。
分離不安アンケート調査の結果いろいろ
アンケート調査では飼い主の勤務形態が質問され、後の回答もそれによって分類されました。勤務形態は「リモート勤務」「非リモート勤務」「リモートと出社の混合」の3種類です。
あなたの犬には分離不安行動がありますか?という質問では、「ある」と回答したのは全体では53%だったのに対し、リモートと出社の混合勤務の飼い主では60%と高めになりました。
愛犬にはどのような分離不安の症状がありますか?という質問では「吠え行動と遠吠え40.2%」「家具などを噛む29.3%」「落ち着きなく動き回る25%」「排泄の粗相21.8%」「食欲不振14.5%」「クレートや部屋から脱走12.8%」などの回答がありました。
これらの分離不安行動はパンデミック以前と以後でひどくなりましたか?という質問に対し、「はい」と回答したのは、リモート勤務の飼い主では38.%、非リモート勤務の飼い主では25%と半数以下だったのに対し、混合勤務の飼い主では約半数の49%が「はい、ひどくなった」と回答しました。
パンデミック以降、家の中でも犬が自分の後を付いて歩くようになったという回答は58%、出かける準備を始めると犬が明らかにストレスを感じているのがわかるという回答は61%でした。
犬の分離不安に対してどのように対処しますか?という質問には、「CBDサプリメントやトリーツを使う58%」「デイケア施設に預ける40%」などの回答が目立ったのに対して「プロのドッグトレーナーに相談する」という回答が6.5%しかなかったことに、アンケートを実施した会社が驚きを表していました。
なぜパンデミック下で分離不安がひどくなるのだろう?
回答からわかるように、半数以上の飼い主が愛犬には分離不安行動があると感じており、パンデミックの後愛犬が飼い主から離れたがらない傾向があることを報告しています。
犬を含めて動物にとっては毎日同じルーティンが繰り返されることは精神の安定に重要なことです。かつての日常のルーティンが崩れたことは犬の不安行動に関連していると考えられます。
また勤務形態がリモートと出社の混合タイプの場合、飼い主の行動が’予想しにくくルーティンが成立しにくいために「犬の分離不安行動がひどくなった」と答えた人が多かったのだと思われます。
問題は犬の側だけでなく、人間の側にもある可能性も示されています。
「飼い主のあなた自身が感じている不安が犬に影響を及ぼしていると思いますか?」という質問に対しては「はい、そう思う35.67%」「ややそう思う45.17%」「いいえ、そう思わない19.17%」という結果で、8割以上の人が自分の不安の影響を肯定しています。
パンデミック下では感染、収入源、失業など深刻な不安と隣り合わせですから、これらは頷ける回答と言えます。
アンケートを実施した会社は、犬のルーティンを重視してキープすること、サプリメントや遠隔操作ができるカメラ付き給餌ロボットなどの利用、プロのトレーナーへの相談を推奨しています。また飼い主自身の精神を安定させることが重要であることも強調しています。
まとめ
アメリカのペット用サプリメントの会社が行なった、パンデミック下の犬の分離不安に関するアンケートの内容をご紹介しました。
アメリカは日本よりも感染の規模がずっと大きいことや犬を飼っている人の割合も高いため、ここで取り上げた様々な問題の深刻度も高いのですが、ここで紹介した内容のほとんどは日本の犬と飼い主さんたちにも当てはまることだと思います。
心配事や悩みの尽きない現在ですが、何かしらヒントになれば幸いです。
《参考URL》
https://blog.vetnaturals.com/how-americas-dogs-handle-separation-anxiety-survey-results/