犬のためだけに作られたクリスマスソング
年末が近づきクリスマスソングが聞こえてくると気ぜわしいながらも少し気持ちが浮き立ちますよね。愛犬にもそんな気持ちを味わってもらえるかもしれない犬のためのクリスマスソングが作られ発表されました。
このプロジェクトはイギリスのドッグフードの会社Tails.comが実施したものです。音が犬に与える作用の科学的な研究結果や、動物行動学者の意見を取り入れて犬のための音楽が作られました。
過去の研究結果と犬たちの協力で作られた曲
犬のためのクリスマスソングは徹底的に犬の好みを追求してデザインされました。2017年にスコットランドのグラスゴー大学とスコットランド動物虐待防止協会がリサーチした犬と音楽の研究では、犬が最も好んだジャンルはレゲエだということが判っていますので、クリスマスソングのビートはレゲエが選ばれました。
インターネットに投稿されたビデオを分析したところ、犬は高周波音に強く反応することも判ったので、そのような音域が多く取り入れられました。プロジェクトに協力するため25匹の犬が参加し、音楽プロデューサーは犬たちに向けて500種類以上の様々な音を再生して聞かせました。その中で犬たちが特に強く反応した音が採用されました。
こうして曲を組み立てるための音が選択されて行き、動物行動学者の意見を取り入れながら作曲が進められました。曲が完成したら録音です。なんと!ビートルズで有名なあのアビーロードスタジオで録音と仕上げが行われました。
完成した曲はこちらです。
レゲエをベースに、犬の鳴き声、おもちゃがピィピィ鳴る音、ベルの音、そして人間の声で「お散歩行く?」「ごはんだよ」「おやつだよ」「おすわり」「いい子だね」などの言葉が使われています。
犬たちの反応とプロジェクトの目的
この曲を発表したTails.com社はプレスリリースで「犬たちはこの曲を楽しんでいることを示したサインは次のようなものでした」といくつかの項目をあげています。
- 音に注意を向ける
- 音がどこからきているのか探そうとする
- 首をかしげる
- よく聞こえるよう耳を動かす
- 尻尾を振る
また、元々このプロジェクトには「犬とその飼い主の生活をより良いものにする」という目的があり、2020年初めにはTails.comコミュニティ基金も立ち上げられています。
今回リリースされたこの曲はYouTubeやApple Musicから無料で視聴やダウンロードもできるのですが、限定版でアナログレコードが発売されます。価格は10ポンド(約1400円)で、収益はDudes and Dogsというメンタルヘルスの病気を抱える男性を支援する団体に寄付されます。
この団体はメンタルの病気のプレッシャーや悩みを、犬との散歩や会話を通じて和らげるよう支援しています。設立者の男性が自分自身や友人の経験から立ち上げた団体です。支援対象を男性にしているのは、男性は他の人に悩みを打ち明けたりすることのハードルが高くて、助けが届きにくいからだそうです。
限定版レコードのジャケットは、この設立者の愛犬マリがフューチャーされており「犬好きな人へのクリスマスギフトに!」と呼びかけられています。
まとめ
イギリスのドッグフードの会社が、チャリティプロジェクトとして犬のためのクリスマスソングをリリースしたという話題をご紹介しました。犬の好みを徹底的に追求したというこの曲、ぜひ愛犬と一緒に聴いてみてください。我が家の犬たちは私がこの曲を再生すると、それまで寝ていたというのにムクッと首をあげてキョロキョロしていました。
チャリティを目的にしつつも犬と人が一緒に楽しめるこのプロジェクト、気負いがなくて素敵だなと感じます。
《参考URL》
https://www.today.com/health/how-program-where-men-walk-dogs-helping-mental-health-t171471