犬に『新しいゲームを紹介する時』のコツが分かる実験結果

犬に『新しいゲームを紹介する時』のコツが分かる実験結果

犬のための知育ゲームは巷にたくさんありますが、犬に紹介する時に気をつける点やコツが分かる実験の結果が発表されました。その内容をご紹介します。

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犬に頭を使うゲームを紹介するときはどんな方法がベスト?

フードパズルを嗅ぐジャックラッセルテリア

仕掛けのあるフタ付きの箱やボードにトリーツを隠して犬が探し出すというタイプの知育玩具やゲームは沢山市販されており、一般的にもよく知られています。

このようなゲームは犬の脳と心に程よい刺激となり、エンリッチメント(生活を豊かにするもの)として犬の福祉の向上にも役立ちます。

けれど新しいゲームを犬に教えたり新しい玩具の使い方を紹介する時、何か気をつける点はあるのでしょうか?あるとすればそれは何でしょう?

オーストリアのウィーン獣医大学動物福祉科学研究所の研究チームがこの疑問に大きなヒントとなる実験を行いその結果を発表しました。

アニマルシェルターの犬たちが実験に参加

トリーツ探しゲームをする犬

実験に参加したのはアニマルシェルターで保護されている平均年齢4.5歳の28匹の犬たちでした。

犬たちに与えられたゲームは、4つに区切られたボックスのどこかに隠されたトリーツを見つけるというものです。4つの区切りにはそれぞれ違う仕掛けのフタが付いていて、そのフタを開ける方法が分からないと中のトリーツにありつけません。

28匹の犬は2つのグループに分けられました。1つのグループはボックスのフタの仕掛けを段階的に犬に示し、ゆっくりとゲームを理解して行きます。こちらを「ゆっくりグループ」と呼びます。

もう1つのグループは段階を踏まずに、最初から最終段階の状態を紹介します。こちらは「急ぎグループ」と呼びます。

ゆっくりグループでは、最初に4つの区切りのうち2つだけを使ってトリーツを探すゲームをしました。ゲームを始める前に犬の前でフタを開ける仕掛けと中にトリーツがあることを見せておきます。2つの区切りを使って6回ゲームを行い、犬は合計12個のトリーツをもらうことができます。

休憩を挟んで、4つの区切りのうち1回目には使わなかった2つを使ってゲームをします。1回目と同じようにフタを開ける仕掛けを見せてから、6回ゲームを行い合計12個のトリーツをもらいます。

次にまた休憩を挟んで、4つの区切り全部を使ってゲームをします。この段階ではフタを開ける仕掛けを見せるステップは省略します。3回ゲームを行い合計12個のトリーツをもらいます。ゆっくりグループはこのように3段階のステップでゲームを紹介されました。

「急ぎグループ」の犬たちも同じように3セットのセッションを受けたのですが、最初のセッションから4つの区切り全部が使用されました。フタを開ける仕掛けを見せるステップは省略されましたが、犬は実験者がボックスにトリーツを入れる様子をずっと見守っていました。

4つの区切り全部を使った3回のセッションがゆっくりグループと同じ休憩時間を挟んで行われ、犬たちはゆっくりグループと同じ数のトリーツをもらいました。

ゲームをしている犬の反応を観察分析

笑顔のジャックラッセルテリア

2つのグループの犬たちがゲームをしている間、その様子はビデオ録画されていました。また犬たちは心拍数モニターを装着しており心拍数と心拍変動、副交感神経活性が測定されました。

2つのグループの犬たちのゲームの達成度ですが、ゆっくりグループの成功率が大幅に高かったことが分かりました。またビデオ録画された表情や行動にはストレスを感じていることを示す行動が少なかったとのことです。

また交感神経(ワクワク興奮する)と副交感神経(リラックスする)の両方が活性化していました。つまりゆっくりグループの犬はストレスを感じることなくリラックスしてゲームを理解し、高い成功率で報酬を受け取るというワクワク興奮する楽しい経験をしたことが示されています。

反対に急ぎグループの犬たちは、フタを開ける方法が分からない時などにストレスを示す行動が確認され、ゲームをする前とゲーム後で心拍数や心拍変動に大きな影響もありませんでした。言い換えればワクワクするような感情の高まりは無かったと言えます。

このように、犬に難易度の高いゲームを初めて紹介する時には、段階を踏んで適切なヘルプを出しながら行っていくことで、犬にとって素晴らしいエンリッチメントとなることが分かりました。

まとめ

ボードパズルをする犬

犬に新しいゲームを紹介するときはいきなり難易度の高いことをするのではなく、段階を踏んでしっかり理解を促した上で行うと、犬にストレスを与えず楽しい時間を持つことができるという実験の結果をご紹介しました。

知育ゲームやフードパズルの多くは専門家の研究をベースにデザインされているので、使用説明書がついている場合にはしっかりと読んで、示された方法の通りに試す方が成功度が高いと言えます。

犬に知育ゲームを買ったのにちっとも楽しそうに遊んでくれないという場合、これらのことに気をつけて再挑戦してみると良い結果が得られるかもしれませんね。

《参考URL》
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S016815912030229X

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