犬の問題行動への投薬治療をどう思う?アメリカでのアンケート調査

犬の問題行動への投薬治療をどう思う?アメリカでのアンケート調査

犬の問題行動に対して投薬をすることに関して飼い主がどんな認識を持っているか、アメリカでアンケート調査が行われました。その結果をご紹介します。

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犬の問題行動と投薬治療

スポイトでオイルを与えられている犬

飼い主や周囲の人間にとって問題となる犬の行動には、様々な理由があります。その大半は適切なトレーニングや飼い主の接し方を変えることで改善することができますが、中には犬の器質的な問題から来る行動もあり、その場合は医療的な処置が有効な場合が多くあります。

日本では向精神薬に対して強い拒否反応を示す人も少なくありませんが、症状に対して適切な投薬をすることで問題となる行動が改善され、犬も人間も快適に生きることができるという認識は大切です。投薬によって問題となる行動が制御できれば「安楽死以外に方法がない」と諦めていた飼い主さんや犬を救うことができる例もあります。

このたび、カナダの動物虐待防止協会の獣医行動学者とカリフォルニア大学デイビス校、コロラド州立大学の共同研究チームによるアンケート調査が実施されました。アンケートは犬の問題行動と投薬治療またはハーブなどの代替治療について、飼い主がどのような認識を持っているのかを調査するためのもので、その結果が発表されました。

犬の飼い主を対象にした向精神薬への認識アンケート

このリサーチでは、アメリカのワシントン州でオンラインを利用したアンケート調査が実施されました。過去に犬を飼っていた、または現在犬を飼っている人513名が参加しました。

アンケートで尋ねられたのは、向精神薬、栄養補助食品、ハーブサプリメント、フェロモン製品、犬用カンナビノイド(CBDオイル)についての見解、犬の行動についてでした。犬の行動で問題だとされたものは「恐怖と不安」が64%と最も多く、他に攻撃行動、過度の吠え、破壊的行動、反復行動などがありました。

回答者の約60%が、これらの行動に対して向精神薬やサプリメントを利用できることを知っており、そのうち約80%の人が使用を検討又は使用したことがあると答えています。

回答者の約90%が、投薬をする場合にはその薬の有効性を示す科学的研究があることが重要だと答えています。他に回答者が重要であると考えた点は「投与が簡単であること」が約80%、「獣医師の推奨」約77%、「コスト」約76%と続きました。

薬や代替治療を与える際に抵抗を感じること、安心すること

犬を撫でながら獣医師と話す飼い主

アンケートでは問題行動に対して投薬または代替治療を行う際に、どんなことに抵抗を感じるか、またはどんなことを快適だと感じるかについても質問が設定されていました。

興味深いことに犬に与える医薬品や代替治療について、飼い主自身が経験のあるものについて肯定的な見解を持っている傾向が顕著でした。

自分自身がうつ状態などのために向精神薬を服用したことがある人は、犬に向精神薬を与えることを快適だと答えた割合が高かったようです。これらの人はフェロモン製品やカンナビノイドについても快適だと感じるが、栄養補助食品やハーブサプリメントについては抵抗を感じるという傾向がありました。

同じように、自分自身が不安や不眠に対してハーブや栄養補助食品を使ったことがある人はこれらの製品を犬に与えることを快適だと感じ、フェロモンやカンナビノイド、向精神薬に対して抵抗を感じる傾向がありました。

向精神薬を使用する場合、かかりつけの獣医師が「なぜこの薬が必要で使用するのか」という根拠を示すことが快適さに大きく関わるとほとんどの回答者が答えています。投薬をする際に不安を感じることは、副作用として犬が過度の鎮静状態になることを挙げた人が半数以上、依存症を懸念する人が約半数、犬の性格が変わる可能性を心配する人が約4分の1でした。

研究者は、副作用などが少なく安全性は高いが効果のない(または低い)方法を選択すると、問題とされる行動が改善されず飼育放棄や安楽死につながるリスクを指摘しています。

獣医師は一般の飼い主がどのような不安や認識を持っているかを把握して、最も効果的な治療方法を勧める必要があると述べており、治療方法には獣医行動学や動物行動学者への紹介も含めるとしています。

まとめ

笑顔の獣医師に抱かれているボストンテリア

犬の問題行動に対して一般の飼い主がどのような見解を持っているかについてのアンケート調査の結果をご紹介しました。

アメリカでのアンケートなので、日本の飼い主よりも投薬治療への抵抗が少ないだろうと予想していましたが、確かにそのような傾向はあるものの飼い主たちが感じている不安は同じようなものだとも見受けられました。

犬の問題行動が人と犬の生活の質を大きく低下させる恐れがあるとき、適切な専門家の指示を仰ぐことの重要さも、このリサーチ結果は示しています。愛犬にとっての最善を選ぶために、心の間口を大きくして正しい知識を得ておくことが大切ですね。

《参考URL》
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1558787818302922#!

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