ジャーマンシェパードの背中の傾斜と生体力学の研究

ジャーマンシェパードの背中の傾斜と生体力学の研究

ショータイプのジャーマンシェパードには背中から腰にかけての傾斜が大きい個体が見受けられます。背中に傾斜があるタイプと平らなタイプの生体力学を調査した結果が報告されました。

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純血種の犬の外見上の特徴と健康障害

獣医師とジャーマンシェパード

犬が人間と暮らすようになった1万年以上の間に、人間は使役用途に合わせて犬の姿形を選択育種や交配によって作り上げて来ました。

そして時が進み、外見上の特徴を強調することを優先し過ぎた結果として、人間の手で作られた純血種の犬が健康障害に苦しむケースが増えていることは一般の人にも知られるようになって来ています。

行き過ぎた外見上の特徴のせいの健康障害として、よく例に挙げられるのはパグやブルドッグなど短頭種の犬の呼吸障害や、シャーペイなどシワの多い犬の皮膚疾患など、どちらかと言えば極端な特徴から来るものです。

しかし、この度イギリスのサリー大学獣医学部の研究者によるリサーチではジャーマンシェパードが取り上げられました。

ジャーマンシェパードと言えば、オオカミの姿からかけ離れていない犬らしい容姿というイメージを持つ方が多いと思いますが、この犬種の一部に見られる背中から腰にかけての傾斜は以前から問題視されて来ました。

この形状が身体に及ぼす影響についてリサーチされた結果をご紹介します。

ジャーマンシェパードの背中の傾斜を比較調査

背中の傾斜が強いジャーマンシェパード

ジャーマンシェパードは同じ犬種内での形状の違いが大きい品種です。大きく分けると、ショータイプに多い背中から腰にかけて下降したカーブを持つ形状と、訓練タイプに多い背中から腰への傾斜が無くて真っ直ぐな形状です。

研究チームはリサーチに参加する純血種のジャーマンシェパードを募集しました。性別や背中の形状のタイプは問わず、6ヶ月齢以上であること、股関節が健全であることが参加の条件とされました。

平均年齢4歳2ヶ月、平均体重39.8kgの合計60匹(オス29匹メス31匹)が採用され、背中の傾斜角度が測定されました。傾斜角度は平均5.0°で、最低は傾斜無しの0°、最高は傾斜10.34°の範囲でした。

分類すると29匹の犬が背中が傾斜したグループ、31匹が背中が平らなグループでした。

背中の形状の違いと足への負荷の関連

背中の傾斜が緩やかなジャーマンシェパード

犬たちは背骨から尻尾と前脚および後脚の約30カ所に反射マーカーを取り付けられます。映画のCGなどを作る際に俳優が身体中にマーカーのついたボディスーツを着て撮影しているのを見たことがあるかと思いますが、これはその簡易版でマーカーの動きを元に犬の動きの3Dモデルを作るためのものです。

さらに犬たちは床面にかかる圧力を測定できるプレートの上に立って静止したり、歩いたりして、身体の各ポイントにかかる負荷が測定されました。

このようにして作成した3Dモデルや測定したデータから導き出された結果は、背中が傾斜しているタイプでは立っている時や歩いている時に前肢への負荷が、背中が平らなタイプよりも大きいことが分かりました。また傾斜したタイプは後肢の膝関節や飛節の動きに大きな左右の違いを示しました。

これら観察された生体力学的な違いがジャーマンシェパードの筋骨格系障害の有病率に関連しているかどうかまでは、この調査では判断できません。研究者は今後さらに研究が必要であると述べています。

まとめ

走るジャーマンシェパード

ジャーマンシェパードの身体の形状で、背中から腰にかけての傾斜が強いタイプの犬は背中が平らな犬に比べて、立っている時や前肢への負荷が大きいことが分かったというリサーチ結果をご紹介しました。

これが関節や骨格の障害につながるのかどうかまでは今回のリサーチでは明らかにできなかったそうですが、余計な負荷がかかっていることは示されました。

ジャーマンシェパードの傾斜した背中は問題視されていまいたが、具体的な影響がリサーチされたのは今回が初めてです。必要のない外見的な特徴のために身体に負担をかけられる犬を減らしていくため、今後の研究にさらに期待したいと思います。

《参考URL》
https://www.nature.com/articles/s41598-020-73550-x

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