古代の犬のDNA分析からわかった『1万1千年前の犬の多様性』

古代の犬のDNA分析からわかった『1万1千年前の犬の多様性』

古代の犬のDNA分析を比較したところ、1万1千年前には犬は既に多様な姿をしていたことが明らかになりました。犬の家畜化の歴史を明らかにする手がかりとなる可能性があるこの研究をご紹介します。

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古代の世界各地の犬のDNAを分析

犬と人が狩をする壁画

私たち人間にとって最も近い存在の動物である犬。彼らの家畜化の歴史については長年に渡って研究が続けられていますが、未だはっきりとしたことが判っていません。

そのような犬の家畜化についてDNAの解析という新しい角度から研究した結果が発表されました。

イギリスのフランシス・クリック研究所とオックスフォード大学、ウィーン大学の科学者と10カ国以上の国の考古学者が、世界各地の1万1千年以上前の犬のDNAを解析したところ、氷河期直後のその時代には既に5つの異なる犬の血統があったことが判ったということです。

研究チームはヨーロッパ、シベリア、近東で発見された約1万1千年前の2000以上の古代の犬の骨からDNA配列を決定するものをふるい分けました。そうして27の古代犬のDNAが配列決定されました。

同時にそれらの犬と同じ時代の同じ場所に住んでいた17人の人間のDNAも解析され犬との比較が行われました。

1万1千年前の犬の血統

走るアザワク

前述したように、1万1千年前には既に異なる遺伝的祖先を持つ、少なくとも5種類の犬の血統があったことがDNA配列の比較から明らかになりました。

1万1千年前の犬の多様性は、犬の家畜化はそれよりもずっと以前に起こっていたということを示します。またこのような様々な地域の犬の間に見られる多様性は全ての人間がまだ狩猟採集民であった時代に始まったことも判っています。

1万1千年前というのは氷河期の直後に当たるため、現代の私たちが目にする犬の種類のいくつかは氷河期に端を発していたと言えます。

研究チームは過去1万年の間にこれら初期の犬の血統が混ざり合い、現在私たちがよく知っている犬種が生み出されてきたと述べています。初期のヨーロッパの犬は、近東の犬に関連する血統(スルーギやサルーキのような犬)とシベリアの犬に関連する血統(シベリアンハスキーのような犬)に由来しているように見えると述べています。

私たちが日常的に見かける犬種にも古代の血統の断片は確認できます。例えばチワワの祖先の一部は初期のアメリカ大陸の犬にさかのぼることができます。またシベリアンハスキーには古代シベリア犬の遺伝的特徴が多く残っています。

イヌ、ヒト、オオカミのDNA

オオカミ犬の横顔

イヌと同じ時代同じ地域のヒトのDNAを比較したところ、重複する点が多いこともわかりました。

例えば約5000年前のスウェーデンの人間とその飼い犬はどちらも近東に祖先を辿ることができました。これは農業が広まるにつれて、人間が犬を連れて移動したことを示しています。

反対にDNAが一致しない例もありました。約7000年前のドイツの人間は近東からの血統でしたが、その飼い犬はシベリアとヨーロッパの犬の特徴を持っていました。これは農業のために移住した人間が環境に適応している地元の犬を採用したことを示しています。

イヌのDNAと、現代および古代のオオカミのDNAとの比較も行われました。研究者が驚いたことに、イヌのDNAにはオオカミからの遺伝子の流動が示されませんでした。反対にオオカミにはイヌからの遺伝子流動があったことが判りました。

飼い犬がオオカミと交配して生まれた個体は、番犬としての能力が落ち、家畜や人を攻撃する恐れがあることから、オオカミの血が入った犬は人間によって取り除かれたせいだと考えられます。

またオオカミと犬の分析からは、犬が現在は絶滅したオオカミの個体群から一度だけ進化したことも示唆しています。つまり現代の犬の祖先のオオカミは絶滅し、現代のオオカミは犬の祖先ではない可能性があるのですが、結論を出すためにはさらに多くのデータが必要だということです。

犬とオオカミの比較については同研究者がさらに詳しい研究を続けているとのことです。

まとめ

高原に立つ犬の後ろ姿

古代の犬の骨からDNA解析を行い比較した結果、1万1千年前の犬には既に多様性が確認されたという研究結果をご紹介しました。

DNAを解析して比較することで、犬だけでなく人間との移動や出会いの歴史、オオカミからの進化の歴史などのストーリーも明らかになるのは本当に興味深いことですね。

この研究ではアジア地域の犬の分析が行われていないことを指摘する科学者もおり、今後さらに広い範囲での研究が期待されます。

犬の家畜化の歴史は人類の歴史でもあり、犬のDNA研究は人類史をさらに深く理解するための手がかりとなると考えられます。まさに「犬は人類の最高の、そして最古の友」と言えますね。

《参考URL》
https://science.sciencemag.org/content/370/6516/557

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    20代 男性 匿名

    俺は犬の祖先のことをネットで調べたがここまでは解らなかった。しかし現代の狼とイエイヌの祖先になった狼とDNA が違うのは驚いた、犬が狼に合わせてるのではなく犬に狼が合せてるとは思わなかった。それにイエイヌの祖先になった狼が絶滅したのも初耳だった。普通の愛犬家にはどーでも良いけど俺には貴重な情報。躾の構築に役立つかもしれない。もっと研究が進めば更に進化の過程や有効な躾法正しい躾が解るかもしれない。今後も様々な研究に期待してます
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