ラブラドゥードルの遺伝子分析から判った意外なこと

ラブラドゥードルの遺伝子分析から判った意外なこと

ラブラドールレトリーバーとスタンダードプードルのハイブリッドとして作り出されたラブラドゥードル。その遺伝子のゲノム解析が行われ結果が発表されました。ちょっと意外かもしれない内容をご紹介します。

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ラブラドゥードルが生み出された背景

チョコレート色のラブラドゥードル

犬アレルギーの人にも症状が出にくい介助犬を開発しようという目的で作り出されたオーストラリアンラブラドゥードルは、その名の通りオーストラリアでラブラドールレトリーバーとプードルを掛け合わせて生み出されました。

現在、世界には約350の犬種が認められています。その大多数は特定の目的のために集中的な選択育種によって確立されて来ました。その結果、意図した目的とは別に多くの犬種が特定の疾患に苦しむという現象が起こってしまいました。

このような疾患の可能性を減少させ望ましい特性を持った犬を作ろうというのは、違う種類の純血種の犬同士を交配して、いわゆる「デザイナードッグ」を生み出す動機の1つでした。

ラブラドゥードルのゲノム解析

アプリコットのスタンダードプードル

デザイナードッグの元祖であり最も人気のある犬種でもあるオーストラリアンラブラドゥードルについて、米国国立衛生研究所の比較ゲノム学の研究者が核DNAマーカーを使用してこの犬種の遺伝的履歴を特定しました。

ゲノム解析の結果からは、オーストラリアンラブラドゥードルは遺伝的レベルでは主にプードルであり、ラブラドールと、改良の過程で加えられたいくつかの種類のスパニエルの遺伝的寄与は小さいということが判りました。

ラブラドゥードルはアレルギーを起こしにくい犬種を作ろうという目的を含めて開発されて来ました。抜け毛が少ないプードルのコートは多くの人が低アレルゲン性とみなしていることから、ブリーダーはプードルのようなコートを持つ犬を優先的に選択して来たと考えられます。

ラブラドゥードルが作られてからまだ31年しか経っていません。その短い間にこの犬種が辿って来た遺伝子の変化が示されました。

新しい犬種の定義と健全性

白いラブラドゥードル

研究者はこの結果から、少数の世代間にわたるごく少数の遺伝子の変化によって新しい犬種が定義できると述べています。

しかし、伝統的な犬種の育成と比べてあまりにも短いこの過程と遺伝子の変化を見ると、オーストラリアンラブラドゥードルを「犬種」と定義していいのだろうか?という疑問が残ります。国際畜犬連盟(略称FCI)は正式な犬種として承認していません。

また犬種開発当初の動機の1つであった、疾患の可能性の少ない犬を作るという目的にも関わらず、オーストラリアンラブラドゥードルはラブラドール、スタンダードプードル、スパニエルに多い遺伝的疾患を受け継いでいます。

今回の遺伝学的な研究の結果は、これら健康上の問題を回避するための選択繁殖に必要な遺伝子検査の開発に影響を与えることが期待されます。

まとめ

ラブラドゥードルの子犬

オーストラリアンラブラドゥードルの個体群の遺伝子解析の結果、現在のこの犬種は遺伝的レベルでは主にプードルであり、他の犬種の遺伝的寄与が小さいことが明らかになったことをご紹介しました。

元々のラブラドゥードルの開発者が、昨年この犬種を作り出したことを後悔する声明を発表したことも話題になりましたが、この犬種には確立された犬種とはまた別の課題が多く残っています。

とは言え、犬種として人気が確立してしまった面もあるため、この犬種の健全性を高めて安定させることが急がれます。
今回発表されたような遺伝学的な研究が、オーストラリアンラブラドゥードルの健康と福祉の向上に大きな役目を果たすことを期待したいと思います。

《参考URL》
https://journals.plos.org/plosgenetics/article/authors?id=10.1371/journal.pgen.1008956

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