動物病院に来院される「誤飲」のワンちゃんは、飲み込んだものの種類で分けると
①消化管に傷害を起こすものを飲み込む誤飲
②中毒を起こすものの誤飲
に分けられます。
①消化管に傷害を起こすものを飲み込む誤飲
例)鶏の骨、トウモロコシの芯、モモの種、犬用ガム、ボール、ひも、タオルなどなど
ワンちゃんは「こんなものまで!?」というものを口にします。物心つかない子供が何でも口にしてしまうのと基本的には同じように考えて、基本的には「届くところに置かない」ようにしてあげてください。
もし誤飲してしまった場合は、なるべく早く動物病院に連絡しましょう。かかりつけの病院と連絡が取れない場合は、救急動物病院に連絡をしましょう。
場合によっては、様子をみることになるかもしれませんが、対処が必要な場合は、なるべく早い方がワンちゃんへの負担も軽く済みます。
動物病院では、異物の種類やワンちゃんの状態によって、
- 吐かせる
- 内視鏡で取り出す
- 手術で取り出す
といった処置がなされます。確実に取り出せるのは、手術>内視鏡>吐かせるの順です。
もちろん内視鏡や手術は全身麻酔が必要ですし、手術となれば体への負担も大きくなりますので、なるべくなら吐かせた方が良いのですが、実は吐かせることもかなりの負担があるため注意が必要です。
よく飼い主様がご自身で、オキシドールや食塩水を飲ませて吐かせるケースがあるのですが、これが実はワンちゃんにかなりの負担をかけることになるのです。
ご自宅で吐かせようとしてそれらを飲ませて吐かせたが、異物が出ずに、内視鏡での摘出を行うケースがあるのですが、吐かせることによってかなり胃に傷がついてしまっているのをよく見かけます。
また吐かせすぎると脱水症状などでぐったりすることもありますので、くれぐれもご自宅での処置には注意が必要です。
②中毒を起こすものの誤飲
例)車の不凍液、チョコレート、タマネギやネギ、除草剤、観葉植物、人間用の薬・サプリメントなどなど
こちらも誤飲してしまった場合は、すぐに動物病院へ連絡を。
しかし、対処方法は誤飲したものの種類によって異なりますし、中には吐かせたりすると、食道を傷つけてしまうものもありますので、絶対に飼い主様の判断で処置を行わないようにしましょう。
動物病院での処置としては、誤飲したものを取り出す処置もあれば、中毒物質を緩和させたり、体からの排出を促す治療をしたりします。
これらは数日~数週間かかるものもあります。ただし、中毒症状を起こしてしまっている場合は要注意。中毒の種類によっては命に関わることもあります。
誤飲で気を付けたいもう一つのこと
実は、動物病院で”誤飲”と診断するもののうち、飼い主様が気づいていないケースが、実はかなりあります。
「なんとなく元気や食欲がない」ということで検査をしたら、誤飲していたというようなケースもあります。「いつもより元気がない」「頻繁に吐く」「背中を丸めておなかを痛そうにしている」ような症状がみられるときは注意が必要です。
誤飲が疑われるときは、レントゲン検査や消化管造影剤レントゲン検査、超音波検査で診断をしていきます。もし誤飲が確定したなら、上記に従って対処していきます。
いずれにしても、誤飲は”病気”ではなく”事故”です。そしてその事故は、飼い主様の積極的な対応で予防することが可能です。ぜひ誤飲防止に取り組んであげてくださいね。