犬の飼い主の体重は獣医師の意識に影響を与えるか?という調査結果

犬の飼い主の体重は獣医師の意識に影響を与えるか?という調査結果

動物病院に犬を連れて来た飼い主さんが体重過多だった場合、獣医師の意識に偏りが生まれるだろうか?という調査が行われました。その結果をご紹介します。

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動物病院での診察にも体重バイアスは働くだろうか

体重測定中の犬

適正体重の超過や肥満が健康の妨げになりやすいことはよく知られています。アメリカの人間の医療の現場では『体重バイアス』がしばしば問題になっているのだそうです。

患者さんが体重過多の場合、医師が症状を「肥満から来ている」と判断してしまい、より深刻な原因が見落とされる可能性があるという問題です。

この体重バイアスと同じような意識の偏りが、動物病院でもあるだろうか?というリサーチが行われ発表されました。

アメリカでは人間だけでなく、家庭で飼われている犬と猫の約半数は体重過多または肥満であると言われています。

肥満の犬や猫は、代謝性疾患、呼吸器疾患、その他の疾患についてもリスクが高くなります。

飼い主の体重は獣医師の意識に影響するか?

体重過多の飼い主と犬

リサーチを行なったのはアメリカのペンシルベニア大学の研究者チームです。205人の獣医師と103人の獣医学生を参加者として、オンラインアンケートという形で実施されました。

調査は2部構成で行われました。第1部では獣医師の『体重バイアス』が患者である犬ではなく、その飼い主に対して起こるかどうかを調べます。

参加者はそれぞれ「痩せた犬と痩せた飼い主」「太った犬と痩せた飼い主」「痩せた犬と太った飼い主「太った犬と太った飼い主」という4つの画像のうちの1つをランダムに見せられた後、質問に答えます。

質問は「犬と飼い主に対する感情的な反応」「犬の体重の原因についての意見(生物学や遺伝学、環境要因、飼い主の責任、犬の行動)」などです。

第2部では『体重バイアス』が犬に対して起こるかどうかを調べます。第1部の調査で参加者が見せられた画像の犬は呼吸に問題があるという設定で、診断手順を質問されました。

次に、その犬は気管虚脱と診断されたという設定で、推奨する治療方法について質問されました。

研究参加者の反応は?

獣医師と犬

犬と飼い主の画像を見せられ感情的な反応を質問された件では、太り過ぎの犬の画像を見せられた時に、飼い主に対して非難、不満、嫌悪を感じると多くの参加者が答えたそうです。この場合、飼い主の体重は関係がありませんでした。

太り過ぎは犬の健康リスクを高くしますし、その責任は飼い主にあるので、獣医師が飼い主に対して不満を感じるのは理解できることです。

しかし別の質問では、参加者が太っている飼い主に対して偏見を持っている傾向が表れました。

  • 飼い主が太っていると、犬の体重に対して責任があると考えられがち
  • 痩せた飼い主の犬が痩せている場合、それは飼い主の手柄とされる
  • 太った飼い主は健康行動が低く、それが犬にも反映していると考えられがち

さらに研究者を驚かせたのは、参加者の約1割が飼い主に対して飼い主の減量を勧めたことがあると答えたことでした。言うまでもなく獣医師が人間への健康アドバイスをすることは禁止されています。

第2部で犬の診断手順を質問された時には、参加者は犬の体重に関係なく同じ診断勧告をしました。

しかし犬の治療についての質問では、犬が太り過ぎの場合には体重を落とす治療を推奨する率が高くなっていました。体重過多は呼吸器の健康を損なう原因の1つなのでこれは理に適っています。

研究者は潜在的な病気の原因を見逃す可能性があるので体重に焦点を合わせ過ぎないよう注意を促しています。

この研究では全ての参加者が同じ大学の学生または卒業生なのでサンプルに偏りがあるのですが、研究者は獣医師の間に体重バイアスがあると結論づけており、それは対飼い主でより強い傾向があります。

人間の場合と違って、患者である動物は懸念を表せないので、何らかの措置が必要だと考えられます。

まとめ

メジャーを巻きつけたフレンチブル

アメリカでの小規模な調査ですが、獣医師が犬を診察する際に飼い主の体重によって偏見やバイアスが生じていること、犬が体重過多の場合でもバイアスがかからないよう注意が必要であるという研究結果をご紹介しました。

獣医師も人間なので、バイアスがかかってしまう場合もあるでしょうが、そのような部分も含めての介入措置が検討されるようになって欲しいですね。

《参考URL》
https://www.nature.com/articles/s41366-020-0622-7

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