中国の狂犬病対策?山東省での飼い犬禁止条例について

中国の狂犬病対策?山東省での飼い犬禁止条例について

中国山東省の「飼い犬禁止条例」のニュースについての意見や、その条例の原因となった狂犬病に対する世界各国の現状と対策などについてお話ししていきます。

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中国山東省の飼い犬禁止条例

中国の街

先日、耳を疑うような衝撃的なニュースを耳にしました。中国山東省のある町が「犬の飼育は全面的に禁止」という条例を発表したのだそうです。

何でも、狂犬病の蔓延の一番の原因である犬を排除して、住民同士が平和に生活を送れる理想的な地域を目指すためなのだとか。
しかも飼っている犬も排除の対処とされてしまい、もし、飼い主さんが保健所に差し出すのを拒否しようものならば、保健所の職員らが家庭を訪問して、何と犬をその場で捕殺するのだというのです!

狂犬病はどれだけ危ないのか?

牙を向く犬

狂犬病は、犬だけの病気ではなくて、人を含めた全ての哺乳類が感染する可能性があり、しかも発病してしまった場合は、適切な治療方法がないので、ほぼ100%死亡してしまう極めて危険なウイルスなんです。

日本でも1922年に家畜伝染病予防法が制定され、犬にワクチン接種が義務付けられ、1956年の6頭の犬の発生を最後に国内においての狂犬病患者数はゼロをキープしています。

残忍かつ無謀な政策

確かに狂犬病は発生してしまうと感染の恐れもあるという恐ろしい病気なのは分かります。だからといって中国山東省のやり方がとても正しいとは思えません。

そもそも狂犬病という名前ではあるけれど、病原体を持っている動物は犬だけに限らずキツネやコウモリといった他の野生動物だって同じなので、それこそ本当に撲滅したいなら山東省にいる全ての動物を処分しなければいけません。

近年は中国も経済大国2位にまで浮上し、様々な発展を遂げていますが、このように犬に対する扱い方や正しい知識やモラルについては、まだまだ改善していかなければいけないでしょう。

世界の狂犬病対策の違いについて

ドイツ

ドイツの森

未だに狂犬病がある愛犬大国

世界で一番の愛犬大国と言われているドイツでも、当然日本と同じく狂犬病の予防接種は規則として行われています。それなのにも関わらず驚べき事実がありまして、現在の日本が数十年間に渡って狂犬病が発生してない、クリーンな国家であるのに対して、ドイツにはまだ狂犬病が発生しているのだそうなんです!

実際に現地にお住まいの方の話しによりますと、散歩で森の中の小道などを歩いていると、「狂犬病汚染地域、注意!」と書いてある恐ろしい内容の警告看板を見かけることがあるのだとか。
ただしこれは、犬だけではなく、狂犬病にかかっている野生動物がいるので注意して下さいという意味合いだそうで、狂犬病という病気は犬だけでなくて、キツネやアライグマも感染する病気だから敢えて森の中に設置するんです。

イギリス

イギリスの街

狂犬病ワクチンを廃止した国

現在、イギリスでは狂犬病のワクチンの接種義務を廃止しています。その理由は、今の日本と同じく、もともとイギリスに発生していた狂犬病を根絶する為に予防接種に力を入れることに成功し、更にその後にも輸入物の検疫などがしっかりと行われ、狂犬病が発生したら発症した犬および発症の疑わしい犬をすぐに捕獲して隔離し、速やかに処分すると言った万が一の為の対処も万全にしているので予防注射を止めることができているのです。

オーストラリア

オーストラリアの自然

予防接種を禁止している理由は?

オーストラリアも狂犬病の予防接種が禁止されています。一見すると「むやみにワクチンを投与してしまうのは犬が可哀そう」と言ったような動物愛護が目的なのかな?と思ったのですが実はそれは違うんです。

オーストラリアは広大な自然と様々な野生動物が生息しているので、中途半端に狂犬病の抵抗力を持ってしまうと他の病原体が侵入したときに見過ごしてしまう危険性があるからなんです。だからあえて個体それぞれを抵抗力を低い状態にしておき、もし狂犬病を含むなんらかの病原体が侵入して症状の出た犬等がいたら、速やかにその犬とその地域の犬をまとめ隔離し、必要に応じて殺処分するかを判断するのだそうです。

フィリピン

フィリピン国旗

国をあげて狂犬病撲滅を目指す

フィリピンと言えば、世界有数の狂犬病大国と言われ、毎年数百人レベルの狂犬病による死亡者がでていました。

そこでフィリピン政府は今まで人間が発症した場合の患者救済にのみ置かれていた対策を、原因を元から断つ対策に切り替える事を取り決め、保健省の予算の中から大金を投じて、狂犬病予防ワクチンを購入することを検討しているのだそうです。これが実現すれば約8~9百万匹分の犬がワクチン接種を行えるんです。

香港

香港の夜景

予防接種は3年に一度

同じ中国でも香港は2005年9月から狂犬病の予防接種は3年に1回、犬を飼う為に飼い主はライセンスを取得しなくてはならないといった、飼い主側に厳しく犬に優しい政策をしています。もちろん狂犬病の予防接種も生後3か月にマイクロチップの埋め込みと一緒に行う決まりになっています。飼い主さんは犬を飼い始めたら5か月以内にそれを行わないと違法扱いになってしまうのだそうです。

まとめ

中国の山東省では、狂犬病撲滅や街の清潔を保ち住民が平和に生活できるようにと、飼い犬までをも含む全ての犬を保健所で処分、更に引き渡しを拒否した場合は職員らが家まで出向いて、その場で殺すという恐ろしい政策を出しました。

日本を始め、世界各国は犬や人間を病原体から守る為にワクチン接種などや輸入物取り締まりの強化といった様々な対策を取っているので、ぜひ山東省は世界の対策を見習って今すぐこのように無謀で残忍な事を止めていただきたいものです。

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