獣医師が犬の問題行動と訓練についてどのくらい理解しているかというリサーチ結果

獣医師が犬の問題行動と訓練についてどのくらい理解しているかというリサーチ結果

獣医師や獣医ナースは犬の問題行動や、それに対処する方法についてどのくらい理解しているだろうか?というリサーチがアイルランドの研究者によって発表されました。アイルランドの例ですが、参考になる点があるかと思います。

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犬の問題行動への獣医療関係者の理解

歯を剥いたチワワ

犬が「過剰に吠える」「脱走」「攻撃的な行動」などの問題行動と言われる行動を見せるとき、かかりつけの獣医師に相談する人は少なくありません。獣医師よりもさらに気軽に質問できる動物病院のナースも飼い主からの質問をよく受けると言います。

犬の問題行動は犬と飼い主両方の生活の質に影響を及ぼし、対応次第では動物福祉を損なうことにもなります。獣医動物行動学に基づいたコンパニオンアニマルの行動治療の専門家も少しずつ増えてきていますが、飼い主にとっても最も身近なかかりつけの獣医師が、問題行動への対処について正しい知識を持っていることはとても大切です。

アイルランドのダブリン大学獣医学部の研究者が、獣医師と獣医看護師を対象にアンケート形式でのリサーチを行い、その結果を発表しました。

獣医療関係者は犬のトレーニングを巡る変化に対応しているか?

獣医師に抱かれたマルチーズ

現在、犬のトレーニングについては報酬ベースの方法が最良であると認識されており、犬に罰を与える方法は動物福祉へのリスクがあると考えられています。

このリサーチでは、84人の獣医師と133人の獣医看護師がアンケートに回答しました。アンケートの内容は、12例の犬の問題行動シナリオが提示され、そこに専門家のアドバイスが与えられています。回答者はそのアドバイスが犬の福祉を損なうことなく行動の問題を解決するものかどうかを評価するというものです。

12例の問題行動シナリオの大半で、ほとんどの獣医師と看護師が正解とされる評価をしていました。つまり大多数の獣医療関係者が最新の文献に裏付けられたトレーニング技術と行動理論を理解して、報酬に基づくトレーニングの必要性を高く評価しているということです。

しかし、4つのシナリオについては回答者の約半数が動物福祉の面で誤った回答をしていました。

多くの回答者が誤っていた項目とは

電子カラーを着けられたチワワ

約半数の回答が誤っていた行動シナリオは次の4つでした。

犬の脱走を防ぐための電子境界フェンスの使用

これは塀のない庭の境界線に無線を使った電子境界のラインを張り、これに対応した電子カラーを着けた犬が近づくとカラーに電流が走って脱走を防止するというものです。

約3分の1の回答者がこの電子フェンスの使用は適切であると答えていました。現在、全ての電子カラーは動物福祉を損なうリスクがあるため禁止すべきだという説が主流になっています。

また電子フェンスは脱走予防に効果的でないという研究もあり、動物福祉の面からも脱走予防の効果の点からも普通の物理的なフェンスを建てる方が良いとされています。

犬の吠え行動に対して、吠えるたびに匂いのする液体が噴射されるカラーの使用

約半数の回答者が適切であると答えていますが、この方法は犬が吠えることに対して罰を与える方法です。また犬がなぜ吠えているのかという原因に対処されていない点でも適切ではありません。

攻撃的な犬に対しての罰を使った支配的な訓練方法

約半数の回答者が適切であると答えましたが、罰を使った支配的なトレー二ングは犬の攻撃性を悪化させることと、動物福祉を損なうリスクがあります。

シナリオの中では敢えて「支配的」という分かりやすい言葉は使わずに、状況をよく読むことで支配的であることが分かるように設定されていましたので、この問題に正解するためには犬のトレーニング方法についての深い理解が必要とされます。

分離不安を持つ犬への対処として2匹目の犬を迎える

これは最も誤った回答が多かったシナリオで、約6割がこの対処方法を適切であると答えました。しかし過去の研究で、この方法は機能しないことが示されています。分離不安への対処は獣医師によって処方された薬と行動治療を組み合わせた方法が良いとされています。

このようにいくつかの項目では正答率の低い分野がありましたが、獣医学部での教育カリキュラムの変化に連れて正答率も高くなっているため、教育の効果が表れている結果でもありました。

またこのようなリサーチによって犬の問題行動の治療に関する知識について、どのような分野が弱いのかが特定され、今後の教育プログラムに生かされて行くことにもなります。

まとめ

ジャックラッセルと獣医師チーム

アイルランドの獣医師や獣医看護師を対象に、犬の問題行動への対処方法と動物福祉についての理解度をリサーチした結果から、大多数の人々が正しい知識と理解を持っていたことをご紹介しました。

日本ではまだ犬の行動治療を専門にする獣医師は数が多くありませんが、専門家の増加と一般の獣医師の理解も深まって行くことが期待されます。

一般の飼い主もまた何が正しいのかという知識を持っておくことの大切さがますます高まっていきますね。

《参考URL》
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30949341

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