ボクサーに多く見られる『ボクサー心筋症』
ある特定の犬種に多く見られる特定の病気というのはいろいろあります。そのような病気の1つで、その名も『ボクサー心筋症』と呼ばれる、ボクサーに多く見られる心臓の病気があります。
正式には不整脈源性右室心筋症(ARVC:Arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy)という病名で、ボクサーの他にはブルドッグにも多く見られるそうですが、ほかの犬種でも報告があります。
年齢が上がるほどに発病が増え、不整脈、失神、突然死など命に関わる重篤な病気です。しかし、心臓は心筋症の状態になっていても症状が出ない場合もあり、早期にこの病気を特定することが重要です。
ボクサー心筋症のための診断テスト開発の研究
カナダのプリンスエドワードアイランド大学の獣医学カレッジでは、現在このボクサー心筋症を早期に診断するテストを開発するための研究を行っています。
ボクサー心筋症と呼ばれる、不整脈源性右室心筋症を発病する可能性がある遺伝子の突然変異を持っているかどうかのテストはあるそうですが、罹患した全ての犬を特定できる単一の診断テストは今のところないため、研究者は症状が重篤になる前により早く病気の特定をする検査を開発しようとしています。
ソーシャルメディアを通じて研究に参加してくれる30匹の健康なボクサーを募集し、現在20匹が登録されているそうです。
研究に参加している、ある飼い主さんとボクサー
この研究に登録しているボクサーの1匹である5歳のジャックスと、その飼い主であるマイヤーさんという男性がいます。ジャックスは心臓モニターを装着して自宅で24時間の心電図記録を取ったり、大学に預けられて運動テストやエコー検査を受けたりしています。
ジャックスも含めて、研究に参加している犬たちは現時点では心臓に問題が見られない犬ばかりです。しかし、研究の途中で何かしら心筋症の兆候が見られた場合にはその犬は将来の新薬開発の際のモニター候補となります。
ジャックスの飼い主であるマイヤーさんは、家族親戚揃ってボクサーのファンで、自分の愛犬だけでなく全てのボクサーたちの役に立てることが嬉しいと語っています。そしてもちろん、研究に参加することで愛犬の心臓の現在の状態が分かり、心臓に異変が起こった場合にはいち早く発見し対処できる可能性が高いことも期待しています。
研究者は2021年の終わりまでには、研究の第一段階を完了することを望んでいるとのことです。各犬種に特有の病気、発見や治療が難しい病気はたくさんありますが、こうして特定の病気のことを研究開発している人たちがいるということに、いち飼い主としても心強い思いがします。
まとめ
カナダの大学で、ボクサー心筋症と呼ばれる不整脈源性右室心筋症を早期に特定できる診断検査方法の研究開発が行われているという話題をご紹介しました。
今現在、ご愛犬がこの病気と闘っているという方もいるかもしれません。このような研究が行われているという事実が、少しでも励ましになれば幸いです。そして1日も早い検査方法の確立、治療方法の開発を心待ちにしています。
《参考URL》
https://www.cbc.ca/news/canada/prince-edward-island/pei-avc-boxer-heart-condition-research-1.5495692