犬に対するアレルギーがある人に朗報となる可能性
犬が大好きなのにアレルギーがあって犬を飼うことは諦めているという人は多いものです。そのような方にとって明るいヒントになるかもしれない研究結果がデンマークのコペンハーゲン大学の研究者によって発表されました。
犬に対してアレルギーを持つ人は、犬の尿、唾液、フケに含まれるタンパク質に反応します。犬に直接触らなくても、犬が体をカリカリと掻いたり体をブルブルさせたりすることで空気中や衣服や家具などにタンパク質が付着して、呼吸するだけで症状が引き起こされることもあります。
この研究のポイントも「犬のタンパク質」です。
オス犬だけが持つ特定のタンパク質に反応する場合
このたびアレルギーと臨床免疫学の専門誌に発表された研究によると、オス犬だけが持つ特定のタンパク質にのみアレルギー反応が出る人がいる可能性があるそうです。
研究者は犬にアレルギー反応を示したことのある22人の15歳から18歳の被験者に対して、4種類のタンパク質の皮膚プリックテストを行い、その後オス犬とメス犬両方のフケで再度プリックテストを行いました。プリックテストは皮膚にアレルゲンの試薬を乗せて専用の針で皮膚に小さな傷をつけ、時間をおいて反応を調べるというものです。
この4種類のタンパク質のうちCan f5というタンパク質にのみ反応した人が7人おり、この7人はオス犬のフケにのみ陽性を示しました。これは、この特定のタンパク質に対するアレルギーがある人はメス犬や去勢済みのオス犬ならば近くにいてもアレルギー反応を示すことなく過ごせる可能性を示しています。
どうやって自分のアレルギーを特定する?
アレルギー症状を持つ多くの人は複数のタンパク質にアレルギーがあります。アレルギーを引き起こすタンパク質によってどんな症状が出るかが違います。
ですからアレルギー専門医の診察を受ける場合はまずその症状を詳細に尋ねられます。症状によって検査の種類も変わるそうですので、自分の症状を詳細に記録して的確に伝えることはとても大切です。犬アレルギーがある場合で、犬の性別や去勢の有無によってなんらかの違いが感じられるならその点を医師に伝えることが重要です。
注意しなくてはいけないのですが「プードルやラブラドゥードルならアレルギーの人でも大丈夫」という言葉を見聞きすることがあります。しかしアレルギーを引き起こさない犬種というものは存在しないと米国アレルギー財団の専門家は述べています。
ただし抜け毛やフケの少ない犬種の場合はアレルギーの症状が少なくなることは認められています。「引き起こさない」と「症状が少ない」を混同しないように気をつけないといけないですね。
まとめ
犬アレルギーを持つ人のうち、オス犬が持つ特定のタンパク質にのみ反応する人はメス犬や去勢されたオス犬にはアレルギー耐性がある可能性を示す研究結果をご紹介しました。
犬アレルギーに限らず、アレルギー症状というのは本当に辛いものです。またアレルギーが起きてしまったことで犬が捨てられてしまうという例も少なくありません。
このような研究が進んでより良い検査や対処方法が見つかり、苦しむ人も不幸な犬も無くなってほしいと切に願います。
《参考URL》
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2213219819310360?via%3Dihub