幹細胞って何?幹細胞を使った治療ってどんなもの?
幹細胞治療という言葉はニュースなどで見聞きしますが、具体的にはどんなものなのでしょうか?
幹細胞とは、簡単に言うと分裂して自分と同じ細胞を作る能力と、別の種類の細胞に分化する能力を持つ細胞のことです。幹細胞は筋肉から脳細胞まで、様々な種類の細胞に分化して、損傷した細胞を修復することもできます。私たちが怪我をしたときに、皮膚が再生して治癒するのは幹細胞の働きです。
幹細胞治療は再生医療の一つで、幹細胞を使ったものを指します。一般的によく知られているのは骨髄移植ですが、他の病気や怪我の治療のための幹細胞治療も多く研究されています。
犬の幹細胞治療は変形性関節炎や怪我の治療のために実用化されており、今後ますます増えていくことが期待されています。この幹細胞治療に使用するための愛犬の幹細胞を預かって、保管しておくビジネスがアメリカでスタートして話題を呼んでいます。
愛犬の幹細胞を預かり保管する会社『ギャラント』
犬が大きな怪我をしたり、変形性関節炎を患ったりしたときに幹細胞があれば、治療に大いに役立ちます。しかし、幹細胞は年齢ととも減少していき、関節炎など高齢になってから起きることが多い疾患では幹細胞の確保自体が難しくなります。
そこで犬が若いうちに幹細胞を採取して保管サービスに預けておけば、必要なときにすぐに利用できると言うアイデアを形にしたのが、アメリカのギャラントという企業です。
ギャラントが提供している、幹細胞預かり保管サービスの手順は次のようなものです。
幹細胞の採取は避妊去勢手術の際に
幹細胞の採取は犬が避妊去勢手術を受ける際に行います。手術で取り除いた組織は通常は廃棄されますが、若い犬の生殖組織は幹細胞の宝庫です。
ギャラントの預かり保管サービスを申し込んだ場合、手術を行う動物病院にギャラントが直接コンタクトを取り、手術の際に取り除いた組織を入れて輸送するための特別なキットが獣医師のもとに届けられます。輸送キットは手術の日に手配された専門の輸送業者によって、ギャラントまで運ばれます。
幹細胞の検査と保管
ギャラントの科学者が送られてきたキットを受け取ると、依頼者である飼い主と手術を担当した獣医師の両方に連絡が届きます。その後、送られてきた組織から幹細胞をカウントし、液体窒素で凍結して専門の研究室で保管します。ここまでのプロセスが完了すると、再度依頼者と獣医師に通知されます。
治療が必要になったときには
何らかの理由で犬が幹細胞を使った治療が必要になったときには、ギャラントがすぐに獣医師のもとに幹細胞を送り届けます。
気になる費用は?
実際にどのくらいの費用がかかるのかが気になるところですね。
手続の際にかかる費用は、動物病院からギャラントへの輸送料金を含めて395ドル(約4万3000円)です。預かり保管料は、年間95ドル(約1万円)又は生涯分一括払いで595ドル(約6万5000円)だそうです。実際に幹細胞を使った治療が必要になったときには、治療費が約300ドル(約3万2000円)かかります。
高いと見るか、案外手が届く値段だと感じるか、皆さんはどう思われますか?
犬の幹細胞治療ができること
ギャラントでは最先端の技術と設備を備えた研究所を持ち、変形性関節炎、アトピー性皮膚炎、断裂靭帯、慢性ドライアイなどの治療方法を研究しているそうです。
脊椎損傷などの大きな怪我の治療にも幹細胞治療が採用されているのだそうです。幹細胞治療は、全身麻酔を使う手術を必要とせず、犬にとって負担の少ない治療法であるのも注目されている点です。
すでに避妊去勢手術を済ませてしまった犬や、避妊去勢はしたくないという場合について、犬の皮膚や歯から犬に負担の少ない方法で幹細胞を採取する方法についても研究中だということです。
まとめ
将来の病気や怪我に備えて、愛犬の幹細胞を預かり保管してくれるアメリカの会社のサービスをご紹介しました。今のところ、アメリカ国内のみの取扱いのようですが、このような技術が広く知られて利用者が増えると、日本でも同様のサービスが提供されることも期待できますね。
犬の体に負担が少なく、効果の高い治療方法の選択肢が増えるのは有り難いことです。犬の幹細胞治療について、引き続き注目しておきたいと思います。
《参考URL》
https://gallant.com