犬のためのアンチエイジング研究
犬と暮らしている人なら誰もが皆「犬の寿命がもっと長ければいいのに」と思ったことがあるのではないでしょうか。とても長生きしたとしても約20年、犬種によっては平均寿命が10歳前後という場合もあります。飼い主が「もっと長く一緒にいたい!」と思うのも、無理はないですね。
そんな思いに応えるように、アメリカで犬のアンチエイジング研究のプロジェクトが立ち上げられ話題になっています。プロジェクトの中心になっているのはワシントン大学医学部と、テキサスA&M大学獣医学部および生物医学科学部の研究者たちです。
このプロジェクトは犬の平均余命と生活の質全般の改善を目指して、10年間に渡って1万匹の犬の研究を予定しており、国立衛生研究所から資金提供を受けている、大変大規模なものです。プロジェクトは立ち上がったばかりですが、犬の老化に関する史上最大の研究になると考えられています。
一般からの参加者を大募集
犬のアンチエイジング研究が話題になっている理由は、研究チームが犬のデータ収集をするに当たって一般の家庭犬の参加を大々的に募集しているからです。様々なメディアで「プロジェクト参加犬募集中!申込みはオンラインで」と取り上げられています。
飼い主が参加希望する場合、プロジェクトのウェブサイトにアクセスして申込みができます。申込みは10分程度のプロセスで、犬についての質問に答えていくアンケート形式です。
研究チームは、可能な限り多くの遺伝的多様性を含むデータを収集するために、アメリカ50州のすべてから、年齢、サイズ、犬種を問わずに参加を求めています。慢性疾患を持つ犬の参加も可能です。
研究に参加した場合、犬の健康と生活に関するアンケート調査に記入し、犬の唾液サンプルの提出などが求められます。このような研究に自分の犬が参加する機会があれば(犬自身は何もしませんが)愛犬の健康状態へのチェックの目も細やかになり、他の場面での情報収集にも敏感になるかもしれませんね。
研究に期待できること
研究チームは犬の老化を研究することで、犬だけでなく人間の老化に関する知識が広がり、理解が深まると考えています。
犬は医学の開発にとって掛け替えのない存在です。犬の老化のスピードは人間よりもずっと早いものですが、老化に関連する病気は犬と人間では非常に多くの共通点があります。また、犬は豊かな遺伝子構造を持っており、何より犬と人間は同じ環境を共有して生きています。
犬の老化を研究し、病気の治療法を開発することは、人間の同じ病気の治療法へのステップとなっている例は過去にもたくさんあります。
わざわざ病原菌を植えつけたり、遺伝子操作などで病気の実験動物を作り出したりする治療方法の研究をするよりも、病気になってしまった犬の治療法を模索しながら、人間の医療にも応用していくという方法はずっと人道的で理に適っています。
長期のプロジェクトで先の長い話ですが、犬のアンチエイジングがこのように大々的に研究されているというのは、愛犬家としても嬉しく心強い気がしますね。
まとめ
アメリカで大規模な犬のアンチエイジング研究のプロジェクトが立ち上がり、データ収集のための参加者が募集されているという話題をご紹介しました。
アンチエイジングとは、もちろん不老不死を追求することではありません。「老化のせいだから」で片付けられがちだった疾患や症状の要因やケアの方法を見つけることで、生活の質を改善し、愛犬が豊かで穏やかなシニア期を過ごせるようにもなります。研究の行方に期待が膨らみます。
《参考URL》
https://dogagingproject.org