アメリカの地方検事局に正式に雇われたセラピードッグ
2019年10月、アメリカのイリノイ州の地方検事局がハッティという名の2歳の黒いラブラドールを雇用したことが話題になっています。ハッティの仕事は、検事局に来て虐待や性犯罪の被害者になった子供たちの聴取や、裁判での証言の際の精神的なサポート役となることです。自治体の役所で正式にセラピードッグが雇用されたのは初めてのことだそうです。
ハッティは宣誓台で、前足を法律書の上においての宣誓もきちんと行いました。
こちらはニュース番組で紹介されたハッティのビデオです。
法廷セラピードッグ、ハッティの役割
言うまでもなく、虐待などの犯罪の被害者になることは身体だけでなく、精神的にも大きな傷を負う経験です。さらにそのことについて事情聴取を受けたり裁判で証言したりするというのは、辛さを増幅させ、新たなトラウマを引き起こす可能性すらあります。まして、被害者が子供である場合には最大限の配慮が必要です。
州検事局のトップであるフォックス検事は、被害者となった子供が少しでも落ち着いて事情聴取や証言の場にいられるようにと、ハッティの採用を決めたそうです。
犬がそばにいることで、脈拍や血圧が安定しオキシトシンなど心を鎮めるホルモンが分泌されることは、数々の研究でよく知られています。特に子供にとっては、目の前にいる検事や弁護士よりも何も言わずに寄り添ってくれる犬の方が、迅速に信頼関係を構築することができることでしょう。
犯罪被害者の精神的サポートとして、セラピードッグを採用している自治体は他にもあるのですが、裁判への犬の同行は認められていない所がほとんどです。
しかし、イリノイ州では2016年に、検察官がセラピードッグが被害者に同行することを裁判所に誓願することを許可する法律が可決され、このたびのハッティの採用につながりました。
ハッティの訓練やケアはどのように?
ハッティは9時から5時まで検事局オフィスに勤務して、年間150〜200件のケースに携わる予定だそうです。被害者に同行して法廷に出るのは月に2回。
ハッティのハンドラーとしての訓練を受けた2人の従業員が、オフィスでのケアと勤務時間外のハッティと自宅で暮らしています。
特筆すべきは、セラピードッグとしてのトレーニングをハッティに行った人と場所です。ハッティはミズーリ州にある介助犬訓練組織を通じて、刑務所で服役中の受刑者によって訓練されました。このような取り組みも広がっていくと良いなと思います。
まとめ
アメリカのイリノイ州の地方検事局で、虐待などの犯罪被害者となった子供が事情聴取を受けたり裁判での証言を行ったりする際に、被害者に寄り添って精神的なサポートとなるセラピードッグが正式に採用されたというニュースをご紹介しました。
犬がそばにいてくれるだけで、癒し効果を受けられることは多くの皆さんがご存じの通りです。ハッティが少しでも被害者の心を癒し、立ち直るきっかけになってくれればと願わずにはいられません。そして、このような対応をする自治体が少しずつでも増えていくといいですね。
《参考資料URL》
https://dogtime.com/trending/83937-chicago-states-attorney-support-dog-victims