米N.Y発、ドッグトレーニングが正式に大学の学位取得プログラムに

米N.Y発、ドッグトレーニングが正式に大学の学位取得プログラムに

アメリカのニューヨーク州立大学でドッグトレーニングの学位取得プログラムが開始されます。その内容をご紹介します。

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州立大学でドッグトレーニングの学位取得プログラムがスタート

スタフォードシャーブルテリアとクリッカーを持つ人の手

2019年秋、ニューヨーク州立大学コブルスキル校においてアメリカでは初めての専門的なドッグトレーニング学位取得プログラムが正式に開始されます。アメリカでは2001年に起きた911同時多発テロ以降、セキュリティ上の危険物を探知したり、退役軍人をサポートしたりするために特別な訓練を受けた犬の需要が高まり続けています。

同大学で教鞭を取るスティーブ・マッケンジー教授は、このような犬の需要の増加に応えてドッグトレーニングの学士号をスタートさせたと語ります。マッケンジー教授自身が軍用犬や警察犬の訓練に40年間携わり、プロ向けの専門書を著してきた人です。

特別な仕事に就く犬とハンドラーの需要増加

ベストを着た探知犬

需要が増えているのは前述のようなセキュリティや探知のための犬だけではありません。法執行機関は薬物探知犬、捜索や救助に携わる犬、そして犬たちとともに働くハンドラーを訓練して育て上げるスキルのある人々を必要としています。

イラクやアフガニスタンから帰還する兵士が増えるに連れ、彼らが負った心的外傷後ストレス障害や運動障害をサポートする介助犬の必要性も高まっています。犬の能力に関する研究が進むにつれて介助犬の仕事の範囲も広がっており、従来の視力障害や聴力障害の人を助ける盲導犬や聴導犬だけでなく、自閉症、てんかん等発作性疾患、糖尿病その他様々な状態の人々をサポートするために訓練された犬も必要とされています。

同大学のプログラムではこのような専門的な訓練の他に、もちろん一般家庭の家庭犬やアニマルシェルターに居る保護犬のための基本的なトレーニングも学びます。トレーニング実習のための犬は、大学の職員や地域社会の人々の愛犬がボランティアで参加します。問題行動を抱えている犬も受け入れる予定で、学生たちは犬の気質や適性を見極めて、どの分野のトレーニングがその犬に適しているかを見つけていきます。

ドッグトレーニングのノウハウを学ぶだけではない

試験中の学生

様々なトレーニングは学位の重要な部分を占めますが、それだけではありません。学生たちは犬の健康、栄養学、遺伝学など、ドッグサイエンスの単位を取得しなくてはなりません。また盲導犬協会やアメリカンケンネルクラブ、探知犬基金といった犬関連の団体や企業での600時間のインターンシップも必要とされます。

労働統計によると、2013年に約1万人だったアメリカのドッグトレーナーの数は2016年には約1万4300人になっています。そして2016年からの10年でさらに22%増加すると予想されているそうです。それにも関わらずアメリカではドッグトレーナーに関する公的な免許はほぼありません。(昨年ごく一部の州でようやく免許制の導入がスタートしたばかり)

現状ではオンライン講座や独学で学んだだけのドッグトレーナーも多くいます。マッケンジー教授は「大学の学位を持たずに、ドッグトレーニングの世界で成功している人はたくさんいます。しかし、実地の経験と科学的な知識を得た上で犬と仕事をしたいのであれば、この大学で学ぶことは良い選択です。」と述べています。このニューヨーク州立大学に続いて、他の大学でも同様のプログラムがスタートされることが期待されます。

まとめ

犬を抱いた卒業ガウンを着た男性

アメリカの州立大学で、初めてドッグトレーニングが正式な学位取得プログラムとしてスタートするというニュースをご紹介しました。総合的な科学知識を併せ持ったドッグトレーナーは、訓練される犬の福祉に於いてもとても大切です。科学的で人道的なドッグトレーニングが普及するためにも、ドッグトレーニングで学士が取得できるという動きは広がっていってほしいと思います。そして日本でも、ドッグトレーニングが学問として認識される日が来ることを願ってやみません。

《参考》 https://wsbt.com/news/offbeat/pawesome-you-can-fetch-a-degree-in-dog-training-at-a-new-york-college

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