チェコのアニマルシェルターでの犬の引取りに関する調査
男性と女性では、家族に迎える犬のタイプに違いがあるのだろうか?と問われると、多くの人が何となく頭に浮かべるステレオタイプがあるかと思います。女性は小さくて可愛らしい犬を、男性は大きなたくましい犬を好むのでは?と思われがちですが、実際の調査結果はどうだったのでしょうか。
チェコ共和国のブルノ獣医科薬科大学の研究者が、アニマルシェルターから保護犬を引き取った人々の記録の分析調査が行われ、発表されました。さて、どんな結果が見られたのでしょうか。
女性が好む犬、男性が好む犬
分析されたデータは、2010年1月1日から2016年12月31日までの7年間で譲渡された955匹の犬の記録でした。調査対象の期間もデータの数も、この種の調査では他にあまり例を見ない規模の大きなものです。
まず、調査対象となったシェルターから犬を引き取った人の男女比ですが、女性52.6%男性47.4%と女性の方が多い傾向が見られました。譲渡された犬の性別については、男女ともに自分自身と同じ性別を好むとか、違う性別を好むという嗜好は見られませんでした。
一方、犬のサイズについてははっきりした違いがありました。引き取った犬のサイズ別に見ると、
- 男性 小型犬33.3% 中型犬43.3% 大型犬23.4%
- 女性 小型犬40.9% 中型犬43.3% 大型犬15.8%
小型犬を引き取ったのは有意に女性が多く、大型犬では男性が有意に多くなっています。中型犬では全く同じ数値となり、男女の違いは見られませんでした。
犬のコートの色では、茶色で女性の比率が高かったことと、黒地にダークカラーのポイントのある犬で男性の比率が高かったこと以外に、他の毛色に男女比の違いは見られませんでした。
犬が純血種であるか雑種であるかについても、男女の違いはありませんでした。ただし、これは当該のアニマルシェルターに純血種の犬が少ないため、純血種の犬が欲しい人は最初から来ていない可能性が高いと思われます。
犬の年齢に関する数字では
- 男性 4ヶ月齢未満37.4% 〜5歳54.6% 〜10歳7.3% 10歳以上1.7%
- 女性 4ヶ月齢未満38.1% 〜5歳48.8% 〜10歳11.3% 10歳以上1.8%
年齢に関する比率だけを見ると、女性の方がシニア犬を引き取る人の割合が若干高いと感じられますが、10歳以上の犬で引き取り手があったのは11匹のみで、内訳は男性3名女性8名とはっきりと女性の割合が多かったことがわかります、
調査結果からわかること、考えること
いかがでしょうか?こうして数字を見てみると、最初に何となく頭に浮かんだステレオタイプからあまり大きく離れていないような感じですね。女性は小型犬を、男性は大型犬を好む傾向があるという面などは特にそうです。また犬の年齢を見たとき、女性はシニア犬など手間のかかる可能性の高い犬を引き取ってもかまわないと考える人の割合が男性よりも多いようです。
これらは以前に行われた、もっとザックリした統計の結果とも一致しているそうです。また、アニマルシェルターで働く人が統計は取らなくても肌で感じている傾向とも一致しているのだそうです。
こうして数字で犬の引き取り手の好む傾向が見えることで、保護施設の運営者は対策を立てやすくなります。大型犬は小型犬に比べて引き取り手が見つかりにくいと言われていますが、男性の引き取り手がアニマルシェルターに来やすくする戦略などを立てることで改善できるかもしれません。
まとめ
チェコ共和国のアニマルシェルターで譲渡された犬の引き取り手についての記録を男女別に分析した結果、女性は小型犬を好み男性は大型犬を好むという傾向が見られ、シニア犬の引き取り手も女性の方が多いということが分かりました。外国の話ではありますが、日本でも同じような傾向が見られるのではないでしょうか。このような統計が、保護犬に新しい家族を見つけるための役に立つことを願います。