嗅覚でガンを探知する犬たち
マラリア、糖尿病、癲癇など、犬がその素晴らしい嗅覚を使って様々な病気を嗅ぎ当てることは、今までにもたくさん研究が発表され、報道されてきました。犬がガンを嗅ぎ分けることができるという話題も、過去に聞いたことがあると言う方も多いでしょう。そしてこのたびまた、犬が大変に高い精度でガン患者のサンプルを嗅ぎ当てたという実験の結果が発表されました。
フロリダに拠点を置く製薬研究所バイオセントDxは、犬の嗅覚をベースにしてガンを探知することを研究しています。バイオセントDxによって、2019年4月にオーランドで開催されたアメリカ生化学分子生物学会の年次総会にて発表されたのが、今回ご紹介する研究結果です。
血液サンプルからガンを探知
研究に参加したのは、4匹のビーグルたちでした。犬たちは肺ガン患者の血液サンプルと健康な被験者の血液サンプルを判別するよう、クリッカーを使った方法で訓練されました。そうして実際にビーグルたちが行ったリサーチの結果は、驚くほどの正確さを示しました。
肺ガンを患っている人の血液サンプルは、3匹の犬によって96.7%の精度で探知されました。さらに健康な被験者の血液サンプルは、同じく3匹の犬によって97.5%の精度で探知されました。3匹の犬はほぼ完璧な正確さで、血液中の人間のガンを嗅ぎ分けたというわけです。
4匹訓練したはずなのになぜ3匹かと言うと、スナッグル君という名前の1匹がいざ実験というときに全く乗り気にならず、不参加となったからだそうです。スナッグル君が乗り気にならなかったのは、もしかしたら重大な理由があるのかもしれません。
今後のガン検出の新しいアプローチとして期待
今回の研究を発表したのは、大学の研究者ではなく企業の研究所であるため、犬の嗅覚をベースにしてガンのスクリーニングを行うというアプローチが実用化されるのにまた一歩近づいたと言えるでしょう。患者に負担の少ない方法で正確な診断ができるようになることが大きく期待されています。
同社は犬たちが探知した物質が具体的に何であるのかを特定して、さらに精度の高いスクリーニングを追求するとのことです。また今回の研究とは別に、患者の呼気を犬が嗅ぐことで乳ガンを検出する研究も進行中なのだそうです。
まとめ
アメリカの製薬研究所が訓練したビーグル犬たちが、血液サンプルから肺ガンを97%の精度で嗅ぎ当てたという研究の結果をご紹介しました。このような方法でガンがより早期に発見されるようになり、多くの人の命が救われることが期待されます。
犬好きとしては、もしも自分の病気が犬によって発見されるようなことがあれば、犬への大きな感謝の気持ちから、その後の治療のモチベーションも上がりそうな気がします。皆さんはどう思われますか?
《参考》
https://plan.core-apps.com/eb2019/abstract/75baa294-b5aa-489c-8c74-d36144aca3c5
https://www.usatoday.com/story/news/nation/2019/04/10/dogs-noses-help-sniff-out-lung-cancer-blood-samples-study-says/3415727002/