室内の空気汚染、意識していますか?
近年は、季節風に乗って汚染物質が飛んでくる世界規模の大気汚染が話題になりがちですが、もっと身近な家の中でも空気の汚染は起こっています。人間よりも体が小さく、肝臓の代謝システムも違う犬や猫は、空気の汚染の影響を受けやすいので特に注意が必要です。
どんな点に気をつければ良いのかをご紹介します。
カビやダニなど自然由来の汚染
室内に発生するカビ
カビと言えば梅雨時から夏場に発生しやすいイメージがありますが、冬場は屋内外の温度差による結露などで屋内に水分が溜まりやすいため、カビが発生しやすい環境になります。また、風邪予防のために使用する加湿器もカビを発生させやすくしたり、加湿器内部の清掃が不十分だとここにカビが生えたりすることもあります。カビの胞子が空中に漂うことで、空気を汚染します。
チリダニ
また動物の体について血を吸うダニとは別の種類の、体長0.2〜0.4ミリ程度のチリダニも湿った暖かい環境で増えやすくなります。チリダニの老廃物や排泄物も空中に舞って、室内空気汚染の原因となります。
どんな影響が?
犬や猫などペットへの影響は、咳、くしゃみ、目ヤニや鼻水、睡眠時間の増加、頻繁な足舐め、食欲不振、呼吸困難を引き起こします。また、チリダニは皮膚や耳の炎症などアレルギーを引き起こす場合もあります。
対策は?
掃除用アルコール、酢+重曹など、ペットにも安心なものでこまめに掃除をしましょう。室内の植物はできるだけ少なくします。植物自体は空気を綺麗にする働きがあるのですが、植物を植えている湿った土が空中に漂う微生物を増加させる場合があります。
ペットのベッドやおもちゃなど布製のものは、60℃以上のお湯で洗濯すると、チリダニを駆除できます。
生活の中の化学物質
家庭用品に含まれる揮発性の有機化合物
日常的に使っている多くの家庭用品には揮発性の有機化合物が含まれており、これは蒸発して空気中に拡散されます。家具や内装に使われる接着剤や塗料、灯油ヒーターなどは代表的なものですが、見落としがちで実は多くの犬や猫が被害を受けているのが、匂いの強い衣類柔軟剤、布製品にスプレーする消臭スプレー、部屋の芳香剤などに含まれる化学物質です。
どんな影響が?
犬や猫は人間よりもずっと少量の有機化合物で、目鼻、のどの刺激、皮膚の炎症、頭痛、吐き気、めまい、疲労感を引き起こします。慢性的で重症になると、肝臓などの障害やガンにつながる可能性もあります。(※猫はエッセンシャルオイルなど天然由来のものも肝臓で代謝できないため禁忌です。)
対策は?
空気中の有機化合物の濃度を下げる最も手軽な方法はこまめな換気です。家具や壁紙などを新しく選ぶときは、シックハウス対策のものを選ぶようにします。匂いの強い衣類柔軟剤、消臭スプレー、芳香剤などは使用しないようにします。
まとめ
ペットの健康に影響を及ぼす室内空気汚染についてご紹介しました。人間なら「この匂いを嗅ぐと頭が痛くなる」とか、「この部屋にいると痒くなる」と伝えることができますが、犬や猫は人間が気をつけてあげるしかありません。現代では室内の空気の汚染の全てを回避することは不可能ですが、許容できるレベルまで減らすことはできます。生活環境を清潔に保ち、生活の中の化学物質を極力減らすことで、ヒトもペットも綺麗な空気の中で暮らしたいですね。