アメリカの空港で働く探知犬
空港で税関や手荷物検査を通る際に、働く探知犬を見かけたことのある方は多いかと思います。ご存じの通り探知犬たちは、麻薬や爆発物が持ち込まれていないかどうかを検査する重要な役目を担っています。
アメリカの空港でも多くの探知犬が活躍しているのですが、最近探知犬の外見=犬種にちょっとした変化が見られるようになってきました。それは、とがった立ち耳の犬種よりも、耳の垂れた犬種が多くなっているというものです。
探知犬を管理しているアメリカ運輸保安局の広報担当者は、この変化を意識的に行ったものだと語っています。
なぜ垂れ耳犬種を多く採用?
現在、運輸保安局では探知犬が引退した後に新しい犬を補充する際、積極的にスポーティングまたはハウンドのグループに属する垂れ耳の犬種を採用する方針を採っているのだそうです。その理由は単純で、「垂れ耳の犬の方が乗客(なかでも子供たち)に恐怖感を与えないから」というものです。
運輸保安局が管轄するアメリカ全土の空港で、約1200頭の犬が探知犬として働いており、そのうち約80%が垂れ耳の犬種だそうです。
採用されている垂れ耳の犬種は、
- ラブラドールレトリーバー
- ジャーマンショートヘアーポインター
- ワイヤーヘアーポインター
- ヴィズラ
- ゴールデンレトリーバー
の5つです。残り約20%は、ワーキンググループのジャーマンシェパードとベルジアンマリノアの2犬種です。
実際には立ち耳の犬が、垂れ耳の犬よりも攻撃的であるとか、友好的でないことを示す研究は存在しません。ではどうして垂れ耳の犬の方が怖くないと感じる人が多いのでしょうか?
垂れ耳の動物は進化の過程で言えば「家畜化」の象徴であり、自然界では垂れ耳は幼齢の動物の特徴でもあります。垂れ耳が持つ「飼い慣らされた」「幼い」イメージが、立ち耳よりもフレンドリーな印象を与えるのに役立っているのかもしれないですね。
また、シェパードやマリノアは警察犬や軍用犬に結びつける人が多いため、フレンドリーというよりも「勇敢に闘う」というイメージが強いとも考えられます。
フレンドリーに見えても探知犬
このように、空港で働く探知犬に垂れ耳の犬種が増えていることは、運輸保安局の広報担当者がマスコミなどに語っているのですが、この決定は公式文書としては発行されていないのだそうです。
なぜなら、空港で麻薬や爆発物を探知するという重要な任務において、最も大切な基準は「健康であること」「匂いを検出する意欲と能力」「社会性のある気質」であり、垂れ耳であれ立ち耳であれ、これらの基準が最優先されるからです。
また、働く犬がフレンドリーに見えても、仕事中の犬に人々が近づいてはいけないことに変わりはありませんが、これについては素敵なアイデアが用意されています。
空港で働く犬たちの写真を、お菓子のおまけのスポーツ選手カードのようなカードにして、子供が犬に近づこうとしたときには、ハンドラーがこのカードを手渡すようにしているのだそうです。子供でなくても欲しくなるようなアイデアですよね。
まとめ
アメリカの空港で働く探知犬について、乗客が怖がらないようにラブラドールなどの垂れ耳の犬種を積極的に採用しているという話題をご紹介しました。
犬好きな人々にすれば、立ち耳でも垂れ耳でも、働く犬を見たときに感じるのは「賢いなあ」「えらいなあ」という賞賛の気持ちが大半だと思うのですが、空港というたくさんの人が集まる場所では犬に馴染みのない人も、犬が苦手な人もいるので仕方がないことかもしれません。
ユーザーのコメント
30代 女性 スヌ子
近くの空港ではセキュリティエリアの列で探知犬がウロウロ&クンクンしますが、圧倒的にビーグル、そしてたまにポインターを見ます。
街中や大きな駅にいる警察犬だとジャーマンシェパードが一番多く、次はラブラドールレトリバーでしょうか。
2種を比較すると、駅にいるのはラブラドールのほうが多い気がします。
写真は先週末に駅にて警察官にお願いして撮らせてもらった警察犬です。
仕事中ではあるのですが、ご主人ではない警官(右の方)にも飛びついて懐いていてとても可愛かったです。