NZのビーチで野生動物と犬両方を守るために
ニュージーランドは自然の美しさでよく知られている国で、ビーチなどは犬と出かけるには絶好の場所です。
しかし、そこには多くの野生動物が住んでおり、中には絶滅の危機に瀕している種もいて、犬が野生動物にとって脅威となる可能性、また反対に犬が野生動物に襲われる可能性もあります。
美しい海岸線で知られるニュージランド南島のダニーデンという街の海岸には、ニュージーランドアシカやイエローアイドペンギンなどの貴重な種の生き物が生息しています。
ダニーデンでは、襲ったり襲われたりという危険から、野生動物と犬の両方を守るためユニークな取り組みをしています。取り組みを主導しているのはダニーデン保全省で、プロジェクトの名前は『リード・ザ・ウェイ』と言います。
『リード・ザ・ウェイ』のシステム
ダニーデンの保全省は、犬の飼い主が取得することのできる「ワイルドライフ保全認定犬」という資格を発行することを考案しました。
資格はオンラインのテストを受けることで取得できます。クイズ形式のテストは野生動物との正しい接触の仕方についてのもので、啓蒙や教育活動も兼ねています。
テストに合格したら、自治体が指定する認定犬用リードを購入するための案内Eメールを受け取ります。このリードを使用することで、この犬の飼い主はワイルドライフ保全認定を受けているということが周りの人にもわかります。
リードの購入代金は、怪我などのために保護された野生動物の病院を支援するために使われます。
なかなか良いシステムですよね?しかし、リード・ザ・ウェイの良い点はそれだけではないのです。
リードの色で一目で分かる犬の行動傾向
テストを受けて購入する犬のリードですが、グリーン・オレンジ・レッド・イエローの4色のバリエーションがあり、その色が犬の行動傾向を表すようになっています。
- グリーンは、ほとんど常に他の犬や人間にフレンドリー
- オレンジは、知らない犬や人間に対して注意が必要なことがある
- レッドは、知らない犬や人間に近づくのが苦手なので距離を取ってほしい
- イエローは、耳または目が不自由
広報サイトでは「たとえグリーンのリードの犬でも、近づくときには飼い主さんに声をかけて了解を取ってからにしましょう。オレンジやレッドのリードの場合は、犬や飼い主さんを尊重して距離を取るようにしましょう。」と呼びかけています。
アニマルシェルターなどでは、保護犬のカラーをこのようなパターンで色分けして気質や行動を分類しているところもありますが、普通の飼い主さんと犬の日常生活にこういうアイデアを取り入れるのは新鮮な感じがします。
社会全体でこういう取り組みができれば、周知徹底のためのアナウンスが教育につながる部分もあるし、犬のストレスや咬傷事故の防止に一役買うかもしれないですね。
下記動画はリード・ザ・ウェイのプログラムを紹介するものです。
ニュージーランドの美しいビーチと犬と野生動物が登場するので、映像を見るだけでも楽しく「これは確かに犬と野生動物の両方を守らなくてはいけないな」という気持ちにさせられます。
まとめ
ニュージーランドのダニーデンという町で、海岸に生息する野生動物の保護とビーチに遊びに来た犬の安全のために考案されたプログラムをご紹介しました。
保護活動のための資金確保をしながら、犬の行動傾向がひと目で分かるリードの色分けで事故防止にもつながる素晴らしいアイデアです。
他の国や社会でも、事故防止やスムーズなコミュニケーションのヒントになればいいなと思います。
《参考》
https://www.doc.govt.nz/our-work/lead-the-way/