犬の火傷の原因
火傷とは、一般的には皮膚が高温に曝されることによって起こる、皮膚の組織障害のことを言います。
皮膚は被毛とともに、温熱・冷感といった温度や様々な刺激、感染などから、犬の身体を守るバリア機能の働きをしています。ですが、高温の物体(液体・気体も含む)や化学物質に曝されてしまうと、バリア機能が破壊されてしまいます。これが火傷です。
火傷には、一般的に言われる高温の物体に触れることで起こるものの他にも、低温火傷や電撃傷など、様々な種類があります。犬が火傷しやすい場面を確認しておきましょう。
火傷
屋内では、熱湯やストーブによる火傷に注意しましょう。調理中に熱湯や油がかかってしまうという事故は、珍しいことではありません。ケトルや炊飯器の湯気も火傷の原因です。犬の届かないところに置くようにしましょう。
屋外では、焚火や炭火の扱いに注意しましょう。夏場は、熱せられたアスファルトにも十分注意が必要です。
低温火傷
床暖房や電気カーペット、コタツといった、暖房器具が原因となることがあります。特に、体温調整が苦手になってくる老犬の場合は、まめな温度管理をしてあげる必要があります。
ドライヤーも低温火傷の原因になります。使用する際はドライヤーを常に動かし、温度を確認しながら、一か所を温めすぎないようにしましょう。
電撃傷
電撃傷は、感電してしまうことによって起こる火傷です。電気により発生した火花によって起こる火傷と、電流が体内を流れることで起こる重度の火傷があります。火花は犬の被毛に燃え移ることがあり、その場合、受傷範囲が広くなってしまいます。
電撃傷は、犬が電化製品やそのコードにイタズラをした場合などに起こります。犬がイタズラしづらいように、お家の環境を見直してみましょう。また犬が感電しているときは、助けようとして飼い主さんが感電しないように注意しましょう。
犬の火傷の症状
犬が火傷をしてしまった場合、どのような症状が表れるのでしょうか。
受診しなくても治る火傷
皮膚の赤みや、ジンジンとした痛みがありますが、その場合どちらも軽度です。犬は患部を少し気にしたり、触れられるのを嫌がったりするかもしれません。数日で改善し、跡も残りません。
動物病院の受診が必要な火傷
より強い皮膚の赤み・痛みに加えて、赤い水ぶくれができたり、水ぶくれが破れてただれたりすることがあります。治療には10日~2週間ほどかかります。
動物病院の受診が必要な重度の火傷
白い水ぶくれができたり、破れて潰瘍になったりすることがあります。皮膚の深くまで障害されるために、知覚が障害され、痛みを感じづらくなることがあります。治療には1か月ほどかかり、軽度のケロイドが形成されます。
長期の入院が必要な火傷
患部が壊死してしまうため、皮膚は白色~黄褐色または黒色になります。知覚が機能しなくなるため、痛みは感じません。
皮膚が壊死した部位の感染のリスクが高まったり、壊死部から組織液が流出して脱水や体内の電解質の異常が起こるなどの理由から、入院治療が一般的です。皮膚移植手術による治療を行うこともあります。
犬の火傷に家でできる対応
犬が火傷を受けてしまった場合、まずは患部を流水で冷やしましょう。流水を用いる方が保冷材を用いるよりも痛みが少なく済みます。
患部を冷やすことで、ダメージを受ける組織を減らすことができます。火傷は、時間が経つにつれ症状が進みます。受傷直後は大きな問題がないように見えても、後から痛みや皮膚の壊死が目立つようになることがあります。
電気のコードなどをくわえて感電した場合は、口の中にやけどを負うだけではなく肺水腫を起こしてしまうこともありますので、要注意です。
患部を冷やした後、皮膚が少し赤い程度なら、お家で様子をみることができます。その後悪化が見られなければ、そのまま自然治癒していくでしょう。
ですが悪化が見られる場合や、水ぶくれ・ただれ等がみられる場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。動物病院に向かうときは、水で濡らしたガーゼや脱脂綿で患部を保護しながら移動しましょう。
まとめ
火傷は、受傷直後のお家での対応が重要です。愛犬が火傷を負った場合、飼い主さんも驚いてしまって、十分な対応をとれないことがあります。
犬が火傷を負った場合、被毛によって患部が隠され、発見が遅れてしまうことがあります。また、受傷直後は軽傷に見えても、処置を怠ると時間とともに悪化してしまうこともあります。
火傷に気がついた場合、まずは患部を流水でよく冷やしましょう。冷静な対応が、愛犬のその後の治療を左右するのです。