外飼いの犬のためにフェンスを提供する活動をする保護団体

外飼いの犬のためにフェンスを提供する活動をする保護団体

犬の保護団体と言えば、犬を保護して新しい飼い主を探すという活動が最初に思い浮かぶイメージですが、外飼いの犬のためにフェンスを提供するというユニークな活動を行なっているアメリカの団体をご紹介します。

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違う角度からの犬の保護活動を行う団体

フェンスの向こう側の2匹の犬

犬の保護団体と言うと、多くの人は飼い主のいない犬をシェルターや個人宅で保護して、ケアをしながら新しい飼い主につなげる、という活動を思い浮かべることと思います。

しかし、そのような一般的な活動とは少し違う角度から犬の福祉を改善して、行き場のない犬を生み出さないための活動をしている団体があります。

アメリカのアイオワ州で活動をしている、非営利団体ザ・フェンスプロジェクト・オブ・デモインはその名の通り、デモインという町で犬のためのフェンスを提供するプロジェクトに取り組んでいます。

保護の対象になるのは飼い主のいない犬ではなく、飼い主はいるけれど正しく扱われていない犬たちです。

外国の団体ですが、日本の犬を取り巻く環境でも大いに考えさせられ、参考になる点の多い活動をご紹介します。

フェンスプロジェクトの対象になる犬とは?

屋外の犬小屋につながれたダックスフンド

この団体は2012年に活動をスタートして以来、助けが必要な犬たちのために95のフェンスを提供してきました。

対象となるのは、家の庭先などで鎖につながれて飼われている犬です。ボランティアグループが、助けが必要だと判断した犬が対象になり、飼い主の経済的事情は全く考慮に入れられません。

鎖につながれたまま、飼い主である人間との接触が少ないため心身のケアが不足し、天候や屋外の危険からの保護が、十分でないと判断された犬の生活を改善することがこの団体の目的です。

団体のメンバーは「多くの犬が一生鎖につながれたままで、自由に走った経験さえないのです。」と訴えます。

このような犬たちのために、高さ1.8mのフェンスをめぐらせ、きちんとした犬小屋、犬用のベッドを提供し、庭の清掃などを行います。

本来なら屋内で飼育するのが理想ですが、少なくとも犬はフェンスの中を自由に動き回れるようになり、快適な小屋とベッドを手に入れることで、犬の福祉が改善されます。

外飼いの犬の住環境を整える意味

フェンスの向こうで吠える犬

ザ・フェンスプロジェクト・オブ・デモインの活動の1番の目的は、もちろん犬の福祉の改善です。

一般的な保護犬に新しい家を探す活動では、このように「一応は飼われているが、福祉の面が全く考えられていない犬」を救うことができません。

かと言って、「あなたの犬の飼育方法は間違っています。犬は家の中に入れて飼ってください。」と告げても、状況が改善するとは考えられません。

また、家の庭先で鎖につながれたままの犬たちを日常的に目にすることに、心を痛める人もいる一方で、子供たちなどはそれが普通のことだと無意識に学習してしまう可能性もあります。

動物との接し方を次世代に正しく伝えるためにも、日常的に酷い扱いを受けている犬をそのままにしておいてはいけないのです。

そしてさらに大切なことは、外飼いの犬の住環境を整えることは行き場のない犬を生み出さないための重要な対策であるということです。

犬を鎖につなぎっぱなしで、きちんと世話をしない飼い主が犬に避妊去勢手術を施している可能性は低いでしょう。

これらの犬が毎年のように子犬を産み、飼い主は生まれた子犬をアニマルシェルターに持ち込んで、施設の殺処分率を上昇させているという現実があります。

日本でもつなぎっぱなしの外飼いの犬が多い地域では、知らない間に犬が妊娠して子犬を産み、その犬を保健所に持ち込んだり、野犬化したりしていることが大きな問題になっています。

外飼いの犬にフェンスを提供することは、その犬の福祉を守ることの他に、地域社会や次世代の殺処分を予防するための重要な活動なのです。

この団体の活動は、全て寄付金とボランティアの労働力で賄われています。フェンスを作ってもらった犬たちの笑顔は、こちらで見ていただけます。
Fence Project Canine Recipients

まとめ

フェンスの内側でくつろぐ白い犬

アメリカのアイオワ州で、外飼いでつなぎっぱなしで飼われている犬に、フェンスや犬小屋を提供している非営利団体の活動をご紹介しました。

囲いもない屋外でつないだままで飼われている犬は、日本でも地域によっては多く見られる光景です。けれどそこには多くの問題が山積みになっていることや、犬を保護する活動として今回ご紹介したようなものもあるのだということを、多くの方に知っていただきたいと思います。それは決して犬好きな人々だけの問題ではなく、社会全体の現在と未来の問題でもあるからです。

《参考》
https://www.fenceprojectdm.org/HowWeSelect.html

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    50代以上 女性 匿名

    日本でも、『外飼いは、虐待になります。』と言う人達はいますが、家庭の事情なども知らず安易に言うべきではないと思ってますし、言うだけなら誰でもできます。
    このプロジェクトは、そう言うのは一切せず、心理なども考慮し無償で提供しているので凄い、素晴らしいと思います。
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