犬と一緒に眠ることが慢性的な痛みを軽減する?
怪我の後遺症や慢性疾患など、様々な理由で慢性的に身体の痛みを感じているという人々の苦痛を改善することは、医療の大きなテーマのひとつです。
カナダのアルバータ大学の研究者が、睡眠の質を改善することが、痛みの症状を和らげる可能性が示唆されていることから、犬と暮らすことが痛みと睡眠に影響を及ぼす影響についての研究をスタートさせました。
中でも犬と同じベッドで一緒に眠ることが、痛みを軽減することにつながるか?という点が注目されています。
慢性的な痛みを持つ人たちへのインタビュー
研究は、「6か月以上続くスケール4以上の痛みを持っており、犬と暮らしている人」へのインタビュー調査を行い、その内容を詳しく分析するという方法で行われました。
参加者は一般から募集したボランティアの人々です。
年齢は45歳から70歳。性別の内訳は女性が6人、男性が1人でした。
参加者には、「犬と暮らすことが慢性的な痛みをコントロールすることにどのくらい影響しているか」に関する項目と、「犬はあなたの睡眠に良い影響又は悪い影響を与えるか」という項目がインタビューされました。
インタビューから見えた可能性
インタビューの結果を分析した結果、研究者は「慢性的な痛みに苦しむ人にとって、ペットの犬の存在は圧倒的にポジティブである可能性が高い」としています。
参加者が述べた犬との暮らしが、日常生活や睡眠にもたらすのは以下のようなものでした。
- 犬と同じベッドで一緒に眠るときは幸福感が増す
- 眠る前にベッドで犬を撫でたり、一緒にくつろいだりすることで、不安や孤独感を和らげる
- 犬が同じベッドにいることでリラックスと安心を感じる
- 犬がいることで日常生活が活動的に保たれる
- 犬がいることで日常生活が規則正しくなる
これらは皆、より良い睡眠を確保するために重要なことです。
睡眠の質が向上することが身体的な痛みの改善に役立つのであれば、この参加者たちにとって、犬と一緒に眠ることが痛みの改善に有効である可能性があると言えます。
研究者のひとりであるブラウン博士は、次のように述べています。
慢性的な痛みを抱えている人々は、社交的な機会を持つことが少なく孤独を感じがちなので、ペットとの関係は重要な意味があります。ペットをベッドから追い出すことは、動物がもたらす患者にとっての心地よさを失うことにつながります。」
まとめ
カナダの研究者が発表した「犬と一緒に眠ることが、慢性的な痛みを抱えている人々の睡眠の質を向上させ、痛みの軽減に役立つ可能性」という研究をご紹介しました。
犬と暮らすことで不安や孤独が癒されリラックスできることが、質の高い睡眠につながるというのはとても納得できる可能性ですね。
もちろん、犬と眠ることにはデメリットもありますし、時には犬が安眠を妨害することもあります。
「犬と眠ることで全てがうまく行く」とか、「犬と眠るのを止めれば問題が解決する」という単純な結論ではなく、それぞれの個人がメリットとデメリットをよく考えて、結論を出さなくてはなりません。
そのようなときに医療従事者が的確なアドバイスを与えられるようにするため、このような研究には大きな意味があります。
《参考》
https://www.mdpi.com/2076-0760/7/9/157/htm