裁判所で働くセラピードッグたち
アメリカのミシガン州、ケント郡の裁判所に24匹のセラピードッグたちが採用されたというニュースが報道されました。
裁判で証言しなくてはならない犯罪被害者の心を落ち着かせるために、裁判の前に被害者に寄り添っておくことがセラピードッグたちの仕事です。
子供の被害者とセラピードッグ
裁判におけるセラピードッグのプログラムは、犯罪被害者の中でも子供と精神的な問題など、特別な事情がある人のみが対象になっています。
言うまでもなく、犯罪の被害者になることは大きな心的トラウマになります。
その上、法廷という特殊な場所で知らない人々の前で、自分の被害について証言することは大きなストレスとなり、ことによっては犯罪そのものと同じくらいの心的トラウマを再度経験することにもなりかねません。
セラピードッグたちは、そのようなリスクの高い子供や事情のある人の負担を、少しでも軽減するために採用されました。
証言をする人たちが犬と一緒に過ごすのは、実際に法廷に入る前の待機時間だけなのですが、それでも法廷での心の落ち着きに、大きな効果があることがわかっているそうです。
厳しいトレーニングを受けた犬たち
このような裁判所でのセラピードッグの採用は、アメリカではすでに35の州の155の裁判所で実施されているのだそうです。
他の州では状況に応じて適切であるとみなされれば、セラピードッグが法廷に同席する場合もあるそうですが、今回報道されているミシガン州ケント郡では、法廷への犬の入室は認められていません。
これは、仕事をする賢い犬と小さい子供という組合せが法廷に現れることで、陪審員の判定に影響を与える可能性を考慮してのことだそうです。そう言われれば納得ですね。
犬たちを訓練して、セラピードッグとしての認定をしている団体では、法廷のセットの中で子役の俳優に被害者を演じてもらい、各犬の訓練を行っています。
訓練は何週間にも及び、犬たちは何か予期せぬことが起こっても、動揺したり過度な反応をしたりすることはありません。
次の動画は、ニュースで報道されたセラピードッグたちの様子です。
確かにこんな犬たちが側にいてくれたら、緊張が和らいで落ち着きを取り戻せるだろうなと思えます。
まとめ
アメリカのミシガン州で採用された、裁判で証言する人のためのセラピードッグの話題をご紹介しました。
今のところ、セラピードッグの恩恵を受けられるのは、子供の犯罪被害者などに限られています。しかし大人の犯罪被害者にも同じような救済措置を、という声も多くあげられているようで、実現が待たれています。
ケント郡では、このプログラムの効果を確認しながら進めていき、今後法廷での証言の際にも犬が同席できるかどうか検討していくとのことです。
病院やシニアの方のための施設、災害時の避難所、そして今回ご紹介した裁判所など、セラピードッグは、様々な場面で人間のストレスを和らげ、心を落ち着かせるために働いてくれます。
犬たちが人間にもたらしてくれる恩恵の大きさを思うと、犬には頭が上がらないなあという気持ちになります。
日本でも、働く犬たちの福祉を十分に考慮し、確保しながら活躍できる場が増えていくと良いなあと思います。
《参考》
https://www.woodtv.com/news/kent-county/therapy-dogs-coming-to-kent-co-courts/1495471336