犬の肥満問題について、飼い主の行動を変えるプログラム
犬の体重過多や肥満の問題は、多くの国で犬の健康を脅かす大きな問題になっています。犬の体重の増加は、糖尿病や関節炎など病気のリスクを高くし、犬の生活の質の低下も招きます。
犬の体重を減らすためには、従来の予防獣医学では、特別な体重管理用の処方食への変更が一般的です。
このたび、イギリスのシェフィールド大学の研究者が、過去にデザインされた、犬よりも飼い主の行動に注目して飼い主の行動を変えるための、いくつかのプログラムについてのレビューを発表しました。
そのようなプログラムは具体的にどのようなものか、どの程度効果的で利用可能であるのかについて、述べられた内容をご紹介します。
ペットの犬の体重は飼い主の行動に左右される
シェフィールド大学の研究者のリポートには、太っている犬の飼い主の行動を変えるために設計された、以下のようなプログラムの例が紹介されています。
行動の目標を設定する
例えば、犬と一緒に歩く時間を「毎日○時〜○時まで」や、「毎日30分を2回」と設定したり、犬に与えるオヤツの量を、「1日にジャーキー2本まで」と決めたりすることが示されています。具体的な数字を設定することがポイントです。
数値目標を設定する
「1週間に○グラムの体重減少」など、結果の目標を設定します。この設定をするためには、犬に何をどのくらい食べさせるか、どのくらい運動をすれば良いかなどについて、専門家の指導を受けるなど勉強する必要があるので、飼い主の知識が増えるというメリットもあります。
定期的に動物病院に行く
定期的に犬を病院に連れて行って体重を測定し、獣医師からの所見を聞かせてもらうことで、健康状態のモニターができることはもちろんのこと、飼い主のモチベーションにもつながります。
ペットの犬は、毎日何をどのくらい食べるのか、どのくらいの運動や散歩の時間を取るのか、自分で決めることはできません。全ては飼い主の手にかかっています。ですから、犬の体重を改善するために飼い主の行動を変えることは、理にかなっており、レビューの中でも、これらのプログラムが効果的であることが示唆されています。
犬の体重管理について飼い主にフォーカスする研究の今後
このレビューでは、複数のプログラムが取り上げられていますが、どのプログラムが最も効果が高いかなどの違いは、見られませんでした。ただ、プログラムのうち科学的なテストが行われているものが少なかったこともあり、今後さらに研究が必要であるとされています。
しかし、これらのプログラムの結果は全体的に犬の飼い主の行動を変え、犬の健康状態の改善に効果的であるということを示しているため、今後が期待される研究でもあります。
今後の課題のひとつとしては、研究者と獣医師、心理学者が協力し合うことで、より効果の高いプログラムを設計できると考えられます。
まとめ
犬の太り過ぎを改善するために、飼い主の行動を変えるためのプログラムがあることや、その内容と今後の研究の展望をご紹介しました。
犬の体重管理は、飼い主の責任であることを改めて思い知らされるレポートでもあり、気持ちが引き締まる思いがしました。
《参考》
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0167587718302137?via%3Dihub