「もらい手が見つかりにくいペット」たち
アメリカにはペットファインダーという、全国の動物保護団体や、レスキューグループが登録されている超大規模な里親募集サイトがあります。
保護犬や保護猫をペットに迎えたいと考える人は、このサイトで地元のレスキューの検索をしてから、実際に動物に会いに行くというパターンが多数派です。
そのペットファインダーが、登録している団体やグループを対象に行ったアンケート調査によると、95%の団体が「現在、もらい手が見つかりにくい動物を抱えている」と回答したそうです。ほとんど全ての団体やグループが、1年以上もらい手が現れない犬や猫を預かっているとのことです。
そのうちの27%は、2年以上もらい手を待っている動物がいると答えたそうです。
もらい手が見つかりにくい動物というのは、持病や身体上のハンディキャップがある、高齢などがその理由です。
一般的には新しい家族が見つかるまでサイトに掲載される時間は12週間というのがもっと多いのですが、もらわれにくい子たちは、その約4倍の時間がかかります。
そこで、ペットファインダーは、2009年にAdopt a Less Adoptable Pet Week(もらい手が見つかりにくいペットの里親になろう週間)を設定すると発表し、それから毎年9月の第3週にそのテーマでイベントを開催しています。
持病やハンディキャップのある動物
ペットファインダーのアンケートに回答した団体のうち12%が、「一番もらい手が見つかりにくい」と答えたのは、持病があったり身体的なハンディキャップがあったりする動物でした。
FIV陽性の猫、フィラリア陽性の犬、耳が聞こえない、目が見えない、足を一部失っているなどの動物は、「どんなふうに世話したらいいかわからない」「自信がない」などの理由で、なかなかもらい手が見つかりません。
団体によっては、持病の治療は団体専属の診療所で低価格で治療を受けられたりする場合もあり、様々な工夫がなされています。
身体的なハンディキャップについては、犬を保護している人たちは口を揃えて「犬の場合、こちらが少しコツを掴むだけで、ハンデとは言えないくらい、普通に過ごせる子が多いのです」と言います。
確かに持病やハンディキャップのある子は、どんな飼い主さんでもいいという訳にはいかないのですが、それは元気過ぎる子犬でも、とても多くの運動量が必要な若犬でも、同じことです。
このようなキャンペーン週間を設けることで、もらわれにくい子たちにも目を向けて考えてみる人が増えればと考えられています。
年をとった動物
アンケート調査で最も多くの団体が、「もらい手を見つけるのが一番難しい」と答えたのは老犬、老猫でした。
子犬や子猫は先を争ってもらわれていくのと反対に、シニアの動物たちは新しい家族が見つからないままに、殺処分になってしまったり、シェルターで生涯を終えたりすることも多く、保護に携わる人たちの胸を締め付ける問題です。
多くの場合、7歳以上の犬や猫は基本的なしつけもできており、ハイパーなエネルギーが影を潜めて穏やかになっています。
もらい手の方の年齢や、ライフスタイルによっては理想的なパートナーになってくれることを多くの方に知ってもらいたいと思います。
まとめ
アメリカで毎年9月3週目に実施される「もらい手が見つかりにくいペットの里親になろう週間」のキャンペーンをご紹介しました。
持病やハンディキャップがあったり、高齢だったりして、家族に迎えようという人がなかなか現れない犬や猫にも、目を向けてくださいという意図もあるのですが、同時にそんな子たちの命も祝福し称えましょうという気持ちを込めてのキャンペーンなのだそうです。
本当なら、そんな子たちの新しい家族を募集しなくてはならない状態がなくなることが一番なのですが、全てのペットが温かい家庭で生涯を過ごせるよう心から願います。
《参考》
https://dogtime.com/dog-health/general/18403-adopt-a-less-adoptable-pet-week