アメリカで2例目、州全体でペットショップでの犬猫販売禁止
今年の4月、アメリカのメリーランド州知事が、ペットショップで子犬や子猫を販売することを禁止する法案に署名をして、法律が成立しました。
昨年、カリフォルニア州で州全体で子犬や子猫の店頭販売を禁止する州法が成立し、2018年1月1日から施行されているのに続いて、メリーランド州は2番目の州になりました。
昨年のカリフォルニア以前にも市町村や郡などの単位では、ショップでの子犬や子猫の販売を禁止する条例は既にたくさん施行されています。
店頭での販売が禁止されるのは「商業的繁殖施設から仕入れた子犬や子猫」です。
大手のペット用品店などでは、長年に渡って店頭での保護犬や保護猫の譲渡イベントを実施しています。このような動物保護団体や公営の保護センター、レスキューグループから来た動物の譲渡イベントは引き続き推奨されていきます。
また自宅で小規模に子犬や子猫の繁殖を行っているブリーダーからの購入はOKなので、犬や猫を迎える場合の選択肢は保護施設やレスキューグループ、またはブリーダーということになります。
ショップでの子犬や子猫販売禁止の狙いは?
このような店頭販売禁止の法律の1番の目的は、パピーミルやキティファクトリーと呼ばれる大規模な商業繁殖施設で生まれた動物の流通経路を断つことです。
繁殖施設の環境がたいへん酷い場合が多いことはかなり知られてきましたが、本来はまだ母犬と過ごすべき時期の、幼い動物が流通の過程で、肉体的にも精神的にも多大なストレスを受け、体調を崩したり心理的なトラウマになったりすることは、まだ知らない人も多い問題です。
犠牲になる子犬や子猫が1匹でも少なくなるよう、まずは多くの方に知っていただきたいと思います。
また、保護施設まで足を伸ばさなくてもショッピングモールの中などで譲渡イベントが開かれていれば、保護犬や保護猫へのハードルが少しずつ低くなっていくことも期待されます。
ペットショップでの販売禁止に反対する人々
店頭での子犬子猫の販売禁止には、当然ながら反対する人々や団体もありました。今まで店頭販売を行っていたペットショップなどの小売業協会はもちろんのこと、常に反対派の筆頭にいるのはアメリカンケネルクラブです。
反対派の意見は「消費者が純血種の犬や猫を買うためのアクセスを不当に制限することになる」というものです。
また、手軽にショップでペットを買えなくなった消費者はネット販売へ向かうことになるという主張もあります。
インターネットでの販売は規制が難しいため、非人道的な繁殖や流通の温床になりやすい他、オンライン購入詐欺も懸念されます。
保護犬や保護猫ではない動物を購入したい場合は正規のブリーダーという選択肢があることや、インターネットでの購入が動物にとっても人間にとっても良い選択ではないという情報を、一般の人々に届けていくことがこれからの課題です。
まとめ
アメリカで、ペットショップでの子犬子猫の販売を禁止した法律を成立させた州が昨年に続いて2つ目になったことをご紹介しました。
この法律は、繁殖施設や流通段階、また店頭で非人道的な扱いを受ける動物たちの環境を改善するためのものであるのと、もう1つ保健所などに連れて来られて殺処分となる犬や猫を減らすためのものでもあります。
動物殺処分を減らすためには、施設で保護することだけに力を入れるのではなく、生まれてくる子犬や子猫の蛇口を締めることが絶対に不可欠です。パピーミルの規制はその中の大きな柱の1つです。
店頭での保護動物の譲渡イベントなどを通じて、一般の人々の意識への働きかけも期待できます。
外国での話ですが、日本でも犬や猫を取り巻く環境を良くしていくためには、よその国の事例を知っておくことも大切です。参考になればうれしいです。
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