ペットにとっての日常の中の毒物に関するアンケート
犬や猫と暮らしていると「あれを食べさせてはダメ」「この植物は危険」など、日常生活の中に毒になるものがたくさん潜んでいることに気付かされますね。
ペットの雑誌やインターネットでも頻繁に取り上げられる話題なので、みんなが知っているだろうと思ったり、また自分も知っているつもりでいたら「え!これも危険なの?」と驚くこともあります。
そんな日常の中で犬や猫の毒になり得るものに関して、人々がどれくらい知識があるのか、また対応策などの情報はどこから得ているのか、などについてアメリカのノースカロライナ州立大学の学者や薬剤師らが協力してアンケート調査を行いました。その結果と考察についてご紹介します。
「これはペットにとって危険?」アンケートの内容
アンケートはAmazonのメカニカルタークというクラウドソーシングシステムを使ってオンライン調査という形で行われました。
植物、食品、市販薬などを含む家庭の日用品が25項目リストアップされ、その中で犬にとって危険なものをチェックするという方式でした。25項目中、ペットにとって有毒なものは15項目で、残りの10項目は無害なものです。
アンケート参加は18歳以上であることとアメリカ国内に住んでいることが条件で、825人が調査に参加しました。参加者にはペットを飼っている人もいない人も含まれ、年齢、性別、人種なども大きく偏りがないようになっています。
リストの中で有毒であると思うものをペットが摂ってしまった場合にどのくらい心配するかというレベルを「0=全く気にしない」から「5=非常に心配する」までの5段階で問う項目がありました。
また、有毒だと思うものをペットが摂取してしまった時に、対処法の情報をどこから得るか(動物病院に電話する、ネットで検索、薬局に電話など)という質問もありました。
さて、どのくらいの人が正解を知っていた?
25項目の日用品のリストのうちペットに有害な15の品目について、52%の参加者が13品目で正解しました。
有害な品目について8割強の正当率を取った人は約半数だったということですね。
犬や猫にとって有害なのに知らない人が多かった品目は以下のものでした。
- マカダミアナッツ
- ぶどう
- ネギ類
- 人工甘味料(キシリトール)
- カフェイン
またペットを飼っている人の方が、ペットが有害と思われるものを食べてしまった時の心配の度合いが高かったという結果も出ました。これは当然な気がしますね。
犬や猫が有害と思われるものを食べてしまった時に対応策を知る為に46%の人が「動物病院に電話して獣医師に相談する」と答え、ほぼ同数の44.6%の人がインターネットで情報を検索すると答えました。
リサーチを実施した研究者の声
「犬にネギ類は有害なんて当たり前!」と思いがちですが、アンケート調査の参加者にはペットを飼っていない人もいたため、意外と低い数字が出てきました。
リサーチの結果を受けて研究者は次のように述べています。
けれど調査の結果からは、動物にとって毒となるものについて混乱や誤解がいまだに多いことがわかりました。
これはペットを飼っている人に対して『犬や猫などのペットにとって毒となる可能性のあるものとないものを正確に把握するための教育』がもっと必要なことを示しています。
多くの人が情報をインターネットから得ているという回答結果から、獣医師が一般向け、そしてペットの中毒について知りたいペットの飼い主向けの情報源として、もっとインターネットを活用することも必要があることも示しています。」
まとめ
ノースカロライナ州立大学の研究者や薬剤師らによる、犬や猫にとって有害な品目と人々の知識をリサーチした結果をご紹介しました。
ペットを飼っていない人も含まれるとは言え、まだまだ犬や猫にとって有害なものは日常生活の中にたくさんあることを知らない人が意外と多いことがわかりました。
アメリカでのアンケート調査結果とは言え、日本でもそれほど大きな差はないと思われます。
これは犬の飼い主として「犬にとって何が有害なのか知らない人は意外と多いものだ」と心に留めておかなくてはいけないという警鐘ですね。
家に遊びに来た友人や親戚が知らずにチョコレートや玉ねぎ入りの料理を犬に与えてしまうかもしれないリスクは思っているよりも高いと認識しておくことが大切です。
自分の知識を増やすこととは別の視点のリスク管理、気をつけたいですね。
参考文献:米国一般市民の潜在的ペット毒素に関する基礎知識: 応用動物福祉科学ジャーナル: 第22巻第3号