抗酸化物質が運動量の多い犬の健康を守る
動物はみな空気中の酸素を体に取り入れて生きています。もちろん犬も例外ではありません。
呼吸によって体内に入った酸素の一部は活性酸素やフリーラジカルと呼ばれる物質に変化します。活性酸素にも必要な働きがあるのですが、量が過剰になると細胞を傷つけ老化を促進してしまいます。
過剰な活性酸素を消去するのが、ビタミンCやE、カロチンなどに代表されるいろいろな抗酸化物質です。
活性酸素は運動中にも作り出されるので、猟犬など運動量の多い犬はより多くの抗酸化物質を摂取することが必要だと考えられます。
アメリカのイリノイ農業大学の研究者は、猟犬に抗酸化物質を豊富に含む食事を与えることで、どのような効果が期待できるかというリサーチを行いその結果を発表しました。
一般的なドッグフードと抗酸化物質をプラスしたフードで比較
研究チームはアラバマ州にあるアメリカンフォックスハウンドの犬舎を狩猟シーズン中に訪れ、実際に猟犬として仕事をしている犬たちを対象にリサーチを開始しました。
犬たちは2つのグループに分けられ、1つのグループはプレミアムフードと呼ばれる高品質の市販のドッグフードを、もう1つのグループには同様の市販のドッグフードに抗酸化物質(ビタミンC、ビタミンE、ルテイン)亜鉛、タウリンをプラスしたものを与えられました。
どちらのグループの犬もリサーチの期間中、週に2〜3回、2〜5時間の狩猟に出かけていました。
リサーチ期間は7ヶ月間で、リサーチを開始する前と期間中に4回血液サンプルを採取して、酸化ストレスマーカー(活性酸素と抗酸化物質の作用のバランスがとれているかを測定するマーカー。抗酸化物質が十分に作用していないと高くなる。)とその他の血液代謝産物を調べました。
結果は予想通り
測定した数値から分析された結果は予想された通りでした。
抗酸化物質と亜鉛、タウリンをプラスしたドッグフードを食べていたグループの犬は、酸化ストレスマーカーの濃度が低く、体内の活性酸素がきちんと消去されていたことが読み取れました。
狩猟のパフォーマンスそのものには、食事の影響は見られませんでした。
狩猟よりももっと激しい運動(そりを引く犬など)ではパフォーマンスへの影響が確認しやすいかもしれないと研究者は述べています。
食事にプラスされた栄養素のひとつ、タウリンはアミノ酸の一種で心臓の健康に重要な役割を果たします。
市販のフードだけを食べていたグループの犬では、正常値の範囲ではあるものの血液中のタウリンの量が減少していました。ビタミンEでも同じパターンが見られました。
抗酸化物質をプラスしたフードを食べていたグループでは、タウリンもビタミンEも常に基準値以上をキープしていたので、運動量の多い犬にとって心臓の働きを正常に保ち、活性酸素を消去する栄養素をプラスすることは大切な意味があることがわかります。
まとめ
猟犬に抗酸化物質とその他の栄養素をプラスした食事を与えた結果、与えていないグループに比べて体内の活性酸素が減少し、心臓の働きをサポートするタウリンの値も高く保たれていたことがわかりました。
犬にとっても食事に抗酸化物質をプラスすることで健康面のメリットがあることが数値として確認されたということですね。
活性酸素は運動だけでなく、大気汚染や紫外線、老化によっても発生が増加しますので、一般の家庭犬でも普段の食事に抗酸化物質を含む食品をプラスすることで健康をサポートすることができます。
サプリメントなどを使う場合には、かかりつけの獣医さんに相談してみると良いでしょう。
愛犬にはいつまでも元気で若々しくいて欲しいと思うもの、そのちょっとしたヒントになれば幸いです。
《参考》
https://www.sciencedaily.com/releases/2018/05/180508180649.htm