①視覚(顔の表情から読み取る)
わんこと暮らしていると、「じっと顔を見られているな」と感じることがありますよね。そんなとき、わんこは飼い主さんの感情を読み取ろうとしているのかもしれません。
タッチスクリーンに人間の笑顔の写真と怒った表情の写真を映し出し、それぞれの顔を24匹のわんこに選ばせるという実験が、オーストラリアで行われました。その結果、わんこたちは人間の笑顔と怒った表情を正確に区別し、選ぶことができたといいます。
また、笑顔を選ぶほうが、怒った表情を選ぶよりも時間がかからなかったという結果も出ているそうです。つまり、わんこは人間の笑顔を認識していると同時に、人間の笑顔を好んでいるということが科学的に証明されたのです。
さらには、身近な人間の表情だけでなく、見知らぬ人間の表情もわんこは正確に見分けられたというから驚きです。
②聴覚(声のイントネーションと単語から読み取る)
ある実験では、わんこが母音と子音を聞き分けられること、イントネーションや声量から人間の感情を読み取っていることが明らかになっています。
わんこをしつける際、「ほめるときには高い声で、叱るときには低い声で」行うと効果的であるということはよく知られていますが、大切なのは声の高低だけなのでしょうか?
最新の研究結果によれば、わんこは飼い主に声をかけられると、その「単語」と「イントネーション」の両方を聞いているというのです。
この実験では、「誉め言葉を誉める口調で」「中立的な言葉を中立的な口調で」「誉め言葉を中立的な口調で」「中立的な言葉を誉める口調で」それぞれ犬にかけ、脳の変化を見ました。
その際、犬が本当に喜びを感じたのは「誉め言葉を誉める口調で」語りかけたときだけだったといいます。つまり、本気で誉めているかどうか、飼い主さんの言葉も感情も、わんこに伝わっているということです。しつけの際には、本気で誉めてあげることが重要だとわかりますね。
③嗅覚(汗の匂いから読み取る)
視覚や聴覚から感情を読み取れるというのは経験的にも納得の結果ですが、実は、わんこは汗の匂いからも人間の感情を読み取っているようなのです。
40頭のわんこに「人間が幸福を感じているときの汗」もしくは「人間が恐怖を感じているときの汗」を嗅がせたうえで、飼い主さんと見知らぬ人と一緒に部屋の中に放つという実験が行われました。
その結果、「幸せな汗」を嗅いだわんこは見知らぬ人にも積極的に関われるほどリラックスしていた一方で、「恐怖の汗」を嗅いだわんこは飼い主さんのそばから離れたがらず、ストレスを感じているということがわかりました。
つまり、わんこは汗の中に含まれる化学物質から、人間の感情を読み取っているということです。汗として分泌される物質はごまかしようがありませんから、もしかしたら、わんこは飼い主さんの強がりも見抜いているのかもしれませんよ。
まとめ
いかがでしたでしょうか?最新の研究では、わんこの脳をMRI検査にかけたところ、「尾状核」という部位に人間との類似点が強く見られたという結果も報告されています。
この尾状核とは、喜びや楽しさといったポジティブな感情に関する部位にあたります。上でご紹介した実験でも、わんこが笑顔の写真を好んで選んでいることからも、わんこがいかにポジティブな感情を好むかがわかりますよね。
こんな結果を見てしまうと、私たち飼い主は、愛犬に喜びや楽しさをたくさん感じてもらえるようにしなければならないな、と思わされますね。