愛犬の音恐怖症を改善しよう
一般的によく採用される改善法を挙げてみました。一つの方法で改善することもありますが、複数の方法を組み合わせたほうが効果が上がる場合もあります。色々試してみることが大切です。
犬の音恐怖症を克服する方法
- 苦手な音を取り除く
- 小さい音から徐々に慣れさせる
- 音もしくはその音を発する物そのものに慣れさせる
- 音と良い経験を結びつける
- クレートトレーニングで避難場所を教える
- 基本的なトレーニングで信頼関係を再構築する
- 充分な運動をさせる
- 薬を使う
- フラワーレメディで感情のバランスを調える
- テリントンTタッチ
- サンダーシャツを着用する
- 飼い主が落ち着く
苦手な音を取り除く
たとえばチャイムの音に反応するなら、チャイムが鳴らないようにする、洗濯機や電子レンジ、電話の着信音などなら無音の設定にするなど。雷や花火は避けようがないので、雷の気配が近づいてきたり、花火の時間が分っている場合は、窓を閉めてテレビや音楽の音を大きめにして外の音をかき消したり、できるだけ外の音が響かない部屋や場所に移動させるようにする。
小さい音から徐々に慣れさせる
音量を絞れるなら、ごくごく小さい音に設定する。大丈夫なようなら少しずつ音量を上げていき、最終的に日常使用の音量まで上げていく。
音もしくはその音を発する物そのものに慣れさせる
チャイムや掃除機、踏切や工事現場の音、雷鳴などを収録したCDやアプリなどを、犬と遊ぶ間、流し続ける。この場合も、最初はごく小さい音から徐々に大きく。おもちゃや掃除機に反応するなら、それらを普段犬が過ごす部屋の片隅に置いておき、特に反応しないようなら時々動かしたりスイッチを入れたりするなど、怖がらない範囲でハードルを少しずつ上げて行く。
音と良い経験を結びつける
苦手な音を聞かせた直後におやつをあげるなど、音に対するイメージを良いものに書き換えていく。
クレートトレーニング
日頃からクレートを安心できる場所として教えておくことで、不安を感じた時の避難場所とする。飼い主がそばにいる場合は、犬がクレートに入ったら中で長くかめるおやつを与えたり、上から布で覆って雷の音や光を遮断するなどの工夫をするのもよい。
基本的なトレーニング
オスワリ、フセ、マテなどの基本的なトレーニングを行うことで、飼い主との信頼関係を再構築する。こうしたトレーニングは、犬の精神的な安定を取り戻して自信をつけさせ、ストレス反応を落ち着かせるメリットもある。
充分な運動をさせる
ストレス発散の目的もあるが、日中、太陽のもとでしっかり運動すると心身の安定に関与するセロトニンが充分に分泌されることから、恐怖心を軽減できるという考え方。単純に、たっぷり運動した疲れで音も聞こえないほどぐっすり眠ることを期待する意味もある。散歩時間の短い犬は、散歩時間の長い犬より大きな音への恐怖心が強いという調査結果もある。
薬を使う
様々な方法を試しても効果が見られない、恐怖心がますます強くなっている、または体調を崩すなど日常生活に支障があるような場合は、薬物による治療が効果的な場合もある。獣医師による診断が必要であり、再トレーニングなどと組み合わせることで効果が高まるため、行動療法に詳しい獣医師に相談するとよい。
フラワーレメディ
様々な植物が持つ癒しの波動を転写した水をフラワーレメディといい、心や感情の乱れたバランスを調える。本などから知識を得て、38種のレメディの中から自分で選ぶこともできるが、専門のカウンセラーによるカウンセリングを通して適切なレメディを使用することで、早期改善の可能性も高まる。目前で犬がパニックになった時に与えるレスキュー・レメディもある。保存料としてブランデーが用いられているものもあるので、動物に使用する場合はいくつかのポイントがある。
テリントンTタッチ
アメリカのリンダ・テリントン・ジョーンズ氏によって生み出された、犬の行動と性格に良い影響を与える方法。独特のタッチや伸縮性のあるバンデージを体に巻くなどして、音に対する恐怖心や反応を和らげていく。手法は子供でもできるような簡単なものだが、巻き方や力加減などにコツがあるため、専門のプラクティショナー(施術者)によるワークショップを受講すると良い。
サンダーシャツ
雷や花火の苦手な犬が多いことから考案された専用の服。体にぴったり巻き付けることで独特の“抱きしめ効果”があり、落ち着かせることができるというもの。小型犬から大型犬まで様々なサイズがある。ただし、苦手な雷が鳴ってから着せるとイヤなことと関連づけてしまうので、着せるタイミングに気をつける必要がある。テリントンTタッチ©でも使用する。
飼い主が落ち着く
犬のパニックにつられて飼い主までアタフタしたり、抱き上げて慰めたりすると、犬が必要以上に恐怖を感じ、落ち着かせるつもりが全く逆効果になってしまう。犬が音を怖がったら、むしろ犬に注目しすぎず、「何でもないこと」という落ち着いた姿勢を全身で示すことが大切。自らが深呼吸することで、犬に安心を伝えるイメージを持つとよい。
犬の音恐怖症とは?
愛犬に音恐怖症の症状はある?
音に過敏に反応することを「音恐怖症」とか「音響シャイ」などと言いますが、あなたの愛犬は、どんな音に反応しますか?チャイム、掃除機、洗濯機、電子レンジ、電話の着信音、その他、家電類やおもちゃの発する音、雷や花火、工事の音やバイクのエンジンの音など、何か特定の音もしくは複数の音に反応しますか?そしてどのような反応が見られますか?
- 興奮して吠えまくり、飼い主の制止の声も耳に入らない
- 興奮しすぎて理性を失い、飼い主を咬む
- 逃げ惑う
- 隠れる
- ガタガタ震える
- 呼吸が荒くなり、よだれを垂らす
- おしっこを漏らす
- 吐いたり下痢したりする
音に敏感に反応して吠える犬は少なくありませんが、おしっこを漏らしたり嘔吐や下痢までするとなると、いささか重度の恐怖症とみなされます。犬の音恐怖症は、成長と共にエスカレートするケースも多く、放っておいて自然に治るということはまず考えられません。(ただしシニア犬になり、耳が遠くなった結果、音に反応しなくなることはあります)
犬はなぜ音を怖がるのか
音に全く反応しない犬もいるのに、なぜ特定の音を怖がる犬がいるのでしょうか?対処法を見つけるためにもも原因を探ってみましょう。
以下の項目に思い当たるものはありますか?
- 社会化期の経験不足
- 音とイヤな経験が重なった
- 極端な運動不足
- 飼い主にベッタリ
- 遺伝
社会化期の経験不足
生後3ヶ月くらいまでの子犬の時期に、様々なことを経験して心と体の免疫力を高めていきますが、音に対しても同様で、この時期の経験が不足していると慣れない音や初めて聞く音を怖がるようになります。
音とイヤな経験が重なった
近所に落雷した時、飼い主が外出中でとても不安な思いをしたり、大きな音と共に物が落ちてきてビックリしたりなど、音と不快な経験が組合わさった結果、トラウマとして定着してしまうケース。音の社会化がうまく行ったとしても、成犬になってからのネガティブな経験で特定の音を怖がるようになることもある。
極端な運動不足
運動不足による慢性的なストレスが、音への過敏さを引き起こす要因ともなる。
飼い主にベッタリ
依存心の強い犬は自信がなく不安を感じやすいため、音にも敏感になりがち。また飼い主との密着度が高いほど、飼い主自身の反応が大きく犬に影響することがあり、大きな音に驚き、慌てて犬を抱き上げたりすると犬の不安を不必要にあおってしまうこともある。
遺伝
音に敏感な気質そのものが遺伝によって血統的に受け継がれることがある。
まとめ
犬の音恐怖症の原因は、社会化不足やトラウマ、遺伝など様々なことが考えられます。原因がはっきりしている場合は、それに対応した方法や薬による治療もありますが、いずれにせよ
- 音そのものに慣れさせる
- その音は怖いものではないのだと分らせる
- 音がしても落ち着いていられる状態を日頃から強化しておく
など、内側と外側に働きかけることが必要です。
ストレスは心の問題というだけでなく生理機能にも悪影響を及ぼし、免疫力をも左右します。怖い音が多いほどストレスにさらされる機会は多く、恐怖心が強いほどストレスの度合いも大きく、健康への影響も無視できません。
花火も雷も一過性のものと分っている私たちにとっては“たかが音”ですが、犬達にとっては“されど音”なのです。このことをしっかり理解したうえで、愛犬の音恐怖症、なんとか改善してあげたいものです。
ユーザーのコメント
40代 女性 SUSU
パピーの頃からしつけの本に従って、上下関係が逆にならないように、言うことばかりを聞いて我が儘にならないように、とセオリー通りに頑張ってしつけをしてきましたが、あるとき、何かいつもびくびく、オドオドしていて、飼い主と目が合うとお座りをする愛犬を見て、この方法は愛犬に合っているのだろうか、、、と疑問に思うこともいろいろとあり、思いきって接し方を変えてみることにしました。
上下関係の徹底ではなく、普通に家族として接することをモットーにしました。命令ではなくお願い、嫌だと意思表示をした時には無理強いはしないように心がけて2年程、経った頃、目が合うとニコっと穏やかな表情でこちらを見てくれるようになりました。
その頃から、外の音にあんなに神経質に反応していた愛犬があまり反応しないようになっていたことに気がつきました。工事の音などに反応することもありますが、「外の工事の音みたいだね。」と言うと納得するのかそれ以上吠えることはなくなりました。
接し方を変え、愛犬の意見を尊重し、警戒して吠えたことに対しても吠えないように教えるのではなく、音が出ている原因を説明し、時には「ちょっと大きな音だよね、うるさいよね。」と気持ちに寄り添うようにしたことで、認めてもらえないことよるストレスのようなイライラからくる警戒吠えは少なくなってきたようです。
特定の音のみに吠えるのであればその音に対しての対策で済みますが、愛犬のように外の物音全てに反応する場合にはなかなか大変なのも事実です。
この方法はすぐに効果が出るのではなく、愛犬のように数年かかることもあると思います。ワンコによっても音響シャイに対しての対策は様々で、この方法が絶対ではないと思いますが、もし他の方法でも効果がない場合には試してみてはいかがでしょうか。最近は季節によって、窓を開けて風が通るのを楽しめるようにもなり、とてもラクになりました。
10代 女性 匿名
(雷が見えた時も)
それ以外の音は基本平気ですが
終わると戻ってくるのでその間は
扉を開けて置いてます