犬の反抗期とは?
生後3ヶ月くらいまでを社会化期といい、新しい環境、物、人など様々なことを学んで慣れていく時期となっています。
それから生後6ヶ月くらいまでを若齢期といい、社会化期に学んだことを、自ら確認していくようになります。
その中で「ここまでやってもOK」と学んだことを、少しエスカレートさせて「さらにここまでやってもOK」と確認する行動も出てきます。
反抗期はちょうどその時期と重なるのです。
その様子はまるで、「どこまでやったら飼い主が折れるか」「どこまで自分の要求が通るか」試しているかのよう。
犬にしてみれば最初は確信がなかったことも、
「唸ってみた」→「飼い主がひるんだ」=「思い通りになった♪」
と確信につながり、放置すればその他の行動にも飛び火しかねません。
いつも食べてくれていたごはんを急に食べなくなったりすることもありますが、決してわんちゃんの機嫌をとるために、ご飯を変えないようにしましょう。
人間の場合も、
「今日の晩御飯は煮物?じゃあいらない。ハンバーグなら食べるけど」
なんてワガママを許していては、偏食になってしまいますよね。
自我が芽生えて群れを意識する
また、若齢期に入ると、犬はしだいに「群れ」を意識し始めます。
犬にとっての「群れ」は「人間の家族」。
その中で自分のポジションを確認し、優位に立ちたい自我が芽生えてくるのが反抗期。
この時期にきちんと対応しないと、吠えて要求する、気に入らないと咬む、本能のままに突っ走るなど、我が物顔の無法者のような振る舞いをするようになり、それが問題行動と呼ばれるようになります。
犬の反抗期はいつから始まる?時期は?
小型犬で4~6ヶ月、大型犬で9~12ヶ月の頃に反抗期が訪れると言われています。
メスは発情期が始まる頃、オスはマーキングが始まる頃と言われますが、犬種や持って生まれた性質によって時期も程度も個体差があるようです。
そして、犬の反抗期がどのくらい続くかというと、一般的には数カ月から半年程度ですが、これも個体差があるので、10カ月から1年程度長引くこともあります。
犬の反抗期の特徴
よく言われるのが「これまでイイコだったのに、急に言うことを聞かなくなった!」。
この時期の特徴として、よく見られる行動を挙げてみました。
- 集中力がなくなったように感じる
- 「おすわり」「まて」など、簡単な指示にも従わなくなる
- 呼んでも来ない
- 眠っている時に触ると唸る
- 食べている時に近寄ると唸る
- 食器やおもちゃを取り上げようとすると、守りに入り唸る
- 散歩中、向こうから来た犬に吠えかかる
- 物音や掃除機に吠えるようになる
- できていたのにトイレを失敗する
- マーキングが増える
- 子どもや女性、お年寄りなど、弱い立場の人に強気な態度に出る
その他、反抗期に入ると、狩猟犬種なら走るものに反応する、吠える傾向の強い犬種がやたらと吠え始めるなど、その犬種特有の本能的行動も強まると言われています。
呼んでも来ない
名前を呼べば喜んで寄ってきた愛犬が、突然呼んでも無視するようになることも反抗期には珍しくない態度です。
人間が思春期に親の言うことを素直に聞かなくなるのと同様に、犬も反抗期には飼い主さんの指示に逆らいたくなるものなのでしょう。「何でも言うことを聞くわけじゃないぞ!」という愛犬なりのアピールということですね。
従順じゃない愛犬に戸惑ったり腹が立ったりすることもあるかと思いますが、反抗期でも呼んだら来てくれた時には必ず褒めてあげてください。
食器やおもちゃを取り上げようとすると、守りに入り唸る
反抗期になると自分のおもちゃなどお気に入りの物に対する執着心やこだわりが強くなり、誰にも渡したくないという気持ちが芽生えます。
一緒に遊ぼうとして飼い主さんがおもちゃを触ったり片付けるために取り上げようとしたりすると、「取らないで!」と守る姿勢に入り唸ることさえあるのです。
怒っている愛犬から無理矢理お気に入りの物を取り上げる必要はないので、そっとしておいてあげるのがよいでしょう。
散歩中、向こうから来た犬に吠えかかる
無邪気だった子犬も、反抗期を迎えると警戒心が強まるものです。今まで他の犬に対して全く吠えなかった愛犬が、散歩中に向こうから来た犬に吠えるようになるケースも少なくありません。
オスは特に警戒心や縄張り意識が強いので、反抗期に吠えるようになる子が多いと言われています。愛犬が吠えるせいで散歩を楽しめない場合は、他の犬と会わないような散歩ルートを選ぶのがおすすめですよ。
トイレを失敗する
反抗期になるとトイレのしつけができているのに、わざとトイレ以外の場所で排泄をすることがあります。イタズラをして叱られた時や、苦手な留守番をしなくてはならなかった時に、飼い主さんへの当てつけとしてトイレを失敗する子もいるのです。
飼い主さんに反抗する気持ちからわざと失敗している場合には、しっかり「ダメだよ」と叱って再度トイレトレーニングを行いましょう。
またオスはマーキングのために、カーペットや布団などの上で排泄をしてしまう犬も多いです。マーキングは去勢することで改善する可能性があります。
子犬の反抗期のしつけについて
子犬は「お手」も「お座り」もすぐ覚えます。
そのレベルではしつけというより、芸を覚えただけ。
しつけとは、人間と共に生活していく為に必要なルールを教える事です。
そうした視点で愛犬とのルールを定め、子犬のうちからしっかり教えることで、飼い主が「頼れるリーダー」になっていれば、反抗期のハードルも低く済む可能性があります。
子犬は反抗期を迎えるまでに飼い主さんとの信頼関係ができていることと、基本的なしつけを済ませておくことが重要なのです。
また反抗期を過ぎると反抗的な態度が自然とおさまる犬も多い一方で、反抗期に飼い主さんが適切なしつけをしなかったために、いつまでも問題行動を続ける犬もいます。「反抗期だから仕方ない」と諦めずに、根気よく再度しつけをしましょう。
気持ちが不安定になりやすい反抗期には、叱るよりも褒めることを重視したしつけが効果的です。呼んでも来ない時や「待て」などの簡単な指示に従わない時は、いちいち怒るのではなく愛犬が指示に従うまで待ち、できた時に思い切り褒めましょう。
わざとトイレを失敗したり、他の人や犬に吠えるなど迷惑になる行為をしたりする場合は「ダメ」「ノー」などシンプルな言葉で叱ってください。
長々と叱るのはストレスになるだけなのでよくありません。また叱る時の言葉は常に統一したほうが、愛犬が混乱しないのでしつけがスムーズにできるでしょう。
どこまでわがままを許してくれるのか、飼い主さんを試すために反抗的な態度をとる犬もいます。飼い主さんが毅然としてリーダーにふさわしい態度をとることで、反抗期を乗り越えてさらに愛犬との信頼関係を深められるはずです。
子犬の反抗期の対処法
うろたえないこと
犬は飼い主のほんの少しの動揺も感じ取ります。
食べ終わった器を片付けようとして唸られたら思わず手を引っ込めてしまいますが、咬まれてもいいくらいのハラを決めて取り上げる事が必要な場合もあります。
これはひとつの例え。
「ダメなものはダメ」という断固とした姿勢が大切です。
必要以上に叱らない
叱ったり怒鳴ったりは、逆効果になってしまう場合もあります。
プロのトレーナーなら適切なタイミングに適切な方法で叱ることで効果を発揮できますが、一般の飼い主では別の問題を生んでしまうこともあります。
もちろん体罰は厳禁!
無視をする
飼い主を試すような行動に出た時には、冷静に無言で無視。
何かをいたずらしていたら、それをサッと片付けるか、その場から犬を遠ざけるなど、淡々と対応しましょう。
問題となりそうな状況を事前に取り除く
反抗期真っ最中で指示に従わないなら、始めから指示を出さないのも一つの方法です。
要は「指示に従わないでも済んだ」という既成事実を作らないことです。
また、散歩中に他の犬に吠えるなら、他の犬に会わない道を選んだり、眠っている時に近寄ると唸るなら始めから近寄らないなど。
これらも「吠えたら相手が逃げた」「唸ったら飼い主がひるんだ」という経験を積ませないためです。
「これだけは絶対ダメ!」のルール作り
あれもこれも「ダメ!」では、犬も人もストレスが溜まってしまいます。
一つだけ「これだけは絶対に守ってもらう」ルールを決めて、それ以外は無視するのもひとつの方法。
反抗期のモヤモヤは、別の行動で気分転換
走ることが好きなら、広い場所でロングリードで思いっきり走らせたり、犬の能力を刺激する遊びをするなど、その子が楽しめる遊びを見つけてあげましょう。
反抗期にはつい問題行動にばかり意識が集中しがちですが、あえてポジティブな方向で働きかけることも大切です。
再トレーニング
反抗期真っ最中では難しいですが、犬が落ち着いてきたら、あらためてトレーニングに臨みましょう。
「できたらほめてもらえる」という喜びは、犬の自信と飼い主への信頼の再構築につながります。
【まとめ】頼れる飼い主になろう!
大切なことは、飼い主が明確な意志を持ち、「ダメなものはダメ」と一貫した姿勢を保つこと。
そうすれば、犬は自分でルールを決め、
「自分の群れ」=「人間の家族」
に威張ったり命令したり、守ったりする必要がなくなります。
一方で、ただルールを押し付けるだけではダメ。
遊ぶ時には遊び、ほめる時にはたっぷりほめるなど、メリハリある接し方が大切です。
ただ、現実には、問題の出方も程度も千差万別なので、その犬その犬に応じた対応が必要です。
ここまで挙げてきた対応の仕方が全ての犬に対して完全なわけではありません。
犬種によっては、本能の出方が強い子がいたり、遺伝的に神経質で通りいっぺんの方法では難しいケースもあります。
反抗期にうまく対応できなかったため、人を咬むなど危険な状態になり、手放すことを真剣に考えてしまう飼い主さんもいます。
自分では難しいと感じたら、あるいは、できれば子犬のうちから、思い切って信頼できるトレーナーに相談しましょう。
ユーザーのコメント
40代 女性 オチョンくん
50代以上 女性 匿名
40代 女性 さち
40代 女性 スタンプ-もありました
50代以上 女性 匿名
生後半年位から服を着せると指先だけですが噛んできて、まだウーと鳴けなくアーと怒っていました。やめておけばいいのに軍手をはめて着せたものでした。
色々な変化がありました。ペットショップのおにいさんに恋をして、引きつった顔で膝の上に座ったりしていました。
その半年後、ピタッと噛まなくなりました。今はオチャメな良い子に育ちました。