トリーツとは?
トリーツは、英語の「treat」の複数形で、treatには、あしらう、扱う、もてなす、御馳走、などの意味があります。
市販の犬のおやつに「○○トリーツ」と命名されているものがあることから「トリーツ=おやつ」と認識されている方が多いのではないでしょうか?
おやつは、普段、食事以外に間食として食べるものですが、トリーツは、それとは少し違ったものです。
トリーツとは「ご褒美」のことで、英語の犬のおやつは「dog treats」といい、「犬にあげるご褒美」という意味で使われています。
しつけを行う際の特別なご褒美
多くの飼い主さんは、愛犬が指示に従ったときや、良い行動をしたときに、褒めながらご褒美をあげているのではないでしょうか。そのご褒美のことを「トリーツ」といいます。
トリーツは、単なるおやつとは違い、愛犬にとって、特別な意味を持つもので、犬のしつけやトレーニングをするときに、とても役立つものです。
食べ物だけがトリーツではない
普通、犬のご褒美といえば、おやつなどの食べる物と考えがちですが、トリーツは、必ずしも食べる物である必要はありません。
トリーツには、先述した以外にも「特別な楽しみ、予想外の喜び」という意味があります。よって、食べる物に限らず、おもちゃや飼い主さんとの遊び、散歩など、犬が好きなもの、犬が喜ぶことであれば、何でもトリーツになり得るのです。
トリーツは何をあげればいい?
犬が大好きなものや喜ぶものであれば、どんなものでもトリーツとして使うことができます。
たとえば、食べることが大好きな犬であればおやつ、遊ぶ事が大好きな犬であればおもちゃ、という具合に、犬が大好きなもの、喜ぶことはすべてトリーツとよぶことができます。
しつけに利用するときは食べる物が便利
とはいえ、犬にしつけをするには、何度も反復して練習させる必要がありますので、しつけのときに利用するトリーツは、犬が好きな食べ物が、扱いやすく便利だといえるでしょう。
トリーツは「特別なご褒美」ですので、いつもとはちょっと違う食べ物を与える方が、犬の喜びも大きく効果的です。
普段あまり与えることがない高級なフードや、手間がかかるためたまにしか与えていない飼い主さんの手作りのおやつなど、あくまでも、犬が「これは特別」と感じられるものであることが重要なのです。
犬がほんとうに好きな物を見極める
トリーツは、特別なときにあげるご褒美ですので、犬が本当に喜んでいるのかどうか、よく観察して見極めておくことが大切です。
犬が、ほんとうに喜んでいるのかどうかは、食い付きや食べっぷりを見ていると、だいたい見当がつきますが、中には、食の細い犬やあまり食に興味のない犬もいますので、その場合は、見極めが難しいこともあります。
犬は、まず匂い、次に食感、そして味、の順番で、食べる物を判断しています。食が細く好みが分かりづらい犬に与えるトリーツは、まず、匂いに注目して選ぶことをおすすめします。
おもちゃや遊びも立派なトリーツ
繰り返して行なうしつけには、犬の好きな食べ物をトリーツに利用するのが便利ですが、犬にとっては、飼い主さんに褒められることや、飼い主さんに遊んでもらえることも、立派なトリーツといえます。
日々の細かいことであっても、褒めるときは、少しおおげさと思えるくらいに褒めてあげましょう。
飼い主さんにたくさん褒めてもらえることで、犬はますます飼い主さんを好きになり、信頼するようになりますので、飼い主さんと犬との間に深い絆を結ぶことができます。
トリーツの正しい使い方
トリーツは、普段のおやつとは違い、犬が飼い主さんの指示に従ったときや、良い行いをしたときに、ご褒美として与える犬にとって「特別なもの」でなければなりません。
したがって、トリーツを与えるのは、しつけをするときや、トレーニングを行なうときなど、与える場面は限られたものとなります。
それ以外にも、とくに褒めてあげたいときなどに、利用するとよいでしょう。特別なご褒美ですので、与える量は、ほんの少しだけにしておきます。
あまり与え過ぎて犬が満足してしまうと、犬の喜びやうれしい気持ちが薄れてしまい、効果がありません。犬が「もっと欲しい」と感じるくらいの量を与えることがポイントです。
そのために、あらかじめ、トリーツを数mm程度の大きさに切り刻んでおきましょう。小さくカットしたトリーツを飼い主さんの手元に置き、犬が指示に従ったときや、良い行いをしたときに、その場ですぐに与えます。
犬にトリーツを与えるときは、必ず声に出して褒めながら与えることも忘れてはいけません。飼い主さんに褒められることがトリーツ(ご褒美)に加わることで、喜びが倍増し、犬のやる気がぐんと高まります。その結果、しつけやトレーニングの効果をよりいっそう向上させることができます。
さらに、トリーツを利用したしつけやトレーニングをするときは、体を動かす遊びや運動も取り入るようにするとより効果的です
トリーツを与える際の注意点
トリーツは、しつけやトレーニングをするときに「良いこと=トリーツ(ご褒美)」と関連づけることで、犬にさまざまなことを覚えさせるのに役立ちます。
しかし、与え方を間違えると、効果を上げるどころか、逆効果になってしまうこともありますので、注意が必要です。
では、犬にトリーツを与えるときに、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
しつけが成功したらすぐに与える
トリーツを与えるうえで、最も大切なことは、与えるタイミングです。犬が指示に従うことができたり、良い行いができたときに、間髪入れずすぐに与えることが重要です。
少しでも間が開いてしまうと、犬はなぜトリーツをもらえたのか理解することができず、いつもと同じようにおやつをもらった、と勘違いしてしまいます。
「これをしたから、ご褒美がもらえた」と犬に認識させることが大切で、犬の行動とトリーツを与えるまでに間が開いてしまうと、犬が、行動とトリーツを関連づけることができなくなってしまいます。
また、トリーツを普段のおやつとして与えたり、余ったからと、そのまま食べさせるのは控えましょう。トリーツは「特別なもの」だからこそ、しつけやトレーニングの向上に役立てることができるのです。
指示する前に与えてはいけない
トリーツは「特別なご褒美」で、指示通りに行動できたときに与えるものです。したがって、飼い主さんが指示を出す前に、犬に与えてはいけません。
たとえば、犬に吠えるのをやめさせたいがために、指示を出す前にトリーツを与えてしまうと、犬は「吠えたらおやつがもらえる」と勘違いして、間違ったことを覚えてしまいます。そのような場合は、まず「おすわり」「待て」など簡単な指示を出し、犬を落ち着かせることが先決です。
トリーツは、犬に吠えるのをやめさせるためのおやつではありません。吠えるのをやめて、静かにできたことへのご褒美です。飼い主さんが、この点をしっかりと把握しておくことが大切です。
与える量に注意する
トリーツを与え過ぎると、犬の喜びが薄れて、ご褒美の意味がなくなると先述しました。しかし、与える量に注意しなければならない理由は、それだけではありません。
犬が美味しいと感じるものは、塩分が高く味が濃いものが多く、犬の健康によくないものも多いということを心に留めておきましょう。
また、トリーツを与えた分だけ、食事を減らし、カロリーの摂り過ぎにならないよう心がける必要があります。トリーツを選ぶ場合は、無添加のものや、低カロリーのものなど、犬の健康を考えて選ぶようにしたいものです。
最近では、病気の犬でも食べられるおやつが販売されています。「食物アレルギー」「膵炎」「高脂血症」「尿石症」などの疾患を持つ犬用に作られたおやつですので、犬の健康状態に合わせて、安心して食べさせることができます。
犬の体に疾患がある場合は、体の状態に合わせたこれらのおやつを利用するとよいでしょう。
まとめ
おやつとトリーツは、全く別のものです。おやつは間食で、トリーツは犬にとって特別なご褒美となるものです。
トリーツを利用することで、しつけやトレーニングを効果的に行なうことができますが、与えるタイミングや与える量を間違えると、逆効果となってしまうこともありますので、トリーツを与える場合は、注意しなければならい点を、あらかじめよく確認しておくことが大切です。
犬にしつけやトレーニングをするには、根気と愛情が必要です。犬の好みをしっかりと見極めて、それぞれの犬に適切なトリーツを上手に使いながら、犬に楽しく学習やトレーニングをさせてあげましょう。