犬に絶対してはいけないNGな叱り方
自分の犬をきちんとしつけることは、飼い主の責務でもあります。そのため、一生懸命しつけをしている飼い主さんも多いでしょう。しかし、あまりに熱が入りすぎてしまうあまり、絶対にしてはいけない叱り方をしていませんか。
絶対してはいけないとされている叱り方を実行し続けると、問題行動をやめなかったり、トレーニングが完了しなかったりするだけでなく、問題行動がエスカレートしてしまうなど逆効果を生み出す恐れもあります。
では、犬を叱る際、どのような叱り方をしてはいけないのでしょうか。ご自身に思い当たるところがある方は、今すぐ叱り方を見直しましょう。
1.感情的に怒鳴る
最もよくやりがちなNGな叱り方は、怒りの感情にまかせて怒鳴ってしまう叱り方です。問題行動を連発する犬に対して、「どうしてこんなことばかりするの!」「いい加減にして!」と怒鳴りたくなることもあるでしょう。しかし、そこはグッと我慢してください。
感情的に怒鳴っても、犬に叱られている理由を理解させることはできませんし、何より、怒鳴られている犬から見ると、「怖い」という感情が大きく上回ってしまい、なぜ怒られているのかを理解しようとする思考が停止してしまいます。
また、あまりに怒鳴られると、飼い主に対して「怖い」という印象を持ってしまい、今後の関係性に悪影響を及ぼす恐れもあるので、大きな声で感情的に怒鳴る行為はやめましょう。
2.体罰
一昔前は、軽く叩いて叱る…なんて方法もよくありましたが、今の時代、体罰はしつけする際の叱り方として、間違いである事が発表されています。
体罰は、先ほど紹介した怒鳴る行為よりも、遥かに恐怖を与える行為です。そのため、叩かれたり蹴られたりしたことへの恐怖が上回り、しつけを学習する思考が停止してしまいます。何より飼い主から攻撃された事への衝撃が強いです。
この行為を繰り返していると、やがて犬は飼い主を『敵』として認識するようになり、問題行動を繰り返したり、攻撃的な態度を取るようになったりします。こうなってしまうと、関係の修復が難しく、しつけどころではなくなってしまいます。
それほど体罰という行為は、犬に恐怖を与え、心の傷となる行為です。愛犬の気持ちに寄り添い、このように傷つける行為は叱るときであってもしてはいけません。
3.長々と説教する
犬は飼い主の声のトーンや表情、声量から感情を読み取ることができます。そのため、飼い主の言葉の意味を理解することができなくても、その時の飼い主の感情を察知することはできます。
時々、まるで相手が人間であるかのように、長々と説教して叱る飼い主がいますが、当然ながら犬は理解していません。しかし、自分に負の感情を向けられていることは感じているので、「なぜこんなにも嫌な思いを長時間しなければいけないのか」とフラストレーションが溜まってしまいます。
長く叱ることで、しつけの効果が大きく出るということはありません。この叱り方は、単純にストレスを与えるだけです。このような叱り方をしていると、信頼関係にもヒビが入るので、すぐにやめましょう。
4.マズルを掴む
少し前まで、叱る際はマズルを掴み、ダメなことであると理解させるという方法が一般的に浸透していました。しかし、最近では叱り方としてマズルを掴む行為は、適切でないという解釈が一般的です。
犬にとって、マズル部分は非常に重要な部位です。物を食べたり、時には吠えて仲間とコミュニケーションを取ったり、自分に危険が迫ったときには攻撃の武器にもなります。
そんな大切なマズル部分を掴まれることは、犬にとって恐怖や不安を感じる行為です。怒鳴ったり体罰したりする行為と同じく、一時的には飼い主の『支配』によって言うことを聞くこともあるかもしれません。
しかし、これを続けていると、やがて犬も反発心を持つようになり、飼い主に対して攻撃的な態度を取るようになります。同時に、飼い主への信頼感は失われます。そのため、マズルを掴む行為は控えましょう。
叱る際は冷静に、状況に適した叱り方をして
上記で犬に絶対してはいけない叱り方を4つご紹介しました。皆さんは、紹介したような叱り方をしていませんでしたか。犬からしてみると、どの叱り方も「なぜ叱られているのか」を理解できず、不安や恐怖、反発心が生まれるだけです。
では、どのような叱り方が正しい方法なのでしょうか。正しい叱り方は、「なぜ叱るのか」という愛犬の原因によって方法が異なります。
例えば、問題行動(吠える、ゴミ箱をあさる、破壊行為など)の場合は、そこで過剰に反応してしまうと、「かまってくれた」と勘違いし、エスカレートする危険性があります。そのため、最適な方法は、黙々と後片付けをし、一定時間(10~15分程度)その場から離れる方法です。
これを繰り返すことで、「なぜ飼い主さんはいなくなってしまうのか」と考えるようになり、次第に「この行動をした後にいなくなっている」「この行動をするとかまってもらえない」と学習していきます。
最終的に「かまってほしいから、問題行動をやめる」という決断に至る道筋を作ってあげることができるのです。
しかし、トイレトレーニングなど、問題行為への対処ではなく、トレーニングに対するしつけであれば、この方法は適切ではありません。
トイレトレーニングの場合であれば、部屋を出たり、必要以上に無視する必要はありません。しかし、トイレを失敗した際に、「なんでこんなこと!」などと反応してしまうと、「褒めてもらった」と勘違いしてしまう可能性があるため、黙々と片付けるところは同じです。
失敗してしまったときではなく、成功したときに「よくできたね~!」と褒める行動を繰り返すことで、「これが正解なんだ」と学習させることができます。
どの叱り方にせよ、一時的に支配する方法では、今後の関係も悪化してしまう恐れがあるので、一時的な効果を求めるのではなく、長い目で見てきちんと教育できているかを重視しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。叱る際は、支配するのではなく、どのように叱ることで、愛犬が自分で学習し、きちんとしつけができるかを考える必要があります。それぞれの状況にあった叱り方の仕組みを理解し、実践することで、個体差はありますが、少しずつ問題行動が減ったり、トレーニングが進んだりします。長い目で見て、焦らず確実に正していきましょう。