大声を出す犬のしつけについて
犬のしつけをするときに大声で名前を呼んだり、「おすわり!」「待て!」など、叱責するような声で指示を出したりする人がいますが、これは犬のしつけにおいて効果的なのでしょうか?
結論から言うと大声を出すしつけにはあまり意味がなく、どちらかというとマイナス要素の方が多いと考えられています。元々音を聞き取る能力に優れている犬に対して大きな声で指示を出す必要はありませんし、大声を出したからと言って指示に従うという単純なことでもないと思います。
一昔の訓練などでは、威圧感のある大声を出しているイメージを持っている人もいるかもしれません。確かに遠い場所にいる犬への指示などでは大声になる場合もありますし、犬の性格によっては大声で厳しく指導する必要がある場合もあると思います。しかし現在では、大声でのしつけは犬の習性に合っておらず、どちらかというと逆効果になってしまう場合が多いと考えられているため、あまり見られなくなってきました。
大声を出す犬のしつけはしない方がいい理由
声の大きさが気になりしつけを理解しにくい
犬は元々耳がよく、声や音を聞き分ける能力が高いとされています。そのため、大きな声を近くで出されると非常にびっくりしてしまいますし、強い不快を感じることでしょう。特におとなしく気の弱いタイプの犬は叱られているわけではなくても、大声で話しかけられるだけで萎縮してしまうこともあります。大声に対して不快感や恐怖感を抱いてしまうと、指示の内容そのものが頭に入らず、しつけが身につきにくくなってしまうのです。
しつけのメリハリがつけにくい
犬のしつけにおいて声のトーンやボリュームというのは、とても大切なポイントです。音の聞き分けに優れる犬は、ちょっとした声の変化から飼い主の感情などを敏感に感じ取ります。そのため、お楽しみ程度のトリックを教えるときと危険な行動や状況に対する緊急性のある指示を教えるときでは、声のトーンやボリュームに変化をつけるとより効果的です。
しかし、常に大声で指示を出していると叱られているときとの区別もつきにくいですし、緊急性などを読み取ることも難しくなってしまいます。
大声を出さないと指示を聞かなくなる
常に大声でしつけをしていると、大声を出さなければ飼い主の方に注目しなくなってしまったり、指示を聞かなくなってしまったりするということはよくあります。そうなると街中や人の多い公園などで指示を出すときにも大声でないと聞いてくれなくなってしまい、飼い主さん自身がちょっと恥ずかしい思いをするということも珍しくないそうです。
ついやってしまいがちなしつけのNGポイント
大声を出すこと以外にも、犬のしつけの中で多くの飼い主さんがついやってしまいがちなNGポイントがいくつかあります。特に多いのが「しつけに一貫性がない」「名前を呼んだ後に叱る」などです。
しつけをするときにその時々で叱ったり叱らなかったり、指示の出し方が変わったりすると犬はどれが正しいのがわからずに混乱してしまいます。飼い主さんの気分やその日のスケジュールなどによって犬への対応が変わってしまうことのないように、一貫性を持って接することが大切で。家族間でもそれぞれ対応が異なると犬はまた混乱してしまい、結果的に誰の指示にも従わなくなることなどもあるので気をつけましょう。
また、名前を呼んだり呼び戻しをして戻ってこさせたりした後に叱るという光景もよく見かけますが、できるだけ避けるようにしましょう。名前や「おいで」の指示の後に叱ってしまうと、それらに嫌なイメージがついてしまい、呼ばれても無視するようになってしまうことがあるのです。叱るときには犬を呼んで来させるのではなく、自分から近づくようにして名前などに嫌なイメージがつかないように気をつけてくださいね。
まとめ
犬が遠くにいる場合や緊急事態などを除けば、基本的に犬に対して大声を張り上げる必要はないと思います。大声でのしつけは犬を萎縮させたり判断力を鈍らせたりする可能性がありますし、大声を出す飼い主さんに対して嫌悪感を持つようになってしまうこともあります。
犬に対して接するときはできるだけ静かに穏やかなトーンで話しかけたり、陽気で楽しそうなトーンで呼んだりすることをおすすめします。犬は優しく楽しげな雰囲気をとても好み、そうした雰囲気を持つ相手に懐いて信頼する傾向があります。犬との信頼関係を築くためにもまずは大声でのしつけをやめ、犬が耳を傾けたくなるような語り掛けをしてみてはいかがでしょうか?