犬にとってクレートは安全地帯であるべき
犬がクレートなどに引きこもってしまって困ったり心配したりしている飼い主さんは少なくありません。ここでは犬がクレートに引きこもる原因や対処法について解説しますが、そもそも犬がクレートが引きこもるということは犬にとってその場所が“自分を守る安全地帯”であるという証拠でもあります。そういった場所が家の中にあるということはとてもいいことで、犬が自分の判断で気持ちを落ち着けるためなどにクレートを利用することは健全な行動です。
反対に犬が悪いことをした時などに“おしおき部屋”のようにクレートを利用して押し込んでいると、犬は自発的にクレートに入ろうとしなくなるでしょう。クレートは犬にとって“おしおき部屋”ではなく、“安らげる安全地帯”であるべきですから、正しい使い方を心がけてくださいね。
犬がクレートに引きこもる原因とは?
怖いことがあった
クレートに犬が引きこもる原因として第一に考えられるのが、クレートの外で何か恐怖や不安を感じることがあったということ。雷や花火など犬にとっては理由のわからない大きな音がした、地震で大きく揺れた、飼い主や同居犬などから苦痛を与えられたなど、その理由はさまざまですが犬が自分の身を守るためにクレートに引きこもるということはよくあることです。
騒がしい状況が苦手
来客時や小さい子供が遊んでいる時など騒がしい状況が苦手な犬は、そうした時にクレートに入って喧騒から逃れたり気持ちを落ち着かせたりします。犬が若い頃は騒がしさで一緒にテンションが上がってしまうことなどもありますが、年齢を重ねることで騒がしさが苦手になることもあります。
お気に入りのものを隠している
食べかけの骨やガム、お気に入りのぼーるやぬいぐるみ、飼い主さんの匂いがついた靴下やスリッパなど、クレートの中に誰にも触られたくないものや片づけられたくないものを隠している場合にも犬はクレートに引きこもりがちです。
怪我、病気、偽妊娠
犬は体調が悪い時や体のどこかが痛む時でもそれを飼い主さんに上手く伝えることができません。そもそも犬を含む動物は自分の弱い部分を他者に知られることを本能的に嫌がります。そのため痛みや苦痛を感じている時にクレートのような人目に触れにくい場所で休むということが考えられます。また、「偽妊娠」と言って妊娠していないにもかかわらず、黄体ホルモンの作用で妊娠したと思い込み体も行動も妊娠中のような状態になることがありますが、この時にも巣ごもりという形でクレートなどに引きこもることがあります。
犬がクレートに引きこもった時の対処法
犬がクレートに引きこもってる場合、どのような理由・原因であっても基本的には「そっとしておいて欲しい」という意思表示であると考えておくといいと思います。静かに過ごしたい、体調が優れないからゆっくり休みたい、お気に入りのおもちゃ遊びをひとりで満喫したいなどの気持ちがあるため犬が自分から出てくるまで待ってあげるといいでしょう。犬がクレートに引きこもっているため怪我や病気なのではないかと心配になる気持ちはあると思いますが、よほどぐったりしていたり何時間も立ち上がらない、呼びかけてもうつろな様子で反応がないなどという場合でなければ無理に出そうとせず少し様子を見てあげましょう。
絶対にしてはいけないNG行為
犬がクレートに入っている時に決してしてはいけないのが、体を引っ張ったりして無理やり外に引き出すという対応です。犬がクレートに引きこもるからにはそれなりの理由があるのですから、無理に引き出されることでその不安や恐怖が増大して飼い主さんに対して不信感を募らせてしまったり攻撃してしまったりすることもあるので注意しましょう。犬をクレートから出したい場合は呼びかけたり好きなおやつやおもちゃで誘導したりして、犬が自らの意思で出てこれるようにじっくり対応してあげましょう。
<まとめ>犬がクレートに引きこもることについて
犬がクレートに引きこもると飼い主さんは心配してしまうこともあると思いますが、多くの場合犬なりに理由があって気持ちを落ち着かせるためにそうした行動を取っていると考えておくといいと思います。その上で、普段はクレートに入らない犬がクレートに引きこもるようなことがあれば、精神的または肉体的に何らかの苦痛や不安がある可能性を考えクレートから出ている時の様子や飼い主の呼びかけに対する反応などをしっかり観察して判断するようにしましょう。
よほどの緊急時以外は体をつかんで無理やりクレートから引き出すことはNG。飼い主さんに対して不信感を持つ原因になってしまうこともありますし、状況によっては咬傷事故を引き起こすこともあるので犬の意思を尊重した対応を心掛けましょう。