犬のしつけはストレスになるのか?
犬のしつけはかわいそう?
犬のしつけやトレーニング、訓練などと聞くと「何だかかわいそう」「ストレスになっちゃうんじゃない?」などと心配になる飼い主さんは少なくないようです。実際に筆者がドッグトレーナーとしてしつけのアドバイスをしていても「そこまでして教えなくても」「かわいそうでできない」などと難色を示す飼い主さんもいらっしゃいました。ちなみに、決して犬に苦痛を与えるようなしつけ方法ではなく基本的にはほめるしつけでしたがそれでも毎日何かを練習しなければならないということ自体が「かわいそう」と感じてしまうようでした。
しつけは犬の快適な生活と健康を守るため
しかし、しつけは犬の快適な生活と健康を守るために非常に大切なもの。多少ストレスがかかったとしても大切な愛犬だからこそ人間社会のルールや家の中でのマナーはしっかりと教えてあげなければならないのです。犬は本来さまざまな仕事を持つ動物でした。人間と共に作業を行うことに生きがいを感じ、イキイキと動き回ることこそ犬の喜びであるとも考えられます。そのため何もすることがない退屈さは犬のストレスになることも。そのストレスから家の中でのいたずらや無駄吠えなどの問題が起こるということも少なくありません。そのため、しつけは犬のとって適度な刺激となり毎日のメリハリをつける楽しみにもなるのです。
犬のストレスになるしつけとは?
しつけは犬とその家族にとって必要なことであり、さらにしつけ自体が犬にとっての刺激や楽しみになるとしましたが、やり方によってはストレスになってしまうこともあるので注意しましょう。適度なストレスをかけることは日々にメリハリをつけるためにも必要ですが、過度なストレスは犬のとっても嫌なものです。
犬にとって過度なストレスとなるしつけとは、ただ叱る(怒る)だけのしつけや指示が伝わりにくいしつけです。「何をしても怒られる」「なぜ怒られるのかわからない」「何をすればいいのかわからない」という状況は犬にとってもつらいもので萎縮させてしまいますし、強いストレスを与えると思います。犬のしつけでは犬にわかりやすい指示を与えて成功させてを積み重ねて自信をつけることや、好ましくない行動を叱った後には何をすればいいのか適切な行動に導いてあげるということが大切です。求められていることが理解できず、ただ怒られて終わるだけのしつけは犬にとってストレスとなってしまうでしょう。
犬にストレスをかけないしつけのポイント
しつけはそのやり方次第で犬のとっての楽しみにもストレスにもなるものです。犬に過度なストレスをかけないようにしつけを行うためにまず気をつけたいことは、犬も飼い主も楽しくできるように遊びを混ぜて行うこと。そしてダラダラと長い時間を行わずに1回5~10分程度の短い時間で終わらせるということです。また、犬が失敗をくり返して先に進めないときは犬にとって理解しにくい部分・指示であるということなので一段階簡単な指示にして成功させてあげるようにしましょう。失敗や叱られることの多いしつけは犬にとっても飼い主にとってもストレスとなりやすいので、そのようなときはあえて簡単なことをやらせて犬の自信を取り戻したところでいったん切り上げるようにしましょう。
また、しつけというのはおすわりや待て、ヒールウォークなどの行動を教えたり、問題行動の修正を行うだけでなく、飼い主と犬のコミュニケーションツールでもあります。そのためアジリティやフライングディスク、ダンスなどドッグスポーツもしつけの一環として取り入れてもいいと思います。特にアクティブな犬や飼い主とのコミュニケーションに喜びを感じるタイプの犬はそれらを生きがいのように感じてくれることもあるのでぜひ多くの人に試してもらいたいと思います。
犬のしつけとストレスに関するまとめ
犬のしつけは正しい行動を教えるために厳しく指導するものばかりではありません。しつけは犬が人間社会の中で快適に暮らしていくために覚えておきたいルールやマナーであり、飼い主との共同作業・コミュニケーションでもあります。犬のしつけはストレスになるのでは?と心配されることもありますが、むしろ全くしつけをされていない犬の方が日々の生活の中でストレスを感じやすい傾向にあります。適切な行動を教えてもらっていない犬は「飼い主に叱られることが多いが何をすればいいのかわからない」という状況におかれるため、漠然とした不安感やストレスを抱えてしまいます。そんなストレスを減らし、楽しく健康に日々を過ごすために必要なものこそがしつけなのです。