犬が通行人に吠える理由
室内や自宅の庭から外を歩く通行人や宅配業者の人などに吠える犬は少なくありません。20年ほど前まで、日本の犬は「番犬」として扱われていることが多く、通行人や訪問者に対して吠えることも、ある意味いいこととして受け入れていた飼い主もいたでしょう。
しかし現在では、犬を番犬として飼っている人はそう多くないと思いますし、近年の住宅環境の事情から、犬の吠える声に敏感になっている人も多いので、通行人や訪問者への吠えは、飼い主の悩みの種となってしまいがちです。
犬が通行人や訪問者に吠える理由のほとんどが縄張り意識や警戒心です。自分や大切な家族、仲間が暮らす家(縄張り、テリトリー)に、見知らぬ人間が入ってくることに対して警戒し、「出ていけ!」という警告として吠えるのです。
そしてほとんどの場合が、犬が吠えているうちに通り過ぎて、通行人はいなくなるでしょう。宅配業者などの訪問者も、吠えているうちに帰っていくと思います。そうすることで、意図せず犬の思い通りになってしまい、「自分が吠えたから敵がいなくなった」、と勘違いして、更に吠えることが強化されてしまうのです。
犬が通行人に吠えてしまう時の対処法
吠えている最中に叱らない
犬が通行人に対して吠えている時につい「うるさい!」、「静かにしなさい!」、と大声で叱ってしまうことがあると思います。しかし犬は吠えている時、興奮状態で飼い主が何を言っているかなど、ほとんど意識できません。
飼い主が何か大声で騒いでいるということだけは認識できるので、自分に加勢して敵を追い払う手助けをしてくれている、と勘違いすることもあり、さらに吠えがエスカレートしてしまうことが多く見られます。
注意する時は、犬がびっくりして一瞬吠えやむような金属音などをさせるか、冷静に落ち着いたトーンで声掛けするようにしましょう。
静かになったところで褒める
上記のように犬が吠えている時に、大声で怒鳴ることや叱ったりしても、ほとんど効果はないでしょう。
犬が興奮して吠えている時は、「静かに」と指示を出して、吠え止むまで待つようにしましょう。そして犬が自ら吠え、止んだところで褒めるようにしましょう。
はじめは犬に、「静かに」の意味は理解できないと思いますが、ひたすらくり返しているうちに徐々に理解してきます。何より大切なのは犬が吠えていない時にほめるということです。
通行人が見えても吠えていない時があれば、おもいっきり褒めてあげましょう。
吠えてもいなくならないことを教える
本格的に、通行人に対する吠えを止めさせるためのトレーニングをする場合には、知人などにちょっと協力してもらい、わざと家の前を通ってもらうようにしましょう。
そして犬が吠えたらその場に立ち止まり、犬が吠えやんでから通り過ぎるようにしてもらいます。「吠えても人はいなくならない」、ということを犬の身をもって体験させるのです。
通行人の吠える犬にさせないためには?
人に対する社会化をする
通行人や訪問者に吠えない犬にするためには、あらゆる人に対して、十分な社会化を行うことが大切です。子犬の時期や飼い始めの時期など、まだ家に対する縄張り意識があまりない頃から、家の前を人が通っても、来客があることに慣らすようにしましょう。
通行人が見えたらおやつをあげる、訪問者からおやつをもらい、遊んでもらうなど、通行人や訪問者に対してポジティブな印象をつけておくようにすると効果的です。
運動でストレス発散
家の中から外に向かって吠えるという問題には、運動不足やストレスがたまっている、などの原因が隠れていることが少なくありません。
外で十分に体力を発散し、精神的な充足感を得ている犬は、家の中から外を警戒したりすることが減り、落ち着いて寝て過ごすことが多くなります。
吠えそのもののしつけだけでなく、体力やストレスを発散させて、充実した毎日を送らせるというアプローチも大切です。
留守中は外を見えないようにする
窓の外を見て吠えるという習慣が留守番中についてしまうこともあります。
ひとりで退屈だろうとカーテンを少し開けていく飼い主さんもいますが、それによって通行人に対して吠えるようになり、吠えたらいなくなるという経験を重ねてしまい、どんどん吠える癖が強くなってしまうのです。
外が見えないような工夫をするだけで「警戒吠えが減る」可能性は高いと思います。
犬が通行人に吠える理由と対処法まとめ
通行人や訪問者に吠えてしまうと、近所の人の迷惑になってしまうこともあり、飼い主としてもうるさいので、できればやめさせたいものですよね。
ですが頭ごなしに叱りつけるのではなく、なぜ犬が吠えているのかという気持ちを理解し、犬なりの“仕事”を認めてあげた上で、吠えさせない工夫をし、静かにできたことをほめてあげるようにしましょう。
吠え癖がついてしまっている場合は、簡単にはやめさせることはできないかもしれませんが、諦めて放っておけば、どんどん悪化していく一方です。時間がかかるかもしれませんが、地道にじっくり取り組んで、吠えをやめさせるようにしてあげましょう。